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俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

負けるが勝ち

2012-01-10 14:44:22 | Weblog
 最近では殆んど使われないが「負けるが勝ち」という格言がある。勝敗に拘り勝ちな最近の風潮からすれば「負けは負け」なのだろうが、こと一対一での議論においてはこの言葉は真実だ。議論で勝敗が決まった場合にそれぞれは何を得るだろうか。勝ったほうは満足感を得る。負けたほうは知恵を得る。どちらが得かは言うまでもない。議論で負ければ誤った考えを改めることができる。誤った考えを持った愚者が正しい考えを持った賢者になれる。これは素晴らしいことだ。「聞くは一時の恥」と同じことだ。
 スポーツにおいても同様だ。昨日のサッカー高校選手権で準優勝をした四日市中央工業は、Jリーグのユースチームなどと戦うプリンスリーグでは14戦して3勝しかしていないそうだ。強いチームと戦って散々負けたからこそ強いチームに育ったのだろう。
 失敗することも素晴らしいことだ。人は成功よりも失敗から学ぶ。一番悪いのは挑戦しないことだ。これでは失敗も成功もできないから成長しない。挑戦を回避していれば駄目になる。

ボクシング

2012-01-06 15:19:22 | Weblog
 ボクシングはハングリースポーツと呼ばれている。厳しい減量があるからだけではなくハングリーな精神を持つ人でなければ耐えられないほど過酷なスポーツだからだ。何の恨みも無い人と殴り合って相手に怪我をさせて初めて勝利を得られる。網膜剝離やパンチドランカーなど後遺症も多い。柔道やレスリングなどの他の格闘技は怪我をさせることを目的としていない。それぞれ一本とフォールを狙うから、相手にダメージを与えることが勝利に直結するボクシングとは明らかに質的に異なる。
 かつての日本ではボクシングが盛んだった。軽量級の世界チャンピオンを輩出し、東洋チャンピオンも大勢いた。ところがその後、衰退した。目ぼしい日本選手がいなくなりユーリ海老原選手のような輸入ボクサーに頼らざるを得ない時代もあった。高度経済成長と共にボクシング離れが進んだ。
 ところが今では日本人の世界チャンピオンが8人もいる。何が起こったのだろうか。
 多分若年層が貧しくなったからだろう。無理をしなければ生活できない社会になってしまったのだろうか。豊かな社会だったら誰もこんな苦しくて危険な職業を選ばない。バブル崩壊以降、若年層が貧しいと言われているが、その象徴が8人の世界チャンピオンではないだろうか。8人もの世界チャンピオンが、豊かさではなく貧しさの証だとすれば何と悲しいことだろう。

ギャンブル

2012-01-06 15:02:54 | Weblog
 ギャンブルにはビギナーズラックという言葉がある。初心者が幸運を射止め易いという意味だ。これは神秘的なことではなく確率で説明できる。
 サイコロを振った場合に何回目に当たるだろうか。確率は1/6だから6回目と考えそうだが、実際には3回目までに半数の人が当たる。早い時点で当たった人が賭けから降りればビギナーズラックになるが、賭けを続ければいずれ損をする。
 参加者の技量に差が無ければゲームを続けるほど大数の法則に支配されて配当金はほぼ均等に分散される。しかしギャンブルにはテラ銭があるので深追いすればするほど配当率に接近する。宝くじは配当率が50%未満なので買う度に資金は半額以下になる。これでは賭け金の半分を国に寄付するようなものだ。こんな配当率の低いギャンブルには手を出さないことがベストだが、どうしても買いたい人はできるだけ少ししか買わないことだ。運が良ければビギナーズラックに巡り合える。そして二度と買わないことだ。当たった時点で運を使い果たしたと考えるべきだ。当たったことに味を占めてまた買えば資金は毎回半額以下に減り続ける。
 ギャンブルは総て胴元が儲かる仕組みになっている。長く続ければテラ銭相当額の損を毎回積み重ねることになる。ギャンブルで儲けていると思っている人は、勝った時のことだけを覚えていて負けたことは忘れてしまう超楽天的な人だろう。

定年後

2012-01-06 14:46:45 | Weblog
 定年を過ぎても働きたい人全員を65歳まで雇用することを厚生労働省が企業に義務付けようとしている。これは労使双方にとって不幸なことになりそうだ。
 企業側としては老人を押し付けられたという被害者意識を持つだろう。その場合、老人が継続雇用を希望しないように仕向けることが一番手っ取り早い。方法は幾らでもある。最低賃金にする、3kの職場に配属する、最も相性の悪い人の部下にする、等々。
 また老人の雇用が増えれば若年層の雇用は減らされざるを得ない。そのために希望退職を募る企業もあるだろう。あるいは壮年の賃金水準を抑えるという手もある。そうなれば生涯賃金は同一のままで勤続年数だけが増えるということにもなりかねない。成長を続けている企業以外では人件費の枠は限られているのだから無理な制度は必ず歪みを生む。
 老人の個人差は非常に大きい。軽度の認知症に罹っている人もいるだろう。そんな人まで雇用できるだろうか。日本の役人はルールを定めて一律に従わせようとする。個々人は知力も体力も意欲も異なるのだから一律のルールは不合理を招く。アメリカには定年が無い。労使の利害が一致すれば何歳になっても働くことができる。厚労省の発想は老人を完全に邪魔者扱いしているが、アメリカのように貴重な労働力とは考えられないものだろうか。

不平等

2012-01-03 16:54:08 | Weblog
 サラリーマンだった頃は、電車は男の乗り物だと思っていた。通勤時間帯での利用者は7割から8割が男だったからだ。
 退職してから様々な時間帯に電車を利用するようになってから、男よりも女の利用者のほうが多いと気付いた。考えてみれば当たり前のことだ。男の大部分は職場に拘禁されている。外出する男は外回りの営業職が大半だろう。自動車の利用率も高い。そういう状況だから女性優遇策は理に適っている。女性専用車を作って女性に迎合するのは当然のことだ。
 女性専用車は便利な位置に設けられている。男性に対しては「中央付近の不便な位置に女性専用車を設けている」と言い訳をするがそれは嘘だ。もしそうなら女性が黙っている筈が無い。私はJRの天王寺、梅田、鶴橋、難波の駅を比較的多く利用するが、いつも女性専用車の隣の車両に乗る。最前列や最後尾の車両が便利な訳ではないし、追突や衝突事故が起こった場合は最も危険だ。女性専用車は改札や乗り換えのためには便利な位置にあることが多い。
 ショッピングセンターのトイレも不平等だ。女性用トイレのほうが圧倒的に多く機能的にも優れている。これも妥当だ。客の数は女性のほうが多く、トイレの使用頻度も高いからだ。
 平等にすることは必ずしも正しくない。不平等にすることによって多数者を喜ばせることができるという事実を見逃すべきではない。大半の道具は多数者である右利き用に作られている。

三権分立

2012-01-03 16:40:47 | Weblog
 三権分立は政治の暴走を防ぐための優れたセイフティネットだ。立法・行政・司法がお互いに牽制し合うことによって権力が分散されて独裁が起こらない仕組みになっている。
 政権交代直後の民主党は三権分立のメカニズムを理解していなかったようだ。「政治主導」をスローガンにして党主導を狙い過ぎた。丁度、官僚に対する不信感が高まっていたのでその時流に乗ったとも言えるが、その結果は散々なものだった。特に普天間問題はどうしようもなく拗らせてしまった。官僚をうまく使っていればこんな悲惨な事態を招かなかっただろう。
 議員には選良という意識がある。官僚や裁判官は国民による審判を受けていないが自分達は国民から選ばれたのだから偉いと思い上がっている。しかしあくまでも議員として選ばれただけであり大臣候補として選ばれた訳ではない。一川防衛大臣の支持率など1割も無かろう。こんな人を大臣に留めることは政治家の思い上がりだ。立法が行政や司法を蔑視することは許されない。かと言って最近のように政治家が官僚の言いなりになっているのも困ったものだ。三権はあくまで対等な関係であって欲しい。

全体主義

2012-01-03 16:24:59 | Weblog
 私は社会主義と国家主義を類似した政治形態だと考えている。どちらも個人よりも全体を重視して全体の利益のためなら個人を犠牲にしても構わないと考えている。これらは「左の全体主義」と「右の全体主義」だ。
 但し右と左の区別は決して容易ではない。国家主義の代表格の筈のナチスの正式名称は「国民社会主義ドイツ労働者党」だ。名称上では明らかに社会主義政党であり優れた福祉政策も多数ある。これを「右の全体主義」のシンボルにするのはおかしい。多分、終戦の時点では「右の全体主義」は否定され、ソ連などの「左の全体主義」は肯定されていたのでこう位置付けられたのだろう。
 北朝鮮は社会主義国家と自称しているが、明らかに「右の全体主義」国家だろう。世襲制の軍事独裁政権はどう考えても「左の全体主義」には該当しない。
 右であれ左であれ全体主義の特徴は次のことだろう。まず言論が統制されている。国にとって都合の悪い事実は伏せられる。
 次に最高権力者の権限が大きいことが挙げられる。司法までが最高権力者の言いなりになるから三権分立は機能しない。
 私は決して民主主義の信奉者ではないが、全体主義と比べれば遙かにマシなシステムであることは間違い無かろう。