瞑想と精神世界

瞑想や精神世界を中心とする覚書

臨死体験者の意識変容

2022年12月04日 | 臨死体験

近所の小さな公園にて撮影 木の名はアメリカフウ

ちょうど20年前に出版した『臨死体験研究読本』の改訂版を出すことになったのは、京都在住の若い出版人がこの本を読んでくれ、再出版する価値があると判断し、決断してくれたからだ。つまり彼自身の英断によるものだが、同時に何かしら大きな意志のはからいもあるのかも知れないと思っている。とすれば、できるだけその意志にそうように力を尽くしたい。

改訂版の書名は、いまのところ『光・悟り・臨死』とする予定だ。副題は、出版社の意向をくんで「生きる意味への問い」としたいと思っている。この書名と副題は、本の主題を旧版よりはるかに的確に表わしている。

臨死体験者のほとんどが、多くの意識変容をするのは明らかだ。この本では、その意識変容を(一)「死への恐怖の減少」、(二)「死後の世界への確信」、(三)「人生に対する態度の変化」、(四)「あるがままの受容」、(五)「生きる目的の自覚」、(六)「愛、思いやり、寛容さの増大」、(七)「物質的欲望から霊的・精神的関心へ」、(八)「宇宙の全一性という感覚および宇宙との一体感」という八つの項目に分けで論じている。前半の四つの章はこれらの意識変容を、多くの事例と統計的な研究を交えて紹介する。

これらの項目からも明らかなように、臨死体験者は、体験後にきわだった精神的成長をする。とくに(八)「宇宙の全一性という感覚および宇宙との一体感」は、仏教などでいう「悟り」にも通ずる、一種の覚醒体験である。本書の後半では、体験者の悟りともいってよい意識変容と、宗教的な覚醒体験とを徹底的に比較することが中心テーマとなる。新しい書名が『光・悟り・臨死』となっている所以だ。

世界も日本も、今さまざまな問題を抱えて混迷している。この混迷から抜け出す道は、遠い道かも知れないが、一人ひとりが少しでも精神的に成長していくことにしかないと思っている。臨死体験者からのメッセージに接する人が少しでも多くなれば、そのメッセージに影響を受ける人も多くなるだろう。世界の指導者のなかにも影響を受けるひとが出るかも知れない。そのような可能性を考えると、はるかに遠いと見えた道も、意外と近いのかも知れない。