瞑想と精神世界

瞑想や精神世界を中心とする覚書

環境問題と原始仏教

2007年06月18日 | 読書日誌
ブログ・精神世界と心理学・読書の旅の方に、森岡正博著『生命観を問いなおす』(筑摩書房1994年)の書評を書いている。まだ途中であり続きを書く予定だが、こちらで一言触れておきたいことがある。

著者は、環境問題や生命倫理の問題を、単に機械論的自然観や資本の論理という外側の要因だけに帰すべきものではないと主張する。それらの問題の根源は、もっと深い「生命」そのものに隠された醜さにあると考える。その主張には、どこか原始仏教の見方に通じるものがある。著者は、哲学者・梅原猛の脳死問題を扱った論文を考察するときも、原始仏教的な無執着という観点を持ち出して批判する。

ディープエコロジーにしても、もっと大きくニューエイジにしても、どこか生命の醜悪な部分を見据える視点に弱く、生命を安易に肯定し過ぎる傾向がある。生命そのものの生きようとする欲望の中に、今日の環境破壊をもたらしたもっとも深い原因が横たわっているかもしれないというのだ。

著者の問題提起には、じっくりと考えて見るべき、大切な主張が含まれているような気がする。