身体上でいう生命の樹の経路、3女帝が気になる。
なので、3女帝のところに変性意識で行った。
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開口一番「遅かったわね」と言われる。
そして、ん?と気づく。
なんで毎回「遅かった」と言われるんだろう。
そもそも、毎回自分にとってベストなタイミングで訪れているはず、設定なのに。
なぜ毎回、この存在に「遅い」と言われるのか?
「あら、そこに気がついた?」と言われる。
「簡単にいうと、マウンティングチェックですね」
と、アルゴルがいきなり現れて言う。
「あなたが初期のころに探索したイメージ、情報にまだ引っ張られていたり、存在によっては、向こうのほうが上という意識がまだ残っていたのです。
あと、時間概念について設定しましたからね。
今日気づいたというのは、そういう非物質的マウンティングの克服や、時間概念が順調に書きかわったことを意味します」
「なるほどね〜」
「そういうこと」と3女帝がいう。
「あなたのなかで、私は『遅い』と言ってくる人、という設定ができていたのよね。
まあ、挨拶的なものだなと思うのならいいんだけど。
あなたはちょっと、3女帝に対して、すこし特別視している部分があるから、それをこのタイミングで是正したのよ。
3だけ特別視すると、それはそれでバランス取りづらいからね」
そういうことかと納得する。
そういえば気づいたが、トートタロットだと3女帝はあまり記憶にない。
「それなら行って来ればいいわ」といわれる。
急に世界が暗転する。
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真っ暗な世界。
「犯罪の創造性」という言葉。
死、罪、拷問、リンチ、悪、毒。
戦争、武器、境界争い。大虐殺。
そういう領域の創造性、天才性という言葉。
時折、人が殺し合ったり争ったりする場面が光の加減で見える。
「まあ、これも創造性なのよね。人間は受け入れ難いかもしれないけど」
キセルを使う色っぽい女帝が見える。
「人が忌む大虐殺の手練手管。洗脳、心理戦。
それらも創造性なのよ。偉大なね。
包丁を料理に使うか、人を殺すのに使うか。それだけ」
ビジョンに、昔の独逸が中心になった悲劇や、ヒロシマ・ナガサキの悲劇などが入ってくる。
「あれを興した人、かかわった中心人物たちも、天賦の才能をもった人たちなのよ」
女帝が淡々という。
「どう使ったか、だけの問題。
で、自分がそれを実際に体験して怒りや悲しみをもつのは自由だけど。
自分が体験していない、これらの悲劇に、必要以上に感情を向けすぎるのも問題なのよね。
もう人類の歴史は、悪と罪と殺しの歴史といっても過言ではない。
攻める、滅ぼす、蹂躙する。
人類は皆、人殺しの血をひいているのよ。
人殺したちの子供たちが、あなたたち今の人類。
でも別に、それで悲嘆も落胆もする必要はないわ。
だって、あなたたちは正しく使ったのだから。創造性を。
正しく、「あなたたちが悪と意図すること」に使っただけだから。
淡々と女帝が告げる。
「だから、これくらいで動揺して悲観する人間は甘ちゃんね。
まあ動揺すらも、自分の信念体系の隙間作りに役立つのだけれど。
そこになまた悲嘆の感情をくっつけたままだと、意味ないわね」