忘れわぶ つれなき月の 後ろ影 細く結びし ながき黒髪
*これはまた、違うものが詠んだ歌です。ややこしいですか。気にしないで流してください。なんとなく、ほかとは違うことをわかってくれればいい。
「つれなき月」などというところは、「つ」と「き」の音が重なっていて、ここちよく、覚えやすい。なれてくると、こんな言葉が自然に出てくるようになります。
つれないあの人の、後ろ姿が忘れられなくてつらい。あの人が長い黒髪を、ひとつに結んでいたことも、忘れられない。
あなたがたはいつも、かのじょの後ろばかり見ていましたね。
近寄ろうとしても近寄れなかった。ほんのすぐそこにいるのに、見えない壁があるかのように、動けなくなる。その憂さを、ほかのところで発散した。女の悪口を言うだけならいいが、少々ひどいことをしすぎた。
これから何度でも言われるでしょう。馬鹿なのかと。
あの人はいつも、野原や山や海辺にいました。花や木や虫や、星を見るのが好きだった。空を飛んでいく鳥を見るのも好きだった。あなたがたがよくいく、居酒屋やカラオケバーなどには、PTAなどでの付き合いでも発生しない限り、行きませんでした。行ってもすぐ帰ってしまった。そんなところにいるのがつらかったからです。
同じ地球にいて、同じ空気を吸っていても、心が住む世界が違うと、どうしても近寄れなくなるものなのです。あなたがたは空や海や森や花を見て、かのじょが自分の魂に何を食べさせていたのかを、理解することはまだとてもできない。酒を飲む方が楽だと言って酒場に行くが、そんなところには天使はいない。
わたしたちの魂が食べているものは、神の愛です。真実の光です。わたしたちにはそれが見える。この苦しい地上で生きていくためには、それを常に魂に食べていなければ、生きてはいけないのです。
酒場などというものは、人間が、自分がついている嘘を薄めるために行くところです。そこでは嘘がネズミのように生きている。わたしたちは、そんなところにいるのは苦しい。まだ、シリウスのような強い男ならいいが、女性のかのじょにはとてもつらすぎるのです。
このことは、教訓にしておきなさい。天女のような美しい女性は、酒場のようなところに引きずり込むよりも、花園を作ってやらねばならないのだと。きれいな家やきれいな庭やきれいな国を作ってやらねばならないのだと。
そうすればあなたがたは、いつまでも、美しい人の後ろ姿ばかり見ていなくてすむでしょう。