ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

ぴらかんさ

2022-02-21 08:55:35 | 





実をささげ 冬を耐へ行く ぴらかんさ     夢詩香




*歌が続いたので、久しぶりに俳句でもやりましょう。

拙宅の庭先には、小さなぴらかんさの木が生えています。植えたのではなくて、いつの間にか生えてきたのです。生えてきたところがちょうどよかったので、亭主が刈り込んで生垣代わりにしているのですが。

春には見事な花を咲かせて、秋口には赤い実を鈴なりにつけて楽しませてくれました。しかし今は、その実もみんな鳥に食べられて、裸の寂しい姿になっています。

盛りのころは、毎日のようにヒタキやヒヨドリが訪れて、楽しませてくれましたが、もうすっかり実を食べつくされた後では、鳥もよりつかなくなりましたね。だからぴらかんさも少し寂しそうだ。

赤い実はだれのためになしたものでしょう。花は何のために、あれだけたくさんの実をつけるでしょう。自己保存欲だけが目的ではないと思う。花も実も、見る人やそれを食べる小鳥のことを思いながらなすものではないだろうか。

この世には美しいものがたくさんある。花は放っておけば自然に咲くのではない。花自身が毎年のように自分の努力をして咲いているのだ。美しい実をなすことも、人知れずこつこつと営まれているその花の美しい努力のたまものなのだ。自分のためだけではないから、そんな努力ができる。喜んでくれる人や鳥がいるから、たくさんの実をなす苦労もがんばれるというものだ。

きれいな実を全部ささげて、裸同然になったぴらかんさに冬の寒い風が吹いている。でもそれほど悲しげではないのは、みなのために役立った自分の美しさがあるからでしょう。そしてまた春に向けて、がんばっていける。

また次の季節にも、美しい花や実を見せてくれるに違いないのです。




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