ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

孤独

2018-07-26 04:18:56 | 短歌





とほき日の 忘れし野辺の 過ちの うへにたたずむ りんごの孤独





*これも一年前のツイートですね。すぴかの絵付き短歌です。絵は、大きな青いりんごの上に、裸体の人物がひざを折って座っているという図でした。

りんごというのは、自分のなしたことから生えてきた木になった苦い実というところでしょう。自分がやったことが自分に返って来て、結局こうなったという結末の隠喩です。

何にせよ、りんごというのは苦い意味を乗せられるものだ。その甘酸っぱさは、痛い記憶を刺激する。りんごを噛んでいると、過去の苦い思い出を思い出しそうになる。

縁起の世界では、人は自分のなしたことから逃げることはできません。過去にまいた種は、必ず芽吹いて、その人にからみついてくる。そして必ずなんらかの実を結ぶ。

その実を食うのは誰でもない、自分自身なのです。自分の蒔いた種からなった実は必ず自分が食わねばならない。自分以外のだれもそれを食うてはならない。もし自分が食うのが嫌なばかりに、他人にそれを押し付ければ、また苦い種を植えたことになって、そこからまた何かが芽生えてくる。

孤独というのは、その実を食う時、たれもそれを代わってはくれないのだと気付く時の孤独でしょう。

さざ波のように繰り返す過ちの中で、人は少しずつ、この縁起の世界の文様を学んでいく。巡り巡る時の中で、似たようなことを繰り返している自分の愚かさに気付いた時がチャンスだ。自分の過ちを知り、自分が間違っていたことを知ることができれば、その苦しい繰り返しから抜け出すことができる。

孤独を突っ切って、孤独をすべて受け入れる時、人は自分のすべてを背負って生きようとする。

そのときが、ほんとうの自分の始まり、ほんとうの幸福への道の、始まりなのです。





この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« とこしへの野 | トップ | 伏すよし »
最新の画像もっと見る

短歌」カテゴリの最新記事