ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

その背

2017-12-02 04:19:05 | 短歌





白玉の わがこかなしや ともにゐて 親はいやぢゃと いふその背かな





*俳句では、時に「背く子」というテーマを詠んでいますが、今かのじょの長男は親に反抗して閉じこもっています。

いろいろな事情はあるのですがね、要するに、下の子はそうでもなかったのだが、一番上の子は、かのじょの子であるというだけで、かなりのいじめを受けたことがあるのです。

幼い頃は明るいおしゃべりな子だったのだが、たぐいまれな美女が産んだ子供だというだけで、いやなことをたくさん経験したのです。だから年たけて来ると、とても暗い表情をするようになった。

かのじょはそれに気づいていましたが、どうすることもできませんでした。親としてできることはしてやりたかったが、救済の方が忙しかったのです。

もうこの世に天使はほとんどひとりしかいなかった。国のことも人類のことも、本気で考えているものは、おそらく自分一人しかいない。やらないわけにはいかなかった。

閉じていく子供の心を、見てやることもできなかったのです。

それでもできることはしてやっていたのだが。親の心というのは子供には通じがたいものだ。いや、通じないほうがいい場合が多いのだが。

親にしばられる子供というものもつらいものだ。反抗したいのなら反抗させてやった方がいい。

引きこもる気持ちもわかる。自分もまたそうだった。外の世間の風は冷たいなどというレベルではなかった。人をみれば残酷に食うてやろうとする魔があふれるほどいたのだ。

逃げ場所を守ってやろう。そして、我が子がまっとうに生きていける世界をつくってやろう。

それが親の気持ちでした。なんでもない。もうそれしかできなかったのです。

かのじょが考えていたことはわたしたちがひきついでいる。かのじょから生まれてきてくれて、寂しい人生を明るくしてくれた子供たちのために、この馬鹿げた世界を変えてやろう。

そのためにも、わたしたちは毎日のように、あらゆることをやっているのです。






  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする