泣くでない 長き辛抱 するがよい 夢詩香
*前に、人生は忍耐するためにあるなんてことを言いましたが、実際ほんとに、あのとき我慢しておいてよかったなんてことが、たびたびあったんです。
つらかったけど、あのとき自分を我慢させたから、みんなを不幸にしなくてすんだって。
わたしの知っている人に、夫が自分に無断で借金していたということを知って、すぐに離婚しちゃった人がいるんです。3人の子供を置いて、実家に帰っちゃった。すごいなって思ったけど。わたしだったら子供を置いて離婚するなんてできない。
奥さんに出て行かれた旦那さんは、それからお母さんと協力し合って、働きながら何とか子供を育てていました。いろいろと苦労してたみたい。あまり詳しくは知らないけど、子供たちの目が、いつもすごく真剣で、とても大人びて見えた。
子供たちにあんな思いをさせて、あの人はつらくないのかな。今頃どうしているんだろう。ほかの人と結婚したりしているんだろうか。
わたしのところも、それなりの苦労はあって。離婚を考えたことなど何度もある。そのたびに、子供につらい思いをさせるよりは、自分が我慢する方がいいってほうを選んできた。
その我慢がつらすぎることもあったけど。
でも今では、あれでよかったと思っている。子供たちは反抗的だけど、あんな寂しそうな目はしていない。
子供が幸せじゃなければ、わたしも幸せになれない。
人間て、長い辛抱ができないから、不幸になるんだって、そんな気がします。