クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

マゼール/ベルリン・フィルのワーグナー 「ニーベルングの指環」管弦楽曲集

2006年10月29日 06時18分20秒 | 管弦楽曲
ワーグナーは中毒になります。毎日毎日聴き続けないと気が済まなくなる、麻薬のような作曲家であります。
一度はまると逃れられない・・・・いやはや媚薬のような快感があるんでしょう。
阿漕なワーグナーの浮気にズブズブとはまってしまった女性たちの気分が何となく分かるような・・・・・(分かるはずもないか(^^ゞ)・・・・。
ワーグナーの「毒」であります。

毒ついでに、今日は毒のある指揮者で。
マゼール編曲版の「ニーベルングの指環 管弦楽曲集」。

ロリン・マゼール指揮ベルリン・フィルの演奏。
1987年12月、ベルリンのフィルハーモニーでの録音。テラーク原盤。

CD1枚で「指環」のエッセンスを聴けてしまう、コレは優れものの1枚であって、演奏も実に素晴らしい。それに、マゼールが自身の編曲版のせいか、彼がいつになく真摯で一生懸命、ついでに毒を吐くのをやめて、至極まっとうに指揮をしているのがまたイイ。

録音はテラーク、これまた素晴らしい音。優秀録音で名声を博したテラークが、いよいよヨーロッパのメジャー・オーケストラと録音し始めた頃のもの。ベルリン・フィルでの録音は今も珍しいかもしれないが。
ダイナミックレンジは広大で、個々の楽器も実によく捉えられている。音場も広々としていて、左右奥行きの拡大が実に心地よい。

演奏は非の打ち所がないくらい。欲を云えば、もう少し深い息づかいが欲しいか。
(息づかいこそ、ワーグナーの根幹かもしれないのだが)
いわば、現代的な高機能のワーグナー。オケにスキがなく、指揮は完璧、アンサンブルも極上。音は美しく磨かれて、聴いていて心地よいことこの上ない。
しかも、音がとぎれることなくラストまで一気に流れてゆくマゼールの編曲が素晴らしく、滔々とした音の洪水に身を浸す快感もある。

冒頭のライン川の描写はなんと清澄なこと。
ドンナーの「雷鳴」も凄まじい迫力。だいたい、ベルリン・フィルのティンパニは迫力満点。この音こそ、ワーグナーのカミナリだと思う。

「ワルキューレの騎行」の圧倒的な音。テンポが速く、グイグイ進んでゆく。畳みかけてくるような迫力がイイ。強靱な演奏。
「森のささやき」の清々しさもベルリン・フィルならでは。涼しい風が吹いてくるよう。

四国の田舎では、晩秋の風景になりつつあります。
刈り取りも終わってすっかり黄色くなった田んぼに囲まれて聴くワーグナーも、なかなかエエもんです。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿