クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

モントゥー/ロンドン響のラヴェル 「ラ・ヴァルス」

2006年07月05日 02時43分51秒 | 管弦楽曲
ラヴェルの管弦楽曲は繊細で精巧で、独特の響きが楽しい。
刻一刻と音楽の表情が変わってゆく面白さ。
旋律よりもオーケストラの響き、音色、楽器の重なり具合を楽しませるような工夫。

初めて聴いたときにはビックリしたなぁ・・・・こんな音楽があるんやなぁ・・・とっつきにくかったなぁ・・・・・。
だって、ボクはバッハやモーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスあたりからクラシック音楽を聴き始めたものだから・・・(典型的な独墺の音楽ですな)。


さて、今日はそんなラヴェルの「ラ・ヴァルス」。
ピエール・モントゥー指揮ロンドン交響楽団の演奏。
1964年2月、ロンドンでの録音。フィリップス盤。

このCD、録音が少し古ぼけてきたが、かえってそれが品の良さや、霞がかったような微妙なニュアンスを生んでいるような気がする。
オケは名演。もやもやっとしたラヴェルのワルツを、素晴らしいアンサンブルを好演している。

しかし、モントゥーの指揮で聴くと、この「ラ・ヴァルス」が何と気高く響くことだろうか。
大声を上げない気位の高さ。
この音楽、阿鼻叫喚のような演奏が結構あって(アメリカ系の演奏は特にそう)、ダイナミックレンジの広大さだけが売り物のようなCDも数多いのだが、モントゥーはさすが、大音量でも型くずれしない。絶叫もしない。
何より、品の良さを保ち続ける。

ホルンの甘い音色が遠くでかすかに鳴って、雲間か少しずつ晴れてゆくところなど、何とも云えない絶妙のニュアンス。ストリングスがたゆたうような響きもたまらない。
ヴァイオリン奏者たちが、弾きながら徐々にワルツに乗っていき、身体を揺らしているのが見えてくる、その空気感も素晴らしい。

木管の響きも繊細そのもの。時折出現する、ルバートもたまらない魅力。
これはもう、大家の芸としか言いようがない。

ラヴェルはオーストリアの宮廷を意識して作曲したらしいが、(それもラヴェルらしいパロディなのだろうが)、この作品は、どこをどう取ってもフランス的な傑作であって、イキでイナセでダンディな人に振って欲しいと思う。
マジメ一方な指揮者ではちと苦しいなぁ・・・・ハイティンクやアバドではチトなぁ・・・・。
(でも、彼ら二人のボレロやダフニスはエエですぞ)

やはり、モントゥーの演奏が一番ですかな。
久しぶりの大家の指揮、堪能できました。




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