みかんの部屋

自分の趣味(映画・漫画など)に関しての雑記ブログです。

『レッドタートル ある島の物語』観ました。

2017-10-20 16:00:00 | 劇場用アニメ
2016年:スタジオジブリを主幹とする製作委員会。 仏プリマ・リネア・プロダクションズ制作。 
監督:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット。 セルBDにて視聴。

すでに出来ているアニメをジブリが買い付けたのかと思ったら
そうではなく何とジブリのプロデュースで制作された作品と知り、ちょっとビックリ。
いや~世界も狭くなったものです(^^;
なおヴィット監督はオランダ出身のアニメーターだそうです。

 
大嵐の海のなか、男は必死に泳ぐ。         どことも分らぬ孤島に辿りついて。

大荒れの海を必死に泳ぐ男。乗っていた船が不運にも遭難したのだろうか。
気がつくと、彼はどこか知らぬ無人島の浜辺に打ち上げられていた。
一通り島をひと通り探索したところ、取りあえず水や食べ物は何とかなりそうだ。
だが、やはり”帰る”ことを考えねばならない。
幸いたくさん自生している竹を材料にして男は筏をつくり、島を出る。
しかし沖に出たあたりで筏は何者かの攻撃を受けバラバラにされ、やむなく泳いで引き返す。

 
竹の筏で島を出る。                何者かに攻撃され筏はバラバラに。

何度も筏を壊された後に、ついに犯人が分った。それは大きなアカウミガメ。
彼が島から離れるのを阻止しようとでもしているかのようだ。
アカウミガメが海辺に上がってきた機会をとらえて棒で殴り、甲羅をひっくり返す。

 
犯人はなんと、大きなアカウミガメ。        恨みをこめて何度も棒で殴る。

甲羅をひっくり返されたら、カメの運命はそこまでだ。
何日もかけてカメはジリジリと陽に灼かれ乾燥し、とうとう甲羅に亀裂が走る。
いざカメに死なれてしまうとやり過ぎてしまったという後悔の気持が男にめばえるが、
そのとき不思議な現象が起きる。

  
カメの亡きがらは美しい女性に変貌。        二人の気持ちはじょじょに近づいていく。

アカウミガメの亡きがらは、なぜか人間の女性に変貌していた。
そして二人はいつか愛し合うようになり、人生を共にするようになる。
見かたにもよるが、それは全うされた、美しい人生といえるかもしれない。

初の長編ものですが、ヴィット監督の持ち味が短編同様に発揮されていて、
観ていて涼やかな思いにかられました。
静寂感。一抹の哀しみと幸せ。どこか知らぬ世界へ向けられた憧憬。
これはファンタジーというか、もっとあからさまな言い方をすれば
このアニメは、すべてヴィット監督の妄想を形にしたものといってもいいかもしれません。

本作BDと過去の作品集BDの二枚組で希望小売価格は1万円します。
少し値段が高めなので、躊躇してしまいましたが、結局は購入しました。
以前にWOWOW録画で観たヴィット監督の『父と娘』の素晴らしさが決定打となりました。
それで短編集の方に収録されている『父と娘』をちょっと再生してみました。
輪郭の滲みがちなWOWOW録画に比べて、かなり画質が良くて安心しました