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みかんの部屋

自分の趣味(映画・漫画など)に関しての雑記ブログです。

『殿、利息でござる!』観ました。

2017-03-02 16:00:00 | 邦画
2016年:『殿、利息でござる!』製作委員会。 監督:中村義洋。 WOWOWからの録画。
タイトルが面白そうなので観てみました。
アイディア喜劇の類かと思ったら、ちょっと違いました。広い意味での人情ドラマでした。
それにしても登場人物のほとんどが善人ぞろい。ちょっと甘ったるさを感じてしまいました(^^;

 
仙台藩・吉岡宿。辺鄙な貧乏村。          今夜もまた夜逃げする者が。

ふつう宿場町には宿場町間の物資の輸送を行う「伝馬役」が課せられている。通常なら藩から
助成金が出るのだが、吉岡宿は藩の直轄領ではないため助成金はなかった。このため伝馬役に
かかる費用は全て吉岡宿の負担となり、村は困窮し破産者や夜逃げが相次いだ。
ここで吉岡宿の窮状を案じ、直訴をしようと決意する者がいた。造り酒屋の穀田屋十三郎である。

 
造り酒屋の穀田屋十三郎㊨は直訴を決意する。    周囲の者がうまく取りなしてゴマ化してしまう。

しかし彼の行動は、事態を察した周囲の者たちからうまく誤魔化されてしまう。当時は
お上に直訴などしようものなら、”無礼者”として即刻斬り捨てられても文句の言えない時代だ。
命を懸けて直訴しても、意見が上に伝えられるなどということもなく、ただの殺され損である。
直訴はダメだ。ではどうすれば良いのか。
吉岡宿一番の知恵者とされる茶師・菅原屋篤平治に穀田屋十三郎は相談を持ち込む。
菅原屋篤平治も何日か考えた末、これはあくまで計算上のことだが、と前置きして話しはじめる。

 
一千両と言えば夢のような大金だ。本気なのか?   まずは前もって肝煎りに話を通しておく。

まず我々だけで何とか一千両の金を工面する。それを藩主に貸し付けて利息をいただく。
その利息を伝馬役の費用に充てる。これによって宿の負担は解消し、経済が廻っていくようになる。
いま藩の財政事情は何かと苦しいと聞きおよぶ。われらの方からこのような話を申し入れれば
藩へも上手く話は通るのではないか?
それと頭越しの行動と取られ、後になってへそを曲げられないように肝煎り連には前もって
この話を通しておくことも大事だ。
なかなか周到なこの説明を聞いた者は、全員吉岡宿の未来に明るさを見るようになる。
或る者は書画骨董を売り、また或る者は所有している土地を売って金を作る。
皆が心を合わせて”目標! 一千両”に邁進し始める。

 
藩の窮状に苦慮する重臣たち。           遂に吉岡宿の熱意が通ったと思われたが。

だが現実はなかなか厳しい。苦労のすえ、ようやく願状が藩に届いたものの、出入司(収入役)
はこれを一蹴。百姓どもが強欲にも高利貸しの真似ごとを始めたと見たのだった。
だが吉岡宿の真意が伝わると、今度は銭ではなく黄金で一千両でなくては受け取らないと
言いだした。もっと搾れるだろうとの計算だ。
藩は財政の窮乏から通貨(銭)の鋳造を始めたため、市中の銭の値打ちが
すでに下がりだしていた。だが黄金でなら額面通りに一千両で通用する。
逆にいうなら、銭でならば更に八百貫を追加せねばならないということだ。
穀田屋十三郎たちは更なる奔走を強いられる....。

最初にも書きましたが、登場人物が良い人ばかりなので、背中が何だかむず痒いです(^^;
その辺を我慢?できるなら、これは割と良作といえるのではないでしょうか(^^;

『杉原千畝 スギハラチウネ』観ました。

2017-02-15 16:00:00 | 邦画
2015年:東宝配給。 監督:チェリン・グラック。 WOWOWからの録画。
以前ちょっと話題になった映画なので観てみることにしました。
映画『シンドラーのリスト』でも知られるオスカー・シンドラー氏。きっかけは利己的な
理由によるものだったようですが、結果的に彼の行動は多くのユダヤ人を救うことになった。
その日本版とも言われる杉原千畝氏については殆んど知識がありませんでしたので、
ついでに知識の補強を試みるという側面も自分にはありました(^^;

 
杉原氏の最初の赴任地・ハルビン。         次いでソ連の近接国リトアニアに異動。

学生時代にロシア語を専攻し外交官となった杉原は、配属された満州国外交部にて
着実に成果をあげてゆく。だが生来の正義感と歯に衣着せぬ性格が仇となり、
また関東軍とはソリが合わず嫌気がさして辞表を提出~日本に帰る。
その後ソ連・モスクワ大使館へ異動の辞令が彼に下りる。
ソ連・モスクワ大使館で働くことは杉原の念願だったため素直に喜ぶが、
今度はソ連側から「望ましくない人物」と名指しされて入国を拒否されて赴任の話も立消えに。
ハルビンでの活動により杉原が有能なスパイであることはソ連側もよく知っていたのだった。

 
妻を伴い、リトアニアにて日本領事館を開設。    早速現地での職員募集。

落胆している彼のもとに降りてきたのは新しく設置されるリトアニア領事館の開設業務。
気持ちを切り替え、この仕事を受けることに決め、新婚の妻を伴い任地へ赴く杉原。
領事といっても早い話、日本側のスパイとして各国の秘密情報の収集するのが主要な任務。
それはどこの国のどの領事館だろうと同じこと。
現地の職員として応募してきた者の中にはポーランド系レジスタンス組織に属する人間もいた。
だがスパイとして有能でさえあれば雇用することに躊躇はない。
表向きは運転手として雇うことになる。

 
ポーランド系のレジスタンス。           港にはドイツの軍艦が秘密裡に集結。

ドイツ軍の侵攻により国を失ったポーランドの人たち。多くが故国を取り戻すために
レジスタンスに参加、あるいは自由な地をめざすためのヴィザを必要としていた。
ドイツは先に結んだ独ソ不可侵条約にも関わらずソ連への侵攻を計画、準備を着々と整えていた。
一方、ソ連側もドイツの動きを察知して、リトアニアを始めとする周辺国を併合すべく動いていた。

 
独ソ戦の開始も間近い。              ヴィザを求めて日本領事館に殺到するユダヤ難民。

身近にいるユダヤ系の人たちには、国外への脱出を急ぐよう機会をとらえては説く杉原。
或る者は素直に受け入れてすばやく行動するが、そう急ぐこともないだろうと楽天的に考え
結果的に破滅してしまう別の者もいる。
こうなると、どのような運命を選択するのかはある程度自己責任とも言えそうだ。

 
ヴィザの有効性には心許ないが、発給はする。    ゲシュタポの警告。

遂に独ソ戦が開始。行き場を失うユダヤ系の人たち。どこの国の領事館も
ユダヤ人をハナから相手にしてはくれず、ましてヴィザの発給など問題外。
最後の希望として日本領事館に集まってくる難民たち。
しかし日本政府もユダヤ人に対するヴィザ発給は認めていない。
だが目の前に救いを求めている大勢の人たちを、ではどうするべきなのか。
熟慮の結果、独断でヴィザの発給を決断する杉原。
ゲシュタポからの警告・恫喝を受けながらも、のちに戦勝国によって収監される
まで2,000人以上のユダヤ人に対してヴィザを発給し続けた....。

これは、やはり”美談”というべきなんでしょうか。
本国がヴィザの発給を認めていない以上、彼のしたことは厳密に言えば単なる
スタンドプレイというか、暴走行為でしかないワケでしょうけど。
劇中「外交官としては最低だが友人としては最高だ」というセリフが有りましたが、
まずそのあたりだろうと思います。
本作を観て”諸手を挙げて感動しました”とかはないですが、”時間があるなら
観ても損はないのでは”ぐらいは言えるのでは?

『あん』観ました。

2017-02-12 16:00:00 | 邦画
2015年:日・仏・独。 監督:川瀬直美。 BSP(NHK)からの録画。
評判のよい映画のようなので、観てみました。ですが自分的にはイマイチというか、
これはちょっとどうなのかな~?という気持ちがしてしまいました。

 
どら焼きの店『どら春』。桜の下で営業。      下校時の高校生たちがご愛用。

街の一角に小さなどら焼き屋がある。味がイマイチなこともあり、売り上げもイマイチ(^^;
ご近所さんや高校生あたりがメインの客層の小ぢんまりした商売のようだ。

 
「貼り紙みました。雇って貰えませんか」      餡を味見。これは旨い!

ある日、バイト募集の張り紙を見た高齢の女性が「働かせてください」と懇願してくる。
どら焼き屋もこれでなかなか重いものを持ち上げたりする作業があったりする商売だ。
店主にしてみれば下手に雇って腰でも悪くされては、といったんは断るのだが。
女性が置いていったお手製の餡を何気なく試食してみて店主はビックリ。
それは驚くほど旨い餡だった。

  
缶入りの業務用餡を使っていると知り、一喝!    一から丁寧に餡づくりを教わる千太郎。

これはこちらから頼み込んででも働いてもらべきだと判断した店主・千太郎。
雇ってもらえると知り、大喜びの高齢の女性・徳江。
しかし千太郎がこれまで出来合いの業務用の餡を使っていると知り、
「そんな安易なことではいけません!」と一喝する徳江。
こうして千太郎は餡のつくり方を徳江から懇切丁寧に教えてもらうことになる。

 
苦労の末に、ツヤのある美味しい餡が完成。     『どら春』はたちまち行列ができる店に。

こうして千太郎が皮を焼き、徳江(高齢の女性)が餡をつくる分業体制の日々がはじまる。
リニューアルしたどら焼きの美味しさは忽ち評判を呼び、店には連日行列ができるようになる。

実は徳江には秘密があった。彼女は元ハンセン病患者だったのだ。
もちろん今は完治していて、日常の動作にも特段の困難はない。

 
店が繁盛すると店内の雰囲気も明るい。       売れ行きが止って折角のどら焼きも所在なげ。

あるとき店舗の大家がやってきて、どこで聞きつけたのか徳江がハンセン病患者だった
過去をもち、今も収容施設に住み続けている事実を千太郎に告げ、早く彼女を解雇しろと迫る。
このあたりを境にして、どら焼きの売れ行きはパッタリと止まってしまう。
多分この地域に噂が広まってしまったのだろう。
事態を察知した徳江は自ら身を引く。

この映画を観て思うのは、ハンセン病そのものや患者に対する世間の偏見だと抗議する
でもなく世間さまの受け取りようなんぞそんなものさ、とでもいうか、”ハンセン病”が割と軽く
作劇の一部というか、色付けの一種としてしか扱われていないことです。
たしかに「世間さまの受け取りようなんぞそんなもの」かもしれませんし、大声を上げる
必要もないかもしれませんが、それならそれなりの話への組み込み方があるはずで、
何のアクションも解決も示さずおセンチにお話を締めくくってしまうのはちょっと狡いと感じ
ました。
俳優陣の水準は高く、それぞれがキチンとした仕事ぶりだと納得。ただ脇の内田伽羅はやや
セリフに棒読みの感じがあってイマイチだったかな?(^^;
画質は邦画に多い、浅いコントラストの画調です。

自分はハンセン病に関してさほど知識があるというわけではないのですが、
言えることはインフルエンザなどのように”人にうつる伝染病ではない”ということです。
昔は原因もよく判っておらず、事実上治療の手立ても有りませんでした。
そしていったん病状が進んでしまうと回復することはなく、次第に身体がじわじわと崩壊
してゆくという劇的な過程を辿るしかありませんでした。
一時期のエイズもそうでしたが、いったん罹ると結局は死ぬしかない病気でした。
かつては遺伝だとか伝染病だとか言われましたし、決め手になる治療法がなかったために
不治の病として恐れられましたが、今はいずれも対処法や治療法が確立されています。
当時もハンセン病(=癩病)が伝染病ではないことに気づいていた医者は少数ながらいたよう
ですが、当時の一般の人のハンセン病に対する大きな恐怖心、そしてそれをくみ上げる形で
患者を一生涯隔離してしまうという国策発動のため、そうした意見は無視されてしまったようです。
そしてハンセン病に対するイメージや偏見は根深く一般に染みついてしまったようです。

『スワロウテイル』観ました。

2016-11-16 16:00:00 | 邦画
1996年:ロックウェルアイズ制作。 監督:岩井俊二。 WOWOWからの録画。
公開当時、かなり話題になった映画だと記憶しています。
ただ自分的には冒頭部分を観て、「こりゃ~自分には合わないかな」と視聴を中止した
覚えがあります(^^;
最近観たアニメ『花とアリス殺人事件』の好印象により、改めて岩井俊二監督作品を
チャンと観なおしてみようという気になり、その手はじめがこの『スワロウテイル』。

 
円の都、すなわち円都。              大量の人間が富を求めて日本にやってきた。

かつて日本の通貨”円”が世界一強かった時代のハナシ。
世界中から富と幸運を求めて有象無象の連中がワンサカと日本にやってきた。
或るいはマフィア組織をバックに荒稼ぎする者、また或るいは底辺の労働者
として日々を過ごす者。
シノギの方法はそれぞれだが、日本人からは一様に”円盗”と呼ばれ卑しまれていた。

  
母親に別れを告げる。               ひょんな経緯でグリコの妹分となる。

街の娼婦として何とか食いつないでいた女。
一度は大きな夢を掴みたかったのか、クスリの密売に手を出してマフィア連に
殺されてしまう。女と顔見知りの何人かによる葬式もどき。
女には名無しの娘がひとりいた。行き場をなくした彼女は、あれこれの末に
グリコという名の娼婦の妹分としてアゲハの名をもらい、居場所を得る。
グリコは顔見知りのなんでも屋”あおぞら”にアゲハを連れていく。
金になれば殺しでも何でも請ける連中だが、いったん仲間と認められればその結束は固い。

  
ごみの山から使えそうなものを漁る。        ヤクザの組長に須藤の行方を訊ねるマフィア。

話は変わって。
ヤクザの葛飾組組長のところには穏やかならざる来客があった。華系マフィアの一行だ。
商売上の大事なデータを葛飾組組員・須藤に盗まれてメンツ丸潰れのマフィアたち。
須藤の行方を厳しく問い詰めたが、組長も行方を知らないと分って首を切って殺してしまう。

 
ミキサー車に轢かれ須藤は即死。          これが問題のカセットテープ。

件の須藤だが。グリコの客として彼女の部屋で過ごしていた。だがヤクザ風を吹かして
グリコに乱暴したために、偶々そこを通りかかったアーロウ(元プロボクサー)に殴られ、
窓から突き落とされる。そこを運悪くコンクリートミキサー車に轢かれ、絶命。
成り行きとはいえヤクザを殺したとなると、あとが面倒だろう。
あおぞらの仲間と共に、夜中に遠くまで死体を運んで埋めてしまおうとするが、須藤の
体内に何かが隠されていることに気づく。
それは華系マフィアが必死に探している、一万円札の磁気データが記録されたカセット
テープだった。

結構あれこれと賑やかなストーリーですね~。こういう映画って割と万人向けなのかも。
でもあんまり自分の好みじゃなかったです。
当時かなり評判になった映画だし、自分のような感想をもつ人は多分
少数派なんでしょうけれど。
画質・音質のクォリティに関しては、なんとか水準をキープというか、
よくある日本映画のパターンですね。あんまり期待しちゃイケナイというか....。

『山のトムさん』観ました。

2016-04-01 16:00:00 | 邦画
2015年:WOWOW製作。 監督:上田 音。 WOWOWからの録画。
元々はWOWOWにて放送されたテレビドラマです。視聴者からの好評を得て今回あらためて
映画バージョンとして再構成されたものですが、こちらも一定の評判を得ているようですね。
石井桃子(児童文学作家)さんの『山のトムさん』を原作としています。
戦後の食糧難の時期に宮城県鷺沢村で農家として生活するかたわら作家を続けていたとの
ことで、その当時の体験がこの作品にも反映されているのだと思います。

 
東京から遠く離れた宮城の田舎駅。         駅から一時間ほど歩くとようやく家に着く。

ハナとその甥アキラ。地方の小さな駅から更に一時間かかってようやく自分たちの家に到着。
都会育ちのアキラにしてみれば、とんでもない田舎という感じだろう。
彼は事情あって高校を退学、生活の気分を変えるために田舎で暮らすことを決意したのだった。

 
お世話になっているご近所さんとの挨拶。      毎日を地道な農作業で過ごす。

ご近所とのご挨拶。ときどき出版社との打ち合わせのため上京するのだが、
留守中も何かとお世話になっていることもあるだろう。礼は欠かせない。
ある日ご近所さんの手配でヤギの親子がやってきた。
これで栄養のあるヤギの乳が飲めるし自家製チーズもできる。
なかなか本格的な農家になってきたぞ、という感じ。

   ヤギを飼う。栄養のある乳が飲める。       ネズミ対策として子猫を飼う。

さいきん天井裏でのネズミどもの立てる物音に遠慮がなくなってきた。
実際に調べてみるとその被害も馬鹿にならないようだ。
急いで猫の調達をしなければならないだろう。やってきたのが生まれて間もない子猫。
トムと名付けられ家族から可愛がって育てられる。
ほどなく成長したトムは最初はカエルを獲ることを覚える。狩りの面白さに目覚めて
やがて本命のネズミを獲るようになり、立派に家族の一員となる。

 
トムと名付けた猫を抱っこする。          近所の子供が集まって臨時の朗読会。

小さなさざ波はたっても、これといって大きな事件が起きるわけでもない。
まあ何事もない平穏な日常を淡々と描いているという感じですね。
観ている側にしてもこれは肩のこらない、ある意味”楽”な映画という感じがしました。
こんなんをスローライフとか言うんでしょうかね?(^^;
主演の小林聡美さん(ハナ役)は、こんな何でもない生活にこそ本当の幸せがあるのでは、
という意味のことをコメントされています。