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みかんの部屋

自分の趣味(映画・漫画など)に関しての雑記ブログです。

『ぼくのおじさん』観ました。

2018-01-04 16:00:00 | 邦画
2016年:東映。 監督:山下敦弘。 WOWOWからの録画。
原作は故・北杜夫氏による同名小説。かつて”ドクトルまんぼう”シリーズ(軽いユーモア小説)で
かなり有名だった人ですが、自分の場合『楡家の人々』の分厚い小説が記憶に残っています(^^;
故人となってもう数年以上が経過しています。月日の経つのは早いです。

 
そうだ、おじさんのことを作文に書こう。      左から おじさん、妹、智子おばさん、僕。

主人公はぼくこと雪男(ゆきお)。小学生です。
ぼくのおじさんは大学で哲学を教えています。でもその私生活はぐうたらそのもの。
ぼくの家に居候を決め込んで毎日の大半をぶらぶらと無為に過ごしている。
ある日、学校から作文の課題が出る。周りにいる人間を題材にして書くようにとのこと。
ぼくはお父さんお母さん、あるいは妹を題材にすることも考えたが、結局おじさんを選択。
「大変面白く書けています」こう先生から励まされ、僕はさらに作文を書きつぐことにする。
ところでおじさんがただ一人苦手にしているのが気の強い智子おばさんだ。
その智子おばさんが、おじさんに縁談を持ってきた。

 
おじさんはエリーさん(中央)に瞬恋。      「ハワイにぜひ遊びに来て」とエリーに言われ一大決心。

なんとかお見合いを断ろうとするが、結局は押し切られてしまうおじさん。
しかし実際に会ってみると、意外にも相手のエリーさんは大変な美人で即気に入ってしまう。
エリーさんは亡き祖母が始めたコーヒー農園を継ぐために、近々ハワイに移住するようだ。

 
有り金はたいて三つ星コーラ、ビールを購入。   「なぜだ」 ハワイ旅行は夢と消える。

おじさんには、ハワイにいくお金なんてこれぽっちも無い。
それならばアルバイトでもしてお金を稼げばいいと思うのだが、そんな努力はしたくない。
思いついた方法は、なけなしの財布をはたいて三つ星社のコーラやビールを買い、シールを集め
ハワイ旅行プレゼントに応募すること。
しかし余程の強運の持主でもなければ、そう簡単にハワイ旅行など当たる筈がない。
当然ながら抽選にはずれてしまい、失望のあまり寝込むおじさん。

 
ついに憧れのハワイビーチに。           真珠湾を一望。 僕、エリーさん、おじさん。

しかし神さまはおじさんを見捨てなかった。僕の作文がコンクールで特賞をとったのだ。
その副賞としてハワイ旅行(ただし大人1名の付添が必須)がついてきたワケ。
おじさんはハワイに来てからも相変わらずスチャラカな行動で周囲に迷惑をかけつづける。
あろうことか、日本から”エリーさんの婚約者”と名乗る男が現れた。
エリーさんを懸けて、婚約者とおじさんは血闘をすることになるのだが。

ダメな、どうしようもない人物を中心にストーリーが展開する....
何となくこんな映画って他に観たかな?と思ってたら、
これは寅さん映画によく似てると気がつきました。
日本の”ユーモア映画”にありがちな、ヌルイ、ベタな展開。
そういう意味で自分は寅さんシリーズが好きになれないのですが、
この映画もヌルイ、ベタな点をキッチリ踏襲しているなと感じました。
もっともそんなことばかり考えているとこの映画を楽しめないので、
あまり気にしないで観るようにはしましたが。
ユーモア映画というならば、個人的にはもっと乾いたユーモアの方が好みです。

おじさん役は松田龍平。役柄が役柄なんで、悪くはないがこれ以上どうともできない感じ。
ぼく役の大西利空は対照的にしっかり者のキャラが与えられていますが、時折りみせる
素直な子どもらしさは好感を持ちました。

『麦秋』 観ました。

2018-01-01 16:00:00 | 邦画
1951年:松竹。 監督:小津安二郎。 NHK-BS103からの録画。
66年も前に公開された邦画です。モノクロの画面にスタンダードサイズ。
それだけでも今どきの映画とは全く違う雰囲気ですね。
ストーリーの流れ方にもいかにもな昔あった「静謐さ」が感じられます。
自分の小さいころには、世の中には現在とは異なるゆったりした感覚が
まだ残っていたので、少なからず当時を思い出すことしきり。
もっともあの当時に人々がゆったりした空気を感じていたというわけではなく、
あくまで”いま思いかえしてみれば”ということなのですけど。
いつだって生活というものは、どんな時代でも同じく大変。それは変らないと思います。

 
いつもの慌ただしい朝の風景。           近所の矢部氏と駅のホームで挨拶を交わす。

ひとつ屋根の下で暮らす父母、紀子(=ヒロイン)、兄(=勤務医)、
兄嫁、そして二人の甥たち。
彼女も28歳。そろそろ結婚を真剣に考えるべき年齢だ。

 
専務秘書として有能な紀子。            専務から見合相手の写真を渡されるが。

そんな時に会社の直接の上司・佐竹専務から見合いの話が持ち込まれる。
どうやら相手は専務の親しい友人のようだ。
少し年齢は高めで満40歳。四国の旧家の次男坊とのこと。
世間一般の基準から考えても、悪い話ではなさそうだ。
紀子の様子を見る限り、彼女自身も満更でもなさそうだ。
それで周囲もすっかりそのつもりでいたのだが、ある時を境に事態は急転する。

 
「紀子に良縁が来た」と喜ぶ兄と兄嫁。       紀子の出した意外な結論に、急遽 家族会議。

兄の同僚の矢部医師が秋田へ転勤することが決まった。
彼には母親と幼い娘が一人いる。妻にはかなり以前に先立たれて今は独身。
長い間矢部医師に密かに好意をもってきた紀子は、彼の母親から懇望された
こともあり、彼との結婚を決意。
この突然の成り行きは周囲=家族にはすんなり受け入れられず、
可なりの悶着が起きてしまう。
だが紀子もなかなか強情だ。結局は自分の意志を通してしまう。

むかしの作品なので、色々な意味で「現在の映画とは違う」のですが、
そのあたりを納得して観るのならば、それなりに楽しめると思います。
冒頭にも描きましたが、作品に流れる「静謐な」空気が、今となっては
なかなか貴重なものと感じられました。
ところでタイトルの『麦秋』ですが、”初夏を表す季語”なんだそうです。
麦の収穫時期が初夏のころなので。
もちろんご存知の方も多いでしょうけど、老婆心ながら(^^;


『日本の一番長い日』観ました。

2017-08-18 16:00:00 | 邦画
2015年:松竹+アスミック。 監督:原田眞人。 WOWOWからの録画。
毎年夏になると、特にNHK-TVなどでは先の大戦の記憶を風化させまいとのことなのか、
さまざまに戦争関連の番組が放映されます。
過去の軍国調を懺悔する類の内容が多く見られるのがちょっと気になるところですが。
そして数年前あるいはそれ以前のころに比べれば、全体に戦争関連番組の放送数は
確実に減ってきているような感じもします。
それはともかく、一昨年まえのこの映画、評判がとても良かったことを記憶しています。
最近おりよくWOWOWでの本作の放映があったので、視聴してみました。

 
天皇㊧の意により、鈴木は総理大臣を拝命。    急ぎ組閣の準備に走り回る。

実力以上に戦争の版図を拡げてしまった日本軍。大本営はそれに見合う物資や輸送力
など考慮せず、とどのつまりは余りに過酷な戦いを兵たちに強いる結果になってしまっていた。
軍神とも崇められた山本五十六長官も一式陸攻で作戦移動中に撃墜されるなど、
どの前線においても、じりじりと勢力を後退させていた。
昭和天皇はこの状況を冷静に判断。最早これ以上の損害を出すべきではないと
戦争を早期終結させるための内閣の発足を鈴木貫太郎にゆだねる。

 
同盟国ドイツは陥落寸前。日本も敗色濃い。    遂に東京空襲がはじまる。

かつては”世界に冠たる”をアピールしたナチスドイツも今は落ちぶれ、首都ベルリンに
まで侵攻を許すありさま。この混乱のなか、総統ヒトラーは愛人エヴァとともに自殺。
そんな状況のなか、連合国側は日本に早期の降伏を求めるポツダム宣言を打診してきた。
だが国体の護持(=天皇の地位保全)の保証がないという理由で日本側の多くの者が
宣言受諾を渋る。

 
ポツダム宣言への対応で会議は紛糾する。     広島に新型爆弾投下。市民に甚大な被害。

しかしそんな日本側を急きたてるかのように米国は広島、そして長崎に新型爆弾を投下。
その驚異的なまでの新型爆弾の威力はやはり戦争終結に可なりの効果があったと思える。
そうは言っても、ポツダム宣言の受諾までにはなお会議の紛糾が続いて、ニ度にわたる
天皇の聖断を仰ぐ。
ようやく全体の意見は受諾の方向に向かい、昭和天皇による国民へのスピーチが録音される。
それが8/15に『玉音放送』として全国に放送されるわけです。

 
ニ度も天皇に聖断を仰ぐ大臣たち。        国民に向かって戦争終結を語る天皇。

だが今度は一部の過激な青年将校たちが「なおも徹底抗戦」を叫んで反乱を起こす。
『玉音放送』を阻止すべく、流血も厭わぬ行動に出るが....。
可なりの観ごたえのある良い映画でした。まさに激動の時代=昭和という感じがしましたね~
阿南陸軍大臣演ずる役所広司を始め、充実した俳優陣という感じで”邦画の最高水準作”と
思いました。

『シン・ゴジラ』観ました。

2017-07-25 16:00:00 | 邦画
2016年:東宝。 監督:庵野秀明。 WOWOWからの録画。
もともと自分はゴジラ映画って、あんまり得意じゃないんですが....
この映画はかなり話題になってもいるし、そんならちょっと観てみようかなという
感じでの視聴です。

 
東京湾川崎人工島から突然強い蒸気が噴き出す。   原因と思われる巨大生物はやがて大田区に上陸。

あるとき東京湾・川崎人工島から突然強い蒸気が噴き出す。
多分一過性の自然現象だから心配は要らないでしょうと学者たちは云う。
だが真実は何と正体不明の超大型怪獣の出現が原因だった。
怪獣は東京湾から大田区の河口を遡上、蒲田市街地付近に上陸する。
大混乱に陥る一般の人々。

 
逃げまどう大田区民。               急遽、都庁9Fには災害対策本部が設置されるが。

我先にと逃げまどう大田区民。怪物は住宅地域から次第に都心部に向い、
その被害も急速に深刻化してくる。
急遽、東京都は災害対策本部を都庁9Fに設置。だが都レベルで出来ることは限られている。
何としても日本の最高責任者=総理大臣が直接指揮を取り、米軍にも応援を仰ぐ体制が必要だ。

 
怪物の通った後の街の惨状。            総力を挙げてゴジラと闘う自衛隊。

怪物の通った跡の大田区蒲田の一帯は見る影もなく悲惨な状況となっていた。
首相はじめ日本国民全員が腹をくくって未曾有の事態に向かわねばならないと覚悟を決める。
だが首相命令によって動員された戦闘用ヘリ、戦車、大砲、ミサイルの攻撃を受けても
怪物は一向に応えた様子がない。ヤツは不死身なのか?
追いつめられた人間側は最後の一手に賭ける。この”乗るか反るかの賭け”の目はどう出るか?

 
街はゴジラに蹂躙されて壊滅状態に。        どんなに攻撃されてもゴジラはさして応えていないようだ。

初めに書いたように、自分はゴジラ映画があまり得意じゃありません。
どの作品を観ても展開・結末が似たり寄ったりだし(^^;
しかしこの映画を傑作だと激賞される方も少なからずおられるようです。
それで実際に観てみましたが、やっぱりその理由、自分には良く解りませんでした。
しかしそれはそれ、ものの感じ方は人それぞれということで仕方がないでしょう。
ゴジラの造形に関してはまあまあだと思いますが、目ん玉がちょっとね~。
丸くて可愛くて、自分は即座に”キョロ目ちゃん”と名づけてしまいました(^^;

『軍艦武蔵』観ました。

2017-03-14 16:00:00 | 邦画
1991年:シネマジャパン。 監督:手塚正巳。 セルBDにて視聴。
武蔵は大和級戦艦の二番艦として建造されました。しかし当初の軍部の期待とは異なり、
実際に大型戦艦どうしの戦いによって戦争の勝敗を決するような、いわゆる大艦巨砲の
時代はすでに過去のものとなってしまっていて、一番艦・大和同様にほとんど活躍する
場面はなかった悲運の艦(ふね)でした。
現代の戦争における必勝法とは、多数の航空機により敵に先んじて制空権を掴むこと。
このことを真っ先に実証して見せたのが、マレー沖海戦でした。
日本海軍は、当時最強力とも言われた英戦艦”プリンス・オブ・ウェールズ”を航空機の
攻撃のみで撃沈してみせました。このとき英側に護衛の航空機はありませんでした。
日本側ももちろん「航空機ってのも案外使えるもんだなあ」くらいには思ったでしょうが、
このことの本当の意味を悟ったのは皮肉にもアメリカの方だったようです。
すなわち、”大艦巨砲時代の終焉”です。
ただちにアメリカは戦艦建造予算を空母や航空機にむけてシフトしたという話も聞きます。

 
本作の扉。                    世界最大(当時)戦艦の威容は圧倒的だ。

自分は「武蔵に関する情報なら見てみたい」と思い、アマゾンでポチリました。
実際に視聴してみると資料写真を挟みつつ史実に沿って語られるドキュメント部分と、
当時乗組員だった方たちへのインタビューで構成されています。
ただその語り口は実直ではあるものの、かなり地味だなあという印象を受けました。
さて巨大戦艦の完成は成ったものの、暫くのあいだ関連情報は極秘とされ、
このため帝国海軍兵でさえ実際に大和級を目撃した者は多くなかったようで、
”噂を通してその存在を知っている”レベルに留まることが多かったと聞きます。
海軍にとっては、まさに最大の切り札と位置づけられ大切にされた秘蔵っ子でした。
ただ出し惜しみしすぎて、結局活躍の場を極端に狭めてしまった感はあります。

 
昭和十九年十月十八日《捷一号作戦発動》。     フィリピン周辺の作戦図。

太平洋戦争もいよいよ折り返し地点を過ぎ、各地で徐々に日本側の敗色が濃くなって
きた頃に発動された「捷一号作戦」。
フィリピン・レイテ島への米軍上陸を阻止すべく立案され、投入された日本側艦隊の
陣容は、過去最大とも言える大規模なものでした。
ただ細かく戦略を立てて、いくつにも戦力を分散させるやり方を取ったこの作戦は、
結果的には失敗だったと言わざるを得ないでしょう。
実際に作戦を開始してみると、いくつも大きな齟齬が生じて、これといった戦果は
得られず、それどころか虎の子の武蔵を始めとして多くの艦船を失うことになります。

  
当時の海軍の総力を結集して作戦開始。       武蔵は敵機の波状攻撃を受ける。

当時の日本海軍の総力を結集して作戦は開始されたが、初っ端に旗艦・愛宕が
米潜水艦の魚雷を受け、沈没。このため指揮系統や通信に大きな混乱と齟齬が生じます。
その後シブヤン海に入ってからは武蔵を失ない、もはや作戦の遂行は不可能と考え、
栗田艦隊は引き返そうとするが、連合艦隊指令部から激励電文を受けふたたびレイテに向かう。
だが結局は米第7艦隊と砲火を交えるでもなく、米側の輸送船団を襲うでもなく
ただレイテから去るのみという不可解な行動を栗田艦隊は取ることになります。

 
第二次攻撃時の被弾状況。             もはや満身創痍の武蔵。

2年前のミッドウェー海戦で大敗を喫し、空母4隻および多くの艦載機を一挙に失った連合艦隊。
そのため武蔵・大和を含む大陣容の艦隊でありながら護衛の航空機はなく、いわば丸裸状態。
シブヤン海に入ってからは米側から執拗な波状攻撃を集中的に受け、遂にその命運を閉じる武蔵。
乗員から寄せられていた絶大な信頼感とは違って、結果的には外部からの攻撃には案外もろく
弱かったことになる。
武蔵の装甲は敵戦艦からの砲弾にはかなり強い防御力を示すものの、敵航空機から投下される
爆弾・魚雷となると撃ちこまれる角度が想定と大きく異なるため、装甲設計の古さ、弱点を
突かれてしまった形になってしまった。
近代における本格的な戦艦同士の戦いというと直近では極東における日ロ海戦だが、
この当時、兵器としての航空機はまだ表舞台に立てるほどの水準にはなかった。
明治期に得た体験・知識をいまだに引き摺っていたともいえるかもしれない。

  
元・武蔵の乗組員だった人々。 模型を前に、当時の戦闘のようすが克明に語られて行きます。

インタヴュー中で実際に乗員として武蔵に配置されていた人たちが、当時を思い出して
異口同音に話されたのは『こんな大きな艦が沈む訳がないから絶対安心だと思った』。
冷静に考えれば、どんなに大きな艦でも、原理は水に浮かぶ小さなお椀と同じですから
”大きい船だから沈まない”というのは妙な理屈でしょうけど、
”自分は武蔵という、世界最大最強の戦艦の乗員なのだ”という高揚したプライドが
そう言わせたと考えれば納得です。

ただこのBDの内容は、武蔵が撃沈したところで終るわけではありません。
見えない武蔵史、とでもいうか、沈んだ武蔵からやっとの思いで生き残った人々を
待っていた悲惨な運命。これが可なり重い。やっと陸地に戻れたものの、食料がない。
雑草だろうが木の根だろうが何でも口にした。弱って死ぬ者も多かった。
その後フィリピンの陸上部隊に編入させられ、これまた命を使い捨てにされる運命に。
戦争の悲惨さが否応なしに伝わってくる、たいへん重い内容のBDと感じました。