日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

プラスティックの海洋汚染防止には政治力が必要

2019年09月11日 09時47分57秒 | 日々雑感
 環境汚染の深刻な原因となっているのが、海洋を漂うプラスチックごみだ。海洋ごみにより、魚類、海鳥、アザラシなどの海洋哺乳動物等、少なくとも約700種もの生物が傷つけられたり死んだりしているそうだ。

 プラスティックは、近代文明が発明した安価で安定した素材で悪環境の中でも長期に亘り変質しない特長からありとあらゆる製品に使われており、最終的にはごみとして捨てられるものが多い。

 欧州議会本会議は既に使い捨てプラスチック製品の流通を2021年から禁止する法案を可決している。欧州連合(EU)のほか複数の国がすでに昨年、同様の法律を整備しているそうだ。

 カナダのトルドー首相も使い捨てプラスチックの使用を早ければ2021年にも禁止する方針を発表した。

 安倍首相はG20大阪サミットにて、海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2050年までにゼロにすることを目指す”大阪ブルー・オーシャン・ビジョン”の実現を高らかに表明したが、我が国のプラスティック製品の使用禁止等の具体的な方針は無かった。

 環境省の資料によれば日本の人口1人あたりのプラスチック容器包装の廃棄量は、米国に次いで多いそうだ。この内海洋ごみとなるものはどの程度か分からないが、かなりの量が海洋ごみとなっているに違いない。なんせ2050年までに海に蓄積するプラごみの量は魚を超えると指摘する資料もあるほどだ。

 さて、汚染の元になる使い捨てプラスティク製品を無くして、環境汚染を抜本的に防止するためには、プラスティックの性質改善やプラスティックとは全く異なる素材の開発が必要となる。

 最近外食業界におけるプラスティック製ストローが紙製等に代えられる話がよくマスコミに登場する。外食業界において使用されるストローは全体から見れば微々たるものであり、単に店の宣伝のためのような気がする。

 紙製の他に木製、竹製や麦の茎も話としてはあるようだが、素材は安くても製品として使用するためには通常のプラ製ストローよりコストは数倍かかるそうで、今更ながら石油由来のプラスティックの威力に驚く。

 代替品で有望なのは生分解性と呼ばれる微生物に分解されるプラスチックであるそうだ。さとうきびやとうもろこし等の植物由来の生分解性プラスティックは土中だけでなく海中でも微生物によって分解されるのが特長だそうが、分解速度やコストの課題もあり、今後の更なる改良発展が望まれる。

 また、日本発の革新的な新素材が注目を集めているそうだ。日本の某ベンチャーが開発したライメックスと呼ばれる素材だ。これは、世界各地にほぼ無尽蔵に存在する石灰石が主成分であり、しかも、水や木材をほぼ使用することなく製造ができ、紙やプラスチックの代替製品となる可能性を秘めているからで、北米、欧州、中東などから問い合わせが絶えないそうだ。

 このように色々な提案があるが、従来の石油由来のプラスティックが余りにも便利であったために、これを乗り越えるのには少なくとも製品コストの面で不可能に近い。しかし、海洋汚染は待ったなしだ。このためには使用禁止等の政治的な介入が必要と思われる。折りしも、新環境大臣に就任した小泉進次郎氏に期待したい。2019.09.11(犬賀 大好-530)

児童虐待問題の本質は本能の問題か

2019年09月07日 09時17分16秒 | 日々雑感
 昨年3月、当時5歳の女の子が東京・目黒区のアパートで両親に虐待されて死亡した。暴力は主として父親であり、母親は夫の報復暴力が怖くて子供を守れなかったとのことだ。

 通常子供は、日常頼りにするのは母親であり、母親からいくら邪険にされても最後は母親に抱きつき泣きじゃくり、母親はそれを受け入れ、愛情を確かめる。先の事件で母親に頼れなかった女子児童の気持ちを考えるといてもたってもいられない気持ちになる。

 無力の児童に対する父親の暴力は人間として許されないが、母親は再婚で子供は前夫との子供だあったとのことで、自分の血の繋がらない子供を虐待する話は昔から日本には数多い。特に、継母のいじめ話しが多いが、これは母と子供が一緒にいる時間が多いと言うだけで、継父のいじめも当然あったであろう。

 血の繋がらない子供を虐待するばかりか、死にまで追い詰めるとなると動物の世界における子殺しを思い出させる。子殺しとは親が子を殺すことである

 動物の世界では、母親が自分の安全を顧みず必死で我が子を守る姿が放映され涙を誘うが、これとは真逆の話もあるのだ。

 例えば、生命力の溢れる雄が多数の雌をハーレムとして持ち、雌達との間で子供を作る。この雄が元気で君臨している間は平穏であるが、世代交代はいつかはやって来る。

 世代交代で新たにハーレムに君臨した雄は、その群れの雌が抱えている乳児を全て殺してしまうということがインドのある種のサルで確認されているそうだ。この子殺しは、突発的、異常などではなく、群れを乗っ取った雄は必ずこうするのだというから驚きだ。この子殺し行動は、ライオンやジリス、イルカなどいくつかの群でも確認されているのだそうだ。

 また子殺しは雄ばかりでなく、雌にもあるそうだ。鳥類の中のある種の鳥は雄が子育てを行が、その雄が育てている雛を、縄張りを持たない雌が襲撃し殺してしまい、この雌にも自分の子を残す可能性を求めるのだそうだ。

 自分の子供を必死で守る親、他人の子供を殺してしまう親、共に自分の子孫を残そうとする本能のなせる業だ。

 このように自分の子孫を残すために、他人の子供を殺す行為は動物世界では広く見られ、先の5歳児が死亡した事件も、動物世界全般で見ると特異な現象ではなさそうだ。

しかし、人間には理性があり、本能を抑制する教育もある。少子高齢化の真っただ中の現在、子供は社会の宝だが、それでも児童虐待の事件は尽きない。

 政府も相次ぐ虐待事件の対策に動きだし、2020年4月から改正「児童虐待防止法」が施行される予定だ。この改正では、親権者がしつけ名目で子どもに体罰を加えることを禁止する、等の他、児童を保護する仕組みも盛り込まれているが、この法律改正に虐待を抜本的に防止する実効性はあるのだろうか。

 動物世界に見られるように、虐待は本能的な要素も多分に含まれていることを想うと、人間は理性が進化したとは言え、簡単に無くならないような気がする。法律で禁止される風俗が無くならないのと同じである。
2019.09.07(犬賀 大好-529)

インターネットの普及と放送法の時代遅れ

2019年09月04日 09時18分32秒 | 日々雑感
 NHKにテレビ番組のインターネット常時同時配信を認める改正放送法が今年5月の参院本会議で成立した。今回の法改正によって24時間いつでも放送と同時にインターネットで配信できるようになり、地上波の総合テレビとEテレの全番組がパソコンやスマホで視聴可能になるそうだ。

 最近のテレビ番組は概して民放を含めて面白くない。これがインターネットとの融合で面白くなればと思うが、放映内容とは全く別問題であろう。

 さて、放送法は時代の流れに合わせるようにたびたび改正されている。2014年の放送法改正では、災害報道や大型スポーツ中継などに限って同時配信が認められていたが、これだけでは不十分として、今回の改正になったのであろう。これによりNHKは、本年度中にネット向けの新サービスを始めることができることになったようだ。

 NHKは、既に自前の有料配信サイト、NHKオンデマンドと称するサービスを実行しており、これとの関係はどうなるか整理が出来ているのであろうか。NHKは受信料を取るからにはすべてのサービスは無料であって然るべきだが。 

 そもそも放送法は1950年に生まれ、放送・日本放送協会・放送事業者の規律に関する内容を規定する、日本の法律である。目的は、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることにあり、国民がどこでも公平に視聴できるように設備を整える必要性等から、受信料を徴取できるようになっているのだ。

 この放送法はラジオやテレビが主体の時代に出来たため、現在のインタ-ネットの普及により、インターネットを取り入れないと放送自体の存続が危ぶまれる時代となっているのだ。放送法の目的とする公共の福祉に適合すれば、インターネットを取り込んでも何ら問題無いと思うが。

 この点時代に合わせた放送法改正は止むを得ないと思うが、それより受信料について明確に定める放送法の改正こそ必要ではなかろうか。すなわち、現放送法は、受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない、と規定しているが、受信料を払わなくてはならないとの文言はなく、支払いについては義務付けてはいないのだ。これがNHKをぶっ潰すを公約に掲げたN国党が指摘している点だ。

 NHKには、経営に関する基本方針、内部統制に関する体制の整備をはじめ、毎年度の予算・事業計画、番組編集の基本計画などを決定し、役員の職務の執行を監督する機関として、経営委員会が設置されている。

 受信料の徴取に関しては、最高裁が法律に規定されていないからと言って徴取するのは法律違反ではないとの判決にすっかり安心しきっているのか、経営委員もこの点を全く取り上げようとしない。NHKがインターネットまで乗り出すと、インターネット関連のサービスは広く、受信設備は実に多岐に亘り、現受信料制度に疑問や不満を感じている国民はますます増えるであろう。

 経営委員会の構成員は恐らくインターネットに疎い高齢者ばかりであろう。N国党の放送のスクランブル化要請に正当な根拠を持って反論できるであろうか。2019.09.04(犬賀 大好-528)