日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

児童虐待問題の本質は本能の問題か

2019年09月07日 09時17分16秒 | 日々雑感
 昨年3月、当時5歳の女の子が東京・目黒区のアパートで両親に虐待されて死亡した。暴力は主として父親であり、母親は夫の報復暴力が怖くて子供を守れなかったとのことだ。

 通常子供は、日常頼りにするのは母親であり、母親からいくら邪険にされても最後は母親に抱きつき泣きじゃくり、母親はそれを受け入れ、愛情を確かめる。先の事件で母親に頼れなかった女子児童の気持ちを考えるといてもたってもいられない気持ちになる。

 無力の児童に対する父親の暴力は人間として許されないが、母親は再婚で子供は前夫との子供だあったとのことで、自分の血の繋がらない子供を虐待する話は昔から日本には数多い。特に、継母のいじめ話しが多いが、これは母と子供が一緒にいる時間が多いと言うだけで、継父のいじめも当然あったであろう。

 血の繋がらない子供を虐待するばかりか、死にまで追い詰めるとなると動物の世界における子殺しを思い出させる。子殺しとは親が子を殺すことである

 動物の世界では、母親が自分の安全を顧みず必死で我が子を守る姿が放映され涙を誘うが、これとは真逆の話もあるのだ。

 例えば、生命力の溢れる雄が多数の雌をハーレムとして持ち、雌達との間で子供を作る。この雄が元気で君臨している間は平穏であるが、世代交代はいつかはやって来る。

 世代交代で新たにハーレムに君臨した雄は、その群れの雌が抱えている乳児を全て殺してしまうということがインドのある種のサルで確認されているそうだ。この子殺しは、突発的、異常などではなく、群れを乗っ取った雄は必ずこうするのだというから驚きだ。この子殺し行動は、ライオンやジリス、イルカなどいくつかの群でも確認されているのだそうだ。

 また子殺しは雄ばかりでなく、雌にもあるそうだ。鳥類の中のある種の鳥は雄が子育てを行が、その雄が育てている雛を、縄張りを持たない雌が襲撃し殺してしまい、この雌にも自分の子を残す可能性を求めるのだそうだ。

 自分の子供を必死で守る親、他人の子供を殺してしまう親、共に自分の子孫を残そうとする本能のなせる業だ。

 このように自分の子孫を残すために、他人の子供を殺す行為は動物世界では広く見られ、先の5歳児が死亡した事件も、動物世界全般で見ると特異な現象ではなさそうだ。

しかし、人間には理性があり、本能を抑制する教育もある。少子高齢化の真っただ中の現在、子供は社会の宝だが、それでも児童虐待の事件は尽きない。

 政府も相次ぐ虐待事件の対策に動きだし、2020年4月から改正「児童虐待防止法」が施行される予定だ。この改正では、親権者がしつけ名目で子どもに体罰を加えることを禁止する、等の他、児童を保護する仕組みも盛り込まれているが、この法律改正に虐待を抜本的に防止する実効性はあるのだろうか。

 動物世界に見られるように、虐待は本能的な要素も多分に含まれていることを想うと、人間は理性が進化したとは言え、簡単に無くならないような気がする。法律で禁止される風俗が無くならないのと同じである。
2019.09.07(犬賀 大好-529)