世界的にガソリン車から電気自動車(EV)への転換の流れが急である。その最大の原因は地球温暖化対策として、各国の政府の後押しがあるからである。
ノルウェーとオランダは2025年からガソリン・軽油車の販売を禁止すると決めた。フランスとイギリスも2040年までにガソリン・軽油車の販売を停止するとしているがそれより15年も前倒しだ。インドや米カリフォルニア州でもそのような動きがあるようだが、我が日本には見られない。
ノールウェーは政策として、電気自動車は付加価値税や新車登録税が免除されるため、ガソリン車より安く購入出来るとのことだ。また、高速道路やフェリー料金もが無料となるため、購入希望者は電気自動車を選択するそうだ。そんな得があれば誰だって間違いなく電気自動車を選択する。
ノールウェーは電力供給の約99%を水力発電で賄える程水資源が豊かな一方、西欧最大の産油国としてその大半を輸出しているとのことだ。自国からは温室効果ガスを出さなくても、他の国ならば良しとするこの姿勢には矛盾を感ずる。電気自動車をこれほど優遇するには国の税金もかなり注ぎ込んでいると思われるが、単なる人気取り政策であろうか。
また、世界最大の自動車市場である中国が、今年9月末にEVシフトを大きく加速させるための政策を発表した。この政策は、EV等の新エネルギー使用車を総生産台数の一定割合以上にしなければならないとした企業への義務制度だ。
要は、ガソリン車の製造を制限し、電気自動車の生産を奨励する政策であるが、背景は地球温暖化対策の大義名分を掲げているが、中国自動車企業の育成を図る政策だとのことである。
すなわち中国の自動車企業はガソリン車では技術的な面で欧米や日本に太刀打ち出来ないので、新しい技術である電気自動車の開発に力を入れてきたとのことである。そこで政府も国内企業の育成に力を入れたとの戦略であろう。
日本では、日産が電気自動車を早くから手掛けているが、現在はガソリンと電気を両用するハイブリッド車に圧倒されている。トヨタ自動車はハイブリッド車で我が世の春を謳歌しているが、ガソリンエンジン技術者を多く抱え込むため、全面的に方向転換は難しいとのことである。
現在、いくつかの国で、国が先導して電気自動車等の普及に励んでいるが、問題は国の支援が無くなった時だ。国の支援、例えば補助金は税金で賄われるが、永遠に続ける訳にはいかない。補助金が無くなった場合、ガソリン車と比較して電気自動車のコストパーフォーマンスが高くなっているかが問題である。
構造的に見ると、電気の方がはるかに部品点数が少ないため安く出来る可能性は大きい。電気自動車は複雑な内燃機関を必要とせず、3~5割減との話だ。しかし、現状電気自動車の方がガソリン車よりはるかに高い。現時点では電気自動車の方が生産台数は少ないため、量産効果が少ない影響もあるかも知れないが、電池の価格が半分近くを占めている為であろう。電気自動車の普及を妨げているのは電池の性能と値段だ。
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2010年には、画期的な性能向上を掲げて開発に着手し、2030年までに目標を達成するとした。この目標が達成できれば、十分にガソリン車の代替が可能になると言われているが、あれから10年近く経つがが性能は何処まで進化したのであろうか。未だ飛躍的な向上があったとの話は聞こえてこない。それほど電池の性能向上は難しいのであろう。
現在最有力視されているのはリチウムイオン電池であり、ノートパソコンや携帯電話機には広く使用されている。この電池は特に大容量化が困難と言われているが、携帯電話機用の電池にしても、毎日のように充電しなくてはならない現状をみると将来が暗くなる。
これまでリチウムイオン電池の製造は、そのほとんどを日本や韓国、中国といったアジア圏のメーカーが担ってきたが、車載用の電池が開発されれば新たな巨大市場の出現すると、米国や欧州の企業もこの電池の開発製造に加わりつつある。競争が技術の進歩を加速するので、思わぬ性能向上があるかも知れない。
ノルウェーとオランダは2025年からガソリン・軽油車の販売を禁止するとしたが、7~8年後はすぐそこだ。どのような車社会が待ち受けているだろうか。2017.12.13(犬賀 大好-398)
ノルウェーとオランダは2025年からガソリン・軽油車の販売を禁止すると決めた。フランスとイギリスも2040年までにガソリン・軽油車の販売を停止するとしているがそれより15年も前倒しだ。インドや米カリフォルニア州でもそのような動きがあるようだが、我が日本には見られない。
ノールウェーは政策として、電気自動車は付加価値税や新車登録税が免除されるため、ガソリン車より安く購入出来るとのことだ。また、高速道路やフェリー料金もが無料となるため、購入希望者は電気自動車を選択するそうだ。そんな得があれば誰だって間違いなく電気自動車を選択する。
ノールウェーは電力供給の約99%を水力発電で賄える程水資源が豊かな一方、西欧最大の産油国としてその大半を輸出しているとのことだ。自国からは温室効果ガスを出さなくても、他の国ならば良しとするこの姿勢には矛盾を感ずる。電気自動車をこれほど優遇するには国の税金もかなり注ぎ込んでいると思われるが、単なる人気取り政策であろうか。
また、世界最大の自動車市場である中国が、今年9月末にEVシフトを大きく加速させるための政策を発表した。この政策は、EV等の新エネルギー使用車を総生産台数の一定割合以上にしなければならないとした企業への義務制度だ。
要は、ガソリン車の製造を制限し、電気自動車の生産を奨励する政策であるが、背景は地球温暖化対策の大義名分を掲げているが、中国自動車企業の育成を図る政策だとのことである。
すなわち中国の自動車企業はガソリン車では技術的な面で欧米や日本に太刀打ち出来ないので、新しい技術である電気自動車の開発に力を入れてきたとのことである。そこで政府も国内企業の育成に力を入れたとの戦略であろう。
日本では、日産が電気自動車を早くから手掛けているが、現在はガソリンと電気を両用するハイブリッド車に圧倒されている。トヨタ自動車はハイブリッド車で我が世の春を謳歌しているが、ガソリンエンジン技術者を多く抱え込むため、全面的に方向転換は難しいとのことである。
現在、いくつかの国で、国が先導して電気自動車等の普及に励んでいるが、問題は国の支援が無くなった時だ。国の支援、例えば補助金は税金で賄われるが、永遠に続ける訳にはいかない。補助金が無くなった場合、ガソリン車と比較して電気自動車のコストパーフォーマンスが高くなっているかが問題である。
構造的に見ると、電気の方がはるかに部品点数が少ないため安く出来る可能性は大きい。電気自動車は複雑な内燃機関を必要とせず、3~5割減との話だ。しかし、現状電気自動車の方がガソリン車よりはるかに高い。現時点では電気自動車の方が生産台数は少ないため、量産効果が少ない影響もあるかも知れないが、電池の価格が半分近くを占めている為であろう。電気自動車の普及を妨げているのは電池の性能と値段だ。
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2010年には、画期的な性能向上を掲げて開発に着手し、2030年までに目標を達成するとした。この目標が達成できれば、十分にガソリン車の代替が可能になると言われているが、あれから10年近く経つがが性能は何処まで進化したのであろうか。未だ飛躍的な向上があったとの話は聞こえてこない。それほど電池の性能向上は難しいのであろう。
現在最有力視されているのはリチウムイオン電池であり、ノートパソコンや携帯電話機には広く使用されている。この電池は特に大容量化が困難と言われているが、携帯電話機用の電池にしても、毎日のように充電しなくてはならない現状をみると将来が暗くなる。
これまでリチウムイオン電池の製造は、そのほとんどを日本や韓国、中国といったアジア圏のメーカーが担ってきたが、車載用の電池が開発されれば新たな巨大市場の出現すると、米国や欧州の企業もこの電池の開発製造に加わりつつある。競争が技術の進歩を加速するので、思わぬ性能向上があるかも知れない。
ノルウェーとオランダは2025年からガソリン・軽油車の販売を禁止するとしたが、7~8年後はすぐそこだ。どのような車社会が待ち受けているだろうか。2017.12.13(犬賀 大好-398)