日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

電気自動車の将来は電池の性能にかかっている

2017年12月13日 09時14分48秒 | 日々雑感
 世界的にガソリン車から電気自動車(EV)への転換の流れが急である。その最大の原因は地球温暖化対策として、各国の政府の後押しがあるからである。

 ノルウェーとオランダは2025年からガソリン・軽油車の販売を禁止すると決めた。フランスとイギリスも2040年までにガソリン・軽油車の販売を停止するとしているがそれより15年も前倒しだ。インドや米カリフォルニア州でもそのような動きがあるようだが、我が日本には見られない。

 ノールウェーは政策として、電気自動車は付加価値税や新車登録税が免除されるため、ガソリン車より安く購入出来るとのことだ。また、高速道路やフェリー料金もが無料となるため、購入希望者は電気自動車を選択するそうだ。そんな得があれば誰だって間違いなく電気自動車を選択する。

 ノールウェーは電力供給の約99%を水力発電で賄える程水資源が豊かな一方、西欧最大の産油国としてその大半を輸出しているとのことだ。自国からは温室効果ガスを出さなくても、他の国ならば良しとするこの姿勢には矛盾を感ずる。電気自動車をこれほど優遇するには国の税金もかなり注ぎ込んでいると思われるが、単なる人気取り政策であろうか。

 また、世界最大の自動車市場である中国が、今年9月末にEVシフトを大きく加速させるための政策を発表した。この政策は、EV等の新エネルギー使用車を総生産台数の一定割合以上にしなければならないとした企業への義務制度だ。

 要は、ガソリン車の製造を制限し、電気自動車の生産を奨励する政策であるが、背景は地球温暖化対策の大義名分を掲げているが、中国自動車企業の育成を図る政策だとのことである。

 すなわち中国の自動車企業はガソリン車では技術的な面で欧米や日本に太刀打ち出来ないので、新しい技術である電気自動車の開発に力を入れてきたとのことである。そこで政府も国内企業の育成に力を入れたとの戦略であろう。

 日本では、日産が電気自動車を早くから手掛けているが、現在はガソリンと電気を両用するハイブリッド車に圧倒されている。トヨタ自動車はハイブリッド車で我が世の春を謳歌しているが、ガソリンエンジン技術者を多く抱え込むため、全面的に方向転換は難しいとのことである。

 現在、いくつかの国で、国が先導して電気自動車等の普及に励んでいるが、問題は国の支援が無くなった時だ。国の支援、例えば補助金は税金で賄われるが、永遠に続ける訳にはいかない。補助金が無くなった場合、ガソリン車と比較して電気自動車のコストパーフォーマンスが高くなっているかが問題である。

 構造的に見ると、電気の方がはるかに部品点数が少ないため安く出来る可能性は大きい。電気自動車は複雑な内燃機関を必要とせず、3~5割減との話だ。しかし、現状電気自動車の方がガソリン車よりはるかに高い。現時点では電気自動車の方が生産台数は少ないため、量産効果が少ない影響もあるかも知れないが、電池の価格が半分近くを占めている為であろう。電気自動車の普及を妨げているのは電池の性能と値段だ。

 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2010年には、画期的な性能向上を掲げて開発に着手し、2030年までに目標を達成するとした。この目標が達成できれば、十分にガソリン車の代替が可能になると言われているが、あれから10年近く経つがが性能は何処まで進化したのであろうか。未だ飛躍的な向上があったとの話は聞こえてこない。それほど電池の性能向上は難しいのであろう。

 現在最有力視されているのはリチウムイオン電池であり、ノートパソコンや携帯電話機には広く使用されている。この電池は特に大容量化が困難と言われているが、携帯電話機用の電池にしても、毎日のように充電しなくてはならない現状をみると将来が暗くなる。

 これまでリチウムイオン電池の製造は、そのほとんどを日本や韓国、中国といったアジア圏のメーカーが担ってきたが、車載用の電池が開発されれば新たな巨大市場の出現すると、米国や欧州の企業もこの電池の開発製造に加わりつつある。競争が技術の進歩を加速するので、思わぬ性能向上があるかも知れない。

 ノルウェーとオランダは2025年からガソリン・軽油車の販売を禁止するとしたが、7~8年後はすぐそこだ。どのような車社会が待ち受けているだろうか。2017.12.13(犬賀 大好-398)

将棋などの勝負の世界における人口知能の発展

2017年12月09日 09時24分46秒 | 日々雑感
 中学生であり、最年少プロである藤井翔太四段は、将棋界最多の29連勝を達成し一躍有名になった。彼がトップ棋士を破るまでに急成長した背景には、将棋ソフトの活用があると言われている。将棋ソフトと対戦したり、自分の対局をソフトに検討させたりして役立てるのだそうだ。彼の利用した将棋ソフトは、最先端の人工知能(AI)を利用したものではないだろうが、それでも十分役に立っている。これからの若者は、他人との対戦ではなく、コンピュータとの対戦により、強くなっていくのだろう。

 囲碁や将棋の世界ではコンピュータ抜きでは考えられなくなった。コンピューター将棋ソフトと人間との勝負も既に行われており、ポナンザと称する将棋ソフトが山崎八段や佐藤名人に勝ったのだそうだ。更に、「世界コンピュータ将棋選手権」というコンピュータ同士の将棋の大会で、ポナンザが決勝戦で初登場のエルモに負けるという、番狂わせが起こったそうだ。将棋プログラムの世界は日進月歩なのだ。

 囲碁の世界でも、最先端のAI技術を用いたソフト;アルファ碁(AlphaGo)が圧倒的な力を発揮しているそうだ。2016年3月には、韓国人、イ・セドル氏との五番勝負で勝利し、韓国棋院に名誉九段を授与された。また、2017年5月には、中国人、柯潔との三番勝負で3局全勝を挙げ、中国囲棋協会にプロの名誉九段を授与されたそうだ。

 十数年前、チェスの勝負において、コンピュータが人間を打ち負かした際でも、将棋や囲碁においては余りにも選択肢が多いため、ソフトが勝つのは無理だろうと言われた。しかし、時代は一変した。

 AlphaGoのソフトウェアには、囲碁のルールは組み込まれていないそうだ。若い時、多少ソフトウェアをかじった筆者には、すべての手順が書き込まれているのがソフトウェアと思い込んでいたが、そうではないようだ。

 AIで用いられるニューラルネットとは、人間の脳内にある神経回路網を人工ニューロンという数式的なモデルで表現したものだそうだ。近年、深層学習(ディープラーニング)と言う言葉をよく耳にするが、ニューラルネットはその土台となる仕組みだそうだ。と説明されても、さっぱり要領を得ないが、従来のソフトとは記述法からして全く異なるようだ。

 コンピュータがある結論を出した場合、従来のプログラミング手法ではフローチャートに従ってコードを追っていけばその理由が分かるが、ニューラルネットにおいては接続の強さを表すパラメーターだけで、どうしてそうなるかはブラックボックスになっているのだそうだ。

 ディープラーニング(Deep Learning)とは、十分なデータ量の下、機械が自動的にデータから特徴を抽出してくれる学習法のことだ。学習する能力が高く、勝負においてたまたま人間がAIに勝ったとしても、AIはすぐに学習するので、同じ手法は2度と使えない。これまで定石と言われてきた手はすべて覚え込んでいるので、対コンピュータの攻略法としては、これまでに無い手を打って混乱させることだそうだ。これまで通り定石を覚える必要があるが、覚えた定石を使うのではなく、定石に無い手を打つために覚える必要があると言う訳だ。

 既に人類最強と言われた棋士・柯潔を破ったAlphaGoは、名実ともに永世最強の称号を手に入れたと思われたが、そのAlphaGoに対し100戦全勝の新星AlphaGoZeroが2017年10月に登場したとの発表があった。新旧AlphaGoの最大の違いは、AIによる独自学習だそうだが、やっぱり何のことか理解できない。

 兎も角、囲碁の世界でのAIの進歩は急で、とっくに人間の能力を超えたと思われるが、この応用が色々な面に及ぶと考えると空恐ろしくなる。映画ターミネータの世界も現実味を帯びてくる。

 しかし、専門家の間でも新たな概念を生み出す能力は人間には到底及ばないとの見方が強いが、人間の脳の働きに関する研究もどんどん進んでいる。いつ何時、創造力のあるコンピュターが登場するか分からない。怖いもの見たさの好奇心が半分、人類衰退の懸念半分。2017.12.09(犬賀 大好-397)

小池都知事の名誉回復はなるか

2017年12月06日 16時43分09秒 | 日々雑感
 小池都知事の勢いはすっかり失われた。今年10月末の衆議院総選挙において希望の党の代表として国政に乗り出したが、民進党議員の希望の党への合流問題で大失敗をし、その後の総選挙で大敗を喫したことが象徴である。

 更に、11月13日に開票された葛飾区議選では、小池氏が特別顧問を務める地域政党、都民ファーストの会は、公認候補者5人のうち4人が落選し、当選は前職1人となった。希望の党が衆院選で失速したのに続き、都民ファーストの会も区議選で惨敗する結果になり、小池都知事の神通力はすっかり失われてしまった。

 11月10日には、希望の党の共同代表選挙が実施され、玉木雄一郎氏が初代共同代表に選出された。玉木氏は安保法制賛成、憲法改定賛成と小池氏に近く、それに安心したのか、同月14日小池氏が希望の党代表を辞任し、都知事に専念すると宣言した。ようやく元の鞘に納まった分けだ。

 小池氏の人気が凋落したと言え、依然として都知事であり、議会では都民ファーストの会が第1党であることには変わりは無い。そこでは指導力を充分発揮できるであろうし、また都知事選での公約である、待機児童ゼロ、残業ゼロ、満員電車ゼロ、ペット殺処分ゼロ、介護力ゼロ、都道電柱ゼロ、そして多摩格差ゼロ、を実現する義務がある。

 これらのゼロ計画はどれ一つとっても実現は容易でないが、実現できれば都の歴史に名を遺すであろう。しかし、残業ゼロに関しては都の職員に対して号令一下出来るかも知れないが、そうは出来ない一般企業からは総スカンを食うだろう。今でも待遇の良い都職員が更に厚遇されるとなると一般都民からも批判を受ける。この場合後世に悪名を遺すことになるが。

 また、総選挙での希望の党の選挙公約では、景気回復を確実にするため、2年後の消費税増税の凍結や代替財源として約300兆円ある大企業の内部留保への課税を検討するとした。希望の党は惨敗を喫したため、この選挙公約の実現は無くなったが、企業の内部留保の対する問題提起は、自民党にも影響している。これは小池氏の功績と言えるであろう。

 自民党の中堅・若手議員でつくる勉強会;次世代の税制を考える会は12日、企業の内部留保への課税を検討するよう政府や党税制調査会に働き掛けていく方針を固めたからだ。アベノミクス景気で企業は大儲けしているのに、企業が内部に大金を貯め込んで社員に還元しないのになぜ問題にならないか不思議に思っていたが、これで少しは理由がはっきりして来るだろう。

 さて、小池都知事のこれからの大きな課題は豊洲移転・築地再開発問題と2020年東京五輪・パラリンピックの開催である。ここにおいて手腕を発揮できれば、名誉回復となるかも知れない。

 前者に関し、今年6月発表の基本方針では豊洲市場の将来像を総合物流拠点とする一方、築地を食のテーマパーク機能を有する一大拠点とするとした。移転賛成、反対派が争う中、両者に花を持たせた旨い提案であると思ったが、そんなに甘くは無かった。

 豊洲市場内で商業施設”千客万来”を運営予定の万葉倶楽部が、築地との競合を懸念し撤退も検討すると表明したのだ。この時期に及んでなぜ言い出したのか理解できないが、これに呼応して地元の江東区長が千客万来施設の整備が確定しない限り、市場の受け入れを再考せざるを得ない、と表明した。江東区長は、豊洲が物流拠点だけでは集客できないと判断しているのであろう。

 小池氏は状況打開のため、千客万来を最優先するメッセージを出したが、さてどのように収めるであろうか。両者に良い顔をしたいが、共存は無理な気がする。

 最近マスコミの話題にならないが、築地移転の遅れは莫大な補償費用の発生につながっているはずであり、少しでも早く決着する必要がある。小池氏の腕の見せ所であり、名誉回復のチャンスでもある。2017.12.06(犬賀 大好-396)

人の生き様を3人の東大卒業生に見る

2017年12月02日 09時08分59秒 | 日々雑感
 死を迎える時、自分の人生が満足であったと言えるために、生前何をすべきかは永遠のテーマである。人には各自各様の志があり、その志に向かって日常を送ることが有意義な生き方である、との教えは納得できる。しかし、若いときの志は、日常の生活に追われ、忘れ去られることしばしばである。

 最近の小学生・中学生の子供に将来何になりたいかを聞くと、スポーツ選手を筆頭に、幼稚園・保育園の先生、看護師・介護福祉士、医師・歯科医・薬剤師と続くのだそうだ。しかし“わからない”と答えた児童の割合が16.7%ということで、最も就きたい職業だったスポーツ選手の14.0%よりも多っかったとのことだ。この結果をもって、最近の若者に志が低いとか無いとか結論するのは早とちりだ。

 アンケートの取り方によって、他人の役に立ちたい、他人の出来ないことをやってみたい、が上位を占めるのは間違いない。ただ、そうするためにはどうすればよいかが分からないだけだ。

 情けないことに、現実には人を騙して金儲け、人を蹴落として出世する風潮が幅を利かしている。金がいくら貯まれば金儲けしたことになるのか、どこまで出世したら出世したことになるのか、そのような欲望には、限界が無いのも事実である。金儲けや出世は別の何かをするための手段であることを認識すれば、自ずからある程度で我慢できるだろうが。

 最近、東大卒業生で政治家や官僚になった人の生き様が気になるが、彼らの志は何だろうと思うことが多い。東大に入るためには、人一倍の努力が必要だ。その努力を生み出す源泉には、何かをしたいとの志がある筈である。

 今回の衆議院総選挙で落選した豊田真由子氏は東大卒でハーバード大に留学した華々しい経歴を有するが、彼女の志は何であったのだろうか。その志を政治家になることによって成し遂げたかったと推測されるが、秘書を罵倒したことで政治生命を絶たれた。これにより志が途絶えたとすると彼女の人生は余りにも情けない。

 国税庁長官佐川宣寿氏は東大経済学部卒業であり、大蔵省に入省し、志は人一倍高いと思われる。佐川氏は財務省理財局長を務めていた当時、大阪府内の国有地が当初の評価額より八億円以上安い価格で売却されていた経緯について、交渉記録の文書を破棄し、また記憶に無いと国会で答弁した。

 東大に入学するためには、一を聞いて十を知る洞察力と、抜群の記憶力が必要であり、交渉の経緯を詳細に知っている筈である。本来であればその高い能力を披露したかったであろうが、役人は上司である政治家の意向を忖度しなけば、出世できない。佐川氏自身も少なくとも若い頃は国民のために役立ちたいとの志はあったはずである。この志を全うするためには出世が不可欠と判断して、先の忘れたふりをしたのであろう。

 結果国税庁長官に上り詰めたが、税務は公平であることを基本としなければならない。しかし、長官の立場でそんな訓示を垂れても、佐川氏の辞書には公平さの言葉は無いと誰もが知ってしまった。佐川氏自身にもこれまで何のために苦労して勉強してきたのだろうかの疑念ないのであろうか。

 一方、東京大学卒で文科省事務次官などを歴任した前川喜平氏は、5月の記者会見で、総理のご意向などと書かれた文科省の内部文書を本物と認め、公平公正であるべき行政のあり方がゆがめられた、などと証言した。

 この証言により、事務次官退官後の優雅な天下り先への就職を絶たれたが、現在週に1回、厚木市と福島市で夜間中学校の講師として活動しているそうだ。人にはいくつになっても学ぶ権利があり、学べる手立てが講じられるべきだとの信念の下、これまで夜間中学は義務教育の最後のよりどころであるとして、拡充を訴えてきたそうだ。

 前川氏は、現在自ら夜間中学での講師になり、志を全うしているに違いない。料亭で皆におだてられて美食するより、心は充実している筈である。2017.12.02(犬賀 大好-395)