日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

難民問題への日本の取り組み

2015年12月30日 09時01分09秒 | 日々雑感
 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、12月18日、戦争などによる難民や国内避難民ら「強制的に避難させられた人々」の今年の全世界総数は6千万人を大幅に超え、過去最高を記録する見込みだと、発表した。日本国民の約半数に当たる人数の人々が故郷を追われているのだ。故郷を追われた人々は、安定した生活を期待できそうな先進国を目指して移動するが、それを許容する国、拒否する国様々である。

 一方、日本で今年難民認定を申請した外国人は10月半ばまでに5500人を越え、5年連続で過去最多を更新したそうだ。年末には7000人になる予想である。しかし、申請が急増しているにも関わらず、難民と認める例は増えていない。昨年は11名。人道的配慮で残留を認めた人を含めて121名であったとのことだ。

 日本では難民の厳格な定義の下、厳格に運用されている。すなわち、難民とは難民条約に定義された難民の要件に該当すると判断された人である。すなわち宗教的や政治的などの理由によりに迫害を受ける恐れのある人である。そこでは経済的な理由は除外されているのだ。更に、迫害を受ける恐れとの文言も定性的であり、客観的な判断が困難なことも拒否理由となるのだろう。

 UNHCRの発表する避難民のうち、シリアからは420万人とのことだ。シリアは内戦状態であり、そこでは生活が出来ないとの経済的な理由が大きいかも知れないが、元々は政治の混乱の為だ。そもそも政治と経済は深く関係しており、明確に区別できっこない。例え経済的な理由によるものであったとしても、人道的な観点からは許されない。政府は、「それより前にやるべきことがある」と問題を避けるが、積極的平和主義の下では、難民問題を頬かぶりできない。

 独政府は今年過去最多の80万人が国内で難民申請すると予想しているそうだが、それを認めるメルケル首相の支持率が急落しているそうだ(10月29日報道)。難民を拒否する理由は職を奪われることが一つかも知れないが、最大の理由は治安の悪化であろう。

 今年11月、イスラム国の戦闘員によるパリ同時多発テロ事件が起こり、死者130名となった。戦闘員が難民に紛れ込んでいたとのことで、難民であるイスラム教徒に対する風当たりが強くなり、難民受け入れ反対が強くなっているのだそうだ。テロで亡くなった者は被害者に違いないが、最大の被害者は安住の地を見出せない多くのイスラム教徒であろう。そこでの生活が苦しくなれば、犯罪に走ることになり、益々嫌われ者になる。負の連鎖である。イスラム教徒には忍耐と我慢が要求される結果となった。

 日本にも難民に限らず、移民や外国人労働者受け入れに反対との声もある。理由は、言語・文化や習慣面での軋轢、仕事の奪い合い、社会保障負担増、治安悪化など、移民受け入れに伴う諸問題である。確かに、移民の多いヨーロッパの国々を見ればそのリスクは高まることが予想される。しかし、このグローバル化された世界において、外国人労働者の排除でもしようとすれば、鎖国しかないだろう。徳川幕府の鎖国政策250年の後、日本は如何に苦労したかを見れば、鎖国政策のリスクの方がはるかに大きい。

 予想されるこれらのリスクに対しては、具体的問題ごとに細かく対処していく他は無いだろう。少子高齢化が進む日本では、難民・移民の方々を受け入れていく政策を採用し、日本国民にも利するよう工夫をしていかなくてはならない。(犬賀 大好-194)

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