日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

韓国のコネ社会と日本の村社会

2016年11月19日 09時46分48秒 | 日々雑感
 韓国のパククネ(朴槿恵)大統領が窮地に追い込まれている。原因は、大統領の40年来の知人の女性や大統領府の元側近2人などが2つの財団への資金拠出や、大統領府の内部資料を受け取っていたとして、逮捕されたからである。

 過去の大韓民国の大統領は、在任中に暗殺されたり、退任後に自身や身内が刑事捜査によって有罪判決を受けたりして、不幸な末路を迎えている例が多い。大統領の絶大な権力に親類縁者が群がる構造が目に付く。朴氏もそれを十分認識していたためか、兄弟との関係を疎にしている筈であったが、親友と信ずる女性から不祥事が広がったのだ。

 韓国はコネ社会と揶揄される。韓国での貧富の格差は、韓国社会の不調和、不安定の原因となっており、非常に深刻な問題となっている。韓国で貧富の格差が生じている原因として、多くの韓国人が家柄とそれに関わるコネを挙げている。家柄、コネ、出自といったものが個人の運命を決定付けると、男女を問わず信じられているようだ。特に男性の場合、就職活動時には公平な試験で採用された思っていても、入社した途端コネで入社できた人が特別扱いされると直ぐに思い知らされるそうだ。

 現在の韓国は、大雑把に言って、1/3がキリスト信者、1/3が仏教徒、残りの1/3が儒教を含むその他諸々なのだそうだ。儒教は、信者が少なくなったと言えども、儒教文化が深く浸透しており、現在でもその遺風が朝鮮の文化の中に深く残っているらしい。

 例え、キリスト教徒、仏教徒であっても、心の底には儒教の精神が根付いていることは、仏教徒である日本人に神道が浸透しているのと同じことであろう。

 儒教は中国の孔子より始まったが、朝鮮王朝時代に儒教を歴代の為政者が重用したため朝鮮社会に広く浸透したようだ。儒教は、仁、義、礼、智、信という5つの徳性を重んじ、五倫関係を大切にすることを教える。五倫とは、父子、君臣、夫婦、長幼、朋友の関係であり、自分の回りの人間関係を重んじ、大切にしなければならないと教える。これがコネ社会が築かれる土壌であるだろう。

 限られた、閉鎖された社会の中で、自分たちだけの都合で動く社会を日本では”村社会”と揶揄するが、これと似たところがある。日本の村社会の起源は、農耕の共同作業からだと考えるのが一般的である。農耕主体の社会は、生活に必要な資源を共有し、寄合や祭礼等の年中行事を一緒に行う共同体であった。そこにおいても人間関係は重視され、従わない人間は村八分であった。

 しかし、外界との接触が大きくなり、村の中での独自の決まり、しきたりが外界とのそれと矛盾をきたすようになっても、自分たちの利益を最優先させるのが、悪口で用いられる村社会である。最近では、東京都庁が有名である。

 韓国におけるコネ社会、日本における村社会は、利害を共有する仲間が集う社会であり、自分たちの利益しか考えない組織であるため、長年の間には弊害が出てくることは当然である。

 一方、そのような社会の中では、仲間意識が高く、意思疎通が速やかに図れるという利点もある。災害大国の日本は、地震、噴火、台風等自然災害が頻繁に発生する。これに迅速に対応するために、地域のコミュニティ作りが推奨されるが、このコミュニティとコネ社会や村社会と本質的な違いはあるだろうか。
 
 東京等の大都会では隣人でもよく分からないことは珍しくない。このため、向こう三軒両隣との日頃の付き合いが、災害時には役に立つと教えられる。全くその通りと思うが、その中で小さくまとまり過ぎ、外に対して閉鎖すると、コネ社会や村社会と同じ弊害を持つようになるのであろう。過ぎたるは及ばざるが如し、である。2016.11.19(犬賀 大好-287)

コメントを投稿