日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

農協改革について

2015年02月24日 13時55分26秒 | 日々雑感
 2月9日、自民、公明両党と全国農業共同組合中央会(全中)は、全中の地域農協への指導・監査権の廃止を柱とする農協改革で合意した。
 農協は戦後まもなく、当時の深刻な食糧難の中で、食料を統制・管理する目的に作られたが、現在では風俗とパチンコ以外は何でもありと農民の互助会的な色彩が強い。戦後70年経ち、時代遅れの組織として長年その改革が叫ばれてきたが、強固な組織として、特に選挙に際しては絶大な組織票にものを言わせ、改革を拒んできた。
 しかし、TPP等のグローバル化の波が農業にも押し寄せ、安倍首相は農協改革を決断したわけだ。この改革により、地域農協が全中の指導を離れ独自の経営が出来るようになれば、その地域の特徴を生かした経営が可能となり、国際的にも競争力がつくとの思惑である。理念はすばらしいが、競争力を身に付けるためには、相当な努力が必要であり、しかも努力の結果が報われるとは限らない。
 平成26年の統計によれば、全国の約140万戸の農家のうち専業農家は40.6万戸であり、兼業農家は100.6万個である。約70%を占める兼業農家のうちほとんどが農業以外からの収入が主である。これ等の数値から、普段は近くの工場等で働きながら、全中の指導に従って土日等に農業を行っておれば、そこそこの収入が確保でき、安定した生活が出来るとの思惑が垣間見える。兼業農家の人にとっては、農業は片手間仕事であり、独自の経営が可能になっても戸惑うだけであろう。この安定した生活を自由な経営と引き換えたい人がどのくらい居るであろうか。
 地域農協は全中の監査を受ける義務がなくなり、JA全中から独立した監査法人か、民間の監査法人を選択できるようになったと言っても、これまでの安定した経営を希望する地域農協はJA系の監査法人を選ぶに決まっている。急激な変化を好まないのは農業従事者ばかりでなく日本人全般であろうし、他人と異なることをやるのは、“村八分”として排除してきた伝統がある。
 一方、専業農家の多くは、これまでも独自の工夫により、自らの道を切り開いてきたに違いない。これからは農協の柵がなくなり、思う存分活躍出来るかも知れない。いや、既に活躍しているかも知れない。日本の農業は、グローバル化や後継者不足等、前途多難であるが、手をこまねいておれば、一層苦しくなるだけである。
 今年1月に行われた佐賀県の知事選挙では、政府が推薦した候補が、地元農協の押す候補に敗れた。今年4月には統一地方選挙もあり、兼業農家の人々のご機嫌取りに、改革の骨抜きはいろいろあろうが、これまで何も手を付けられなかった点を一歩踏み出した安倍首相のリーダシップに期待したい。(犬賀 大好-106)

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