東京電力は、福島第1原発2号機の原子炉内で溶け落ちた核燃料を、最長で15mになる伸縮性のある棒の先端に線量計、カメラなどを設置し、棒の根元を人間が操作する手段で調査した。核燃料は完全に溶け落ち、原子炉の底にデブリとして堆積している筈であるとの前提に立ち、この方法を採用したのだそうだ。
しかし、底部に溜まったデブリの放射線量は思いのほか低く、高放射線量の燃料の多くはもっと上部の圧力容器の底付近に留まっているのではないかとの疑念が生じ、改めて原子炉上部を調査する必要に迫られているようである。
先述の長い棒の先に線量計等を設ける方式では、上部の様子を調べることは出来ず、改めて原子炉上部に穴を開ける必要があり、仕切り直しに迫られている訳である。
国と東電は今年度中にデブリ取り出しの具体的な方法を決める当初の予定であったが、今年度中に溶けた核燃料の存在場所を特定できるかも怪しくなってきた。
一方では、原子炉内部の核燃料を冷却した後の汚染水の保管場所が来年にも満杯になる心配があるとのことだ。冷却水は基本的には繰り返し使用するが、地下水が原子炉内に侵入するため、一定量を汲み取って外部に保管せざるを得ないのだ。これまで原子炉建屋の外周を氷の壁で囲み地下水の侵入を防ぐ方法も取り入れられており、侵入量は大幅に減っているようではあるが、完全には防ぎ切れていないのだ。
更に汚染水タンクは大部分が2012年前後に設置されたもので、既に組み立て型のタンク69基が耐用年数の目安5年を超えており、漏えいリスクが高まっているとのことだ。また、溶け落ちた核燃料の取り出しの作業スペースなどを確保する必要があるとして、これらの汚染水タンクを将来撤去する方向だそうだが、代替地は確保されているのであろうか。
汚染水タンクの中身は大半が放射性物質トリチウムを含んだ水で、現時点だと効率的に大量のトリチウムを除去する技術は無いようだ。トリチウムは自然界にも存在し、希釈して海洋に放出すれば問題ないと思われるが、いくら安全と叫んでみても政府や東電に対する不信感が強く、住民特に漁業関係者は納得出来ないだろう。
そもそも取り出した高放射能物質否低濃度放射性物質ですら永久保存場所が決まっていない。政府は県外に設置すると約束しているが、候補に挙がった地域の住民からは反対の声が上がっており、お手上げ状態であろう。
廃炉は難航し、問題を先送りすれば経費は膨らむばかりだ。そろそろデブリを取り出すのを諦め、コンクリートで固める石棺方式も考えざるを得ないであろう。石棺方式とは、ウクライナのチェルノブイリで採用されている方式であり、原子炉の回りを放射能が漏れないようにコンクリート等で固め、放射能が自然減するのを何万年と待つ方式だ。
その場合、原発周辺の人々は約束違反だと大騒ぎになるであろうし、周辺は人が住めない場所となってしまう恐れがあるが、八方ふさがりの現状を見ると、石棺方式の本格的な検討を始める時期になっていると思われる。2019.03.23(犬賀 大好-531)
しかし、底部に溜まったデブリの放射線量は思いのほか低く、高放射線量の燃料の多くはもっと上部の圧力容器の底付近に留まっているのではないかとの疑念が生じ、改めて原子炉上部を調査する必要に迫られているようである。
先述の長い棒の先に線量計等を設ける方式では、上部の様子を調べることは出来ず、改めて原子炉上部に穴を開ける必要があり、仕切り直しに迫られている訳である。
国と東電は今年度中にデブリ取り出しの具体的な方法を決める当初の予定であったが、今年度中に溶けた核燃料の存在場所を特定できるかも怪しくなってきた。
一方では、原子炉内部の核燃料を冷却した後の汚染水の保管場所が来年にも満杯になる心配があるとのことだ。冷却水は基本的には繰り返し使用するが、地下水が原子炉内に侵入するため、一定量を汲み取って外部に保管せざるを得ないのだ。これまで原子炉建屋の外周を氷の壁で囲み地下水の侵入を防ぐ方法も取り入れられており、侵入量は大幅に減っているようではあるが、完全には防ぎ切れていないのだ。
更に汚染水タンクは大部分が2012年前後に設置されたもので、既に組み立て型のタンク69基が耐用年数の目安5年を超えており、漏えいリスクが高まっているとのことだ。また、溶け落ちた核燃料の取り出しの作業スペースなどを確保する必要があるとして、これらの汚染水タンクを将来撤去する方向だそうだが、代替地は確保されているのであろうか。
汚染水タンクの中身は大半が放射性物質トリチウムを含んだ水で、現時点だと効率的に大量のトリチウムを除去する技術は無いようだ。トリチウムは自然界にも存在し、希釈して海洋に放出すれば問題ないと思われるが、いくら安全と叫んでみても政府や東電に対する不信感が強く、住民特に漁業関係者は納得出来ないだろう。
そもそも取り出した高放射能物質否低濃度放射性物質ですら永久保存場所が決まっていない。政府は県外に設置すると約束しているが、候補に挙がった地域の住民からは反対の声が上がっており、お手上げ状態であろう。
廃炉は難航し、問題を先送りすれば経費は膨らむばかりだ。そろそろデブリを取り出すのを諦め、コンクリートで固める石棺方式も考えざるを得ないであろう。石棺方式とは、ウクライナのチェルノブイリで採用されている方式であり、原子炉の回りを放射能が漏れないようにコンクリート等で固め、放射能が自然減するのを何万年と待つ方式だ。
その場合、原発周辺の人々は約束違反だと大騒ぎになるであろうし、周辺は人が住めない場所となってしまう恐れがあるが、八方ふさがりの現状を見ると、石棺方式の本格的な検討を始める時期になっていると思われる。2019.03.23(犬賀 大好-531)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます