日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

国債の無制限発行の先にある災いの責任を誰が負う

2020年12月19日 09時24分47秒 | 日々雑感
 政府は今月15日、新型コロナウイルス対策など総額21.8兆円の追加歳出を盛り込んだ今年度第3次補正予算案を閣議決定した。コロナ禍による経済対策の為多額の出費を要し、国の借金にあたる国債を追加で22.4兆円発行して賄うそうだ。これにより、今年度の国債の新規発行額は初めて100兆円を超え、112.6兆円に達することとなった。

 さて、コロナ騒動が始まる前の昨年度、新規国債発行額は32.6兆円であったので、何と3.5倍だ。既に国の借金は昨年の時点で1100兆円を越し、借金大国となっていたが、今更借金が少々増えたところで大勢に影響ないとばかり大判振る舞いだ。

 昨年12月時点で、2020年度予算総額102.7兆円の内、税収による歳入は62%、赤字国債発行による歳入は32%であり、既に国の予算のほぼ1/3を借金に頼る異常状態であった。しかし、今年度の予算総額は175.7兆円となり、コロナ騒動による税収見込みの減収(63.5兆円→55.1兆円)もあり、赤字国債発行による歳入は64%と超異常状態となった。余りに超異常なので昨年度の32%の異常状態も正常の感覚となるほどである。

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中でまとめられた2021年度の与党税制改正大綱では、コロナウイルスによる経済の落ち込みを背景に、家計や企業への支援の減税色が強く、国の財政健全化の目標であるプライマリーバランスはどこかに吹き飛んでしまった。額は少なくても、せめて国会議員の報酬減額等の身を切る姿勢が欲しかったが。

 さて、日本の国家予算において、コロナ騒動が無くても、その歳入の約1/3は赤字国債の発行で賄い、財政健全化は歴代内閣の重要課題であった。前安倍政権も発足当初からプライマリバランスの達成目標を掲げていたが、そこには経済成長率3%を前提とする等と無謀な計画で本気度があると思えず、更に今年の新型コロナウイルス騒動で達成不可能とまで思えるようになった。

 現代貨幣理論(MMT)は、自国の通貨で借金ができる国は、お金を刷りさえすれば、それを借金の返済にあてることができるため、破綻はしないと断言しているが、どう考えても感覚的に納得できない。どうも経済学者の言うことは、将来は現在の延長線上にあるとの考えに立脚しており、現在のコロナウイルス騒動のような異常状態の発生は頭には無かったようだ。現状この理論の破綻は幸いにも生じていないが、何かの切っ掛けでいつ破綻してもおかしくない。

 麻生副総理兼財務大臣は、新型コロナウイルスへの対応で財政状況が悪化していることについて「財政再建と財政支出を伴う経済対策は二律背反しているような話でもある。新型コロナを乗り越えて、次の時代に行くためには、経済再生と財政再建を両立するのは我々の責任だ」と述べ、歳出と歳入の両面から改革に取り組む考えを改めて強調しているが、大判振る舞いばかりが目に付く。

 安倍前首相や麻生副総理は随分前から、子どもたちにつけを残さない財政再建は我々の責任と言っているが、ついに実現不可能と思えるまでになってしまった。挽回不可能と思える借金の責任を一体どうやって取るのだろう。辞任したところで借金は無くならないのだ。2020.12.19(犬賀 大好-662)



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