英タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)は、9月始め”THE世界大学ランキング2018” を発表した。教育力、研究力、研究の影響力、国際性、産業界からの収入、の5領域についてデータを収集し、総合力を評価、分析したうえで世界の大学をランキング化しているとのことだ。これらの評価項目の中で、客観的に評価できるのは論文の引用数や収入等と思われるが、教育力などはどうやって評価しているのか不明であるが、THEの評価となると影響力は大きい。
日本の大学のうち、総合ランキングで順位が最も高かったのは例により東京大学であるが、昨年の39位から46位と下がってしまった。これは主に大学、研究面での収入が減少したことが原因だそうだ。日本の大学の年間収入は半分以上が政府資金であり、国家財政難の折、04~15年にかけ大学・大学院への政府資金は12%も減少してしまったようだ。今後もこの傾向は続くであろう。
原因がはっきりして居れば、対処法も分かるので、まだ心配も少ない。収入減は知恵で対処するしかない。昔、理論物理学の分野で、湯川秀樹博士らがノーベル賞を受けた。金が無くても頭で勝負することは出来る。
日本の大学の活動不活発の原因は収入減の他色々指摘されている。まず教える側の閉鎖性がある。教授陣は自大学出身の教授が多数を占めている。教授間の競争を強めるのも一策かもしれない。しかし、各分野での専門性が高いため、なかなか他の教授の業績を評価できないとのことであり、一度教授になると余程の不祥事でも起こさない限り、首になることは無いようだ。知らず知らずのうち、現状に胡坐をかくことになるのだろう。
教員の半数は他大学の出身者で占めなければならない等の規則の他、海外からの教員の積極的な採用も不可欠となろう。英語教育の必要性も叫ばれているが、英語はあくまでも道具であることを認識すべきである。研究活動が活発になれば、自ずから海外に出る必要性も高まり、英語に接する機会も増える。
一方、大学教員の多忙さも指摘されている。自ら研究できるのはせいぜい准教授までで、教授ともなれば大学運営等の研究以外に時間が割かれてしまい、研究どころではないそうだ。最近の大学生は親離れしない者も多く、生活指導もしなければならないとの嘆き節を聞けば、さもありなんと納得する。
しかし、これらの原因は分かっていても現大学システムの長い伝統がある為、簡単には解決できないらしい。少しづつ改善の方向にある様ではあるが、活動不活発化の速度の方が早い気がする。
さて10月に入り、ノーベル賞の医学・生理学賞、物理学賞、化学賞の発表が相次いだ。自然科学系のノーベル賞については、昨年まで3年連続で日本人が受賞し、日本の科学研究のレベルの高さを世界に誇ってきたが、残念ながら今年は対象者はいなかった。
一昨年ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章さんは、日本の大学などの研究現場では、論文の数を左右する研究者の数、研究時間、予算の3つの要素がいずれも減っていて、特に研究時間の減少が顕著だと指摘している。
去年、ノーベル医学・生理学賞を受賞した大隅良典さんも、”日本の大学の状況は危機的でこのままいくと10年後、20年後にはノーベル賞受賞者が出なくなると思う”、と強い危機感を訴えている。今年誰も受賞しなかったことは、たまたまであればよいが、早くも影響が出始めたのではないかとの懸念も残る。
自然科学系の4年連続受賞はならなかったが、日本には、実用面で役に立つノーベル賞級の発明が沢山あるようだ。カーボンナノチューブ、リチウムイオン二次電池、抗がん剤のオプジーボなどである。今年、物理学賞を受けた重力波の検出は天文学や物理学にとって画期的ではあるが、当面実生活にほとんど影響しない。しかし日本のこれらの発明は既に実生活で役に立っていることは、自慢してもよい。2017.11.01(犬賀 大好-386)
日本の大学のうち、総合ランキングで順位が最も高かったのは例により東京大学であるが、昨年の39位から46位と下がってしまった。これは主に大学、研究面での収入が減少したことが原因だそうだ。日本の大学の年間収入は半分以上が政府資金であり、国家財政難の折、04~15年にかけ大学・大学院への政府資金は12%も減少してしまったようだ。今後もこの傾向は続くであろう。
原因がはっきりして居れば、対処法も分かるので、まだ心配も少ない。収入減は知恵で対処するしかない。昔、理論物理学の分野で、湯川秀樹博士らがノーベル賞を受けた。金が無くても頭で勝負することは出来る。
日本の大学の活動不活発の原因は収入減の他色々指摘されている。まず教える側の閉鎖性がある。教授陣は自大学出身の教授が多数を占めている。教授間の競争を強めるのも一策かもしれない。しかし、各分野での専門性が高いため、なかなか他の教授の業績を評価できないとのことであり、一度教授になると余程の不祥事でも起こさない限り、首になることは無いようだ。知らず知らずのうち、現状に胡坐をかくことになるのだろう。
教員の半数は他大学の出身者で占めなければならない等の規則の他、海外からの教員の積極的な採用も不可欠となろう。英語教育の必要性も叫ばれているが、英語はあくまでも道具であることを認識すべきである。研究活動が活発になれば、自ずから海外に出る必要性も高まり、英語に接する機会も増える。
一方、大学教員の多忙さも指摘されている。自ら研究できるのはせいぜい准教授までで、教授ともなれば大学運営等の研究以外に時間が割かれてしまい、研究どころではないそうだ。最近の大学生は親離れしない者も多く、生活指導もしなければならないとの嘆き節を聞けば、さもありなんと納得する。
しかし、これらの原因は分かっていても現大学システムの長い伝統がある為、簡単には解決できないらしい。少しづつ改善の方向にある様ではあるが、活動不活発化の速度の方が早い気がする。
さて10月に入り、ノーベル賞の医学・生理学賞、物理学賞、化学賞の発表が相次いだ。自然科学系のノーベル賞については、昨年まで3年連続で日本人が受賞し、日本の科学研究のレベルの高さを世界に誇ってきたが、残念ながら今年は対象者はいなかった。
一昨年ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章さんは、日本の大学などの研究現場では、論文の数を左右する研究者の数、研究時間、予算の3つの要素がいずれも減っていて、特に研究時間の減少が顕著だと指摘している。
去年、ノーベル医学・生理学賞を受賞した大隅良典さんも、”日本の大学の状況は危機的でこのままいくと10年後、20年後にはノーベル賞受賞者が出なくなると思う”、と強い危機感を訴えている。今年誰も受賞しなかったことは、たまたまであればよいが、早くも影響が出始めたのではないかとの懸念も残る。
自然科学系の4年連続受賞はならなかったが、日本には、実用面で役に立つノーベル賞級の発明が沢山あるようだ。カーボンナノチューブ、リチウムイオン二次電池、抗がん剤のオプジーボなどである。今年、物理学賞を受けた重力波の検出は天文学や物理学にとって画期的ではあるが、当面実生活にほとんど影響しない。しかし日本のこれらの発明は既に実生活で役に立っていることは、自慢してもよい。2017.11.01(犬賀 大好-386)
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