日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

異常は気象だけで経済の世界ではあって欲しくはないが

2024年02月21日 17時54分29秒 | 日々雑感
  バブル崩壊後の失われた30年とは、日本が先進諸国に比べて、経済発展が乏しかったことを指す。例えば、アメリカの株価がこの30年で9倍になり、ドイツの株価もざっと7.4倍になっているが、日本では今年2月下旬に株価がバブル期の最高額を越えそうと騒がれておるのを見れば、辛うじて2倍位となっているのであろう。

 日本も海外の経済の発展を指を加えて見ていた訳ではない。安倍首相と黒田日銀総裁は、景気回復のためアベノミクスと称する異次元金融緩和を実施した。日銀が市中の国債を買い集め、資金を市中にばらまき、その金で投資を促し、景気を回復させる筈であった。

 2012年からスタートしたアベノミクスでは、日銀が政府発行の国債を直接買い上げる財政ファイナンスと呼ばれる政策を展開してきた。財政ファイナンスは戦後のハイパーインフレの原因となったことから、法律上禁止されているが、時の政府の承認があれば許される。幸いなことに、現時点ではハイパーインフレは生じていないが、諸物価の上昇が生じており、これでデフレ脱却と喜ぶエコノミストもいる。アベノミクスを主導した黒田日銀総裁に代わった新しい総裁も賃金上昇を伴わない物価上昇はデフレ脱却ではないと金融緩和の続行を主張している。

 さて、異次元金融緩和で現金を手にした企業は新しい投資先を見つける努力より、自分の企業の守りに徹した。ここ10年ほど、日本の資本金10億円以上の企業は売上額がほとんど変わっていないそうだ。内訳を見ると売上原価が下がって利益が増えているのだ。つまりコストカット型になっているのだ。本来なら、経済回復に向けて新しいことに挑戦していかなければいけなかった時期に、日本全体が、特に国内においてコストカットの方向に進んでしまったのだ。国債の売却で得た金は内部留保となり、企業は体質改善しないまま低金利政策の恩恵にどっぷり浸かった。

 世界の企業は新しいことに挑戦しどんどん変革していったが、日本企業は守りに徹し、結果として、「失われた20年、30年」となっているのであろう。日銀新総裁の下、緩和政策が続行されるとのことで、企業は一安心と言ったところで、低金利政策にすっかり馴染んで、変革などの冒険を敢えてしそうにない。これでは失われた40年、50年となる恐れがある。

 企業は充分な資金を蓄え、自民党の政治資金パーティ等に注ぎ込む余裕がある。自民党も業界から資金を簡単に調達出来るため異次元金融緩和を止めようとしない。現在の異常な円安状態、実経済とはかけ離れた異常株高、賃上げに伴わない異常物価上昇等、アベノミクスの異常な低金利政策の結果であろう。
2月20日、日本は2月と言うのに、20度以上の高温が全国各地に見られた。異常な状態は経済の世界ばかりでなく、天気の世界にも押し寄せている。現在の異常な株高はバブルの再来と騒がれているが、天気の世界のように急落とならなければ良いが。2024.02.21(犬賀 大好ー985)


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