日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

ロボットの知能化

2014年11月17日 10時57分03秒 | 日々雑感
 トレイ・カーツワイル氏(グーグルのエンジニアリングディレクター)は、人口知能の開発を進め、2045年までに人間の頭脳を追い越すコンピュター実現を目指すそうだ。ビノット・コーラス氏(サン・マイクロシステムの共同設立者)は、コンピュターが将来的に医師の8割にとって代わると予測している。また、セルゲイ・ブリン氏とラリー・ペイジ氏(グーグル創始者)は、コンピュターが人間の要求を簡単に実現してくれるため、家族との時間や自分の関心を追及する時間に振り向けられると楽観的である。以上のようにシリコンバレーのIT企業家にとっては未来がばら色であるようだ。
 人間の知能とは何かの定義を明確にしないと拙いが、まず創造性の面から考えてみる。ジャロン・ラニアー氏(「未来は誰のものか」の著者)は、「現状脳の働きを理解できていないのだから、自ら思考するロボットを作り出すことも出来ない」と言っているが、その通りであろう。全ての人間に創造力があるわけではない。天才的人間の創造力がどうやって生まれるのか。まずこの疑問が解決されない限り、ロボットに創造力は期待できない。逆に創造力を有するロボットが出来た場合、空恐ろしくなる。地球上に害を撒き散らす人間の存在を許すであろうか。
 ロボットに創造力を期待できないし、また持たせない方が良さそうであるが、しかし、知識の記憶となるとビノット・コーラス氏の言う通りであろう。病気に関する知識をほとんど持たない患者が自分の病気を調べるためにコンピュータを利用することは既に行われ始めている。専門家の知識を溜め込むことはコンピュータは得意である。
国立情報学研究所の人工頭脳プロジェクト『ロボットは東大に入れるか』は、東大入試を題材に人口知能の研究をしており、近い将来人工知能が東大入試を突破するだろうと予想している。また、裁判官や弁護士は六法全書やこれまでの判例を頭の中に叩き込む。司法試験の難しさはその量の多さにあるが、この分野においてもコンピュータが取って代わることは容易に想像できる。
 コンピュータ技術の進歩は目覚しく、社会的に及ぼす影響も著しい。既に一般事務職の仕事もどのくらい奪われたであろうか。そのうち、医者も8割方不要になり、裁判官や弁護士も半減しそうである。この場合、家族との時間や自分の関心を追及する時間が増えると喜ぶ人間はどの位いるであろうか。ほんのひと握りの人間であろう。残りの人間はコンピュータにこき使われるに違いない。
 人間の知的追求欲は果てしなく、次から次へと新たな技術を開発していくが、その社会的な影響はますます大きくなる。研究者にはその道に邁進するだけではなく、社会にどのような影響をもたらすかを常に考えながら研究に従事して貰いたいものだ。(犬賀 大好―76)