森出じゅんのハワイ生活

ハワイ在住のライターが、日々のあれこれをつづります。

ハワイ王国の「銃剣憲法」

2017年10月04日 | 歴史


リリウオカラニ女王、そしてカラカウア王について勉強中のこの頃…。勉強すればするほどショッキングな史実を発見し、困惑してしまいます。

たとえば、皆さんはハワイ王国の銃剣憲法って聞いたことがありますか?

1887年、ハワイ王国7代目の君主、カラカウアは武力での脅しによって新憲法草稿に署名させられ、ハワイ史上、悪名高い憲法が発足しました。

それは国王の権力を全て奪い取るような屈辱的な憲法で、たとえば参政権に収入制限を課したため、ほとんどのハワイアンが投票の権利を喪失。結果として白人の帰化市民がハワイ王国を牛耳るきっかけになった、呪われた憲法なのです。

それはカラカウアが武力の脅しによって受け入れたものだったので、ハワイでは銃剣憲法との名で知られています。

そして6年後の1993年。リリウオカラニ女王は銃剣憲法を是正する新憲法を成立させようとし、それがきっかけとなって革命が勃発。ハワイ王国が崩壊したという、いわくつきの憲法でもあります。

…この銃剣憲法について、長らく私は考えていました。「どうしてそんな草案に、カラカウアは署名してしまったんだろう。いくら脅されたからといって、国王なのに?」と思っていたんですね。

ところが、このところ真相を知って納得! 当時、本当に状況は逼迫していて、カラカウアが署名を拒否すれば暗殺→クーデターという青写真が、革命派の間では出来上がっていたほどでした。暗殺の実行役まで決まっていたのです。なのでカラカウアは事態の収拾を図るため、とりあえず新憲法を受け入れた…という事情なのでした。

折しもその時、妻のカピオラニ王妃と妹のリリウオカラニは、カラカウアの名代としてイギリスに滞在中。その隙間に、恐ろしい陰謀が練られていたのですね…。

…ハワイの歴史をしっかり知りたい! けれど知れば知るほど悲しい出来事にも突き当たり、当惑してしまうことがございます。

(とはいえ)ハワイを愛する皆さんにも、ハワイの真実を知っていただきたく。たまに悲しい話も書いてしまう私を、どうぞお許しください~。
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