で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2108回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『ブレット・トレイン』
ヘンテコニッポンで、不運な裏仕事人が裏社会の人間であふれかえる特急から降りられなくなるクライム・アクション・スリラー。
人気作家・伊坂幸太郎のベストセラー『マリアビートル』をハリウッドで実写化。
主演は、『マネーボール』、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のブラッド・ピット。
共演は、ジョーイ・キング、アーロン・テイラー=ジョンソン、真田広之、マイケル・シャノン、サンドラ・ブロック。
監督は、『アトミック・ブロンド』、『デッドプール2』のデヴィッド・リーチ。
物語。
運の悪い殺し屋レディバグは、ある事件の治療から殺人は引退し、裏仕事だけという契約で復帰した。
別の裏仕事人の代理の簡単な仕事と代理人マリアは言った。
それは、高速鉄道車内で、ブリーフケースを盗むだけの仕事。
レディバグは超高速列車“ゆかり号”に乗り込んだ。
だが、高速鉄道には、息子を狙った相手への復讐を企むヤクザのキムラが乗り込んでいた。
原作:伊坂幸太郎 『マリアビートル』(角川文庫刊)
脚本:ザック・オルケウィッツ
出演。
ブラッド・ピット (レディバグ)
アーロン・テイラー=ジョンソン (タンジェリン)
ブライアン・タイリー・ヘンリー (レモン)
ジョーイ・キング (プリンス)
アンドリュー・小路 (キムラ)
真田広之 (エルダー)
マイケル・シャノン (ホワイト・デス)
ローガン・ラーマン (息子)
ジョアンナ・ワッツ (妻)
バッド・バニー/ベニート・A・マルティネス・オカシオ (ウルフ)
サンドラ・ブロック (マリア)
ザジー・ビーツ (ホーネッツ)
マシ・オカ (車掌)
福原かれん (販売員イズミ)
ノブアキ・シマモト (峰岸)
スタッフ。
製作:ケリー・マコーミック、デヴィッド・リーチ、アントワーン・フークア
製作総指揮:ブレント・オコナー、三枝亮介、寺田悠馬、カット・サミック
撮影:ジョナサン・セラ
プロダクションデザイン:デヴィッド・シェネマン
編集:エリザベット・ロナルズドッティル
音楽:ドミニク・ルイス
『ブレット・トレイン』を鑑賞。
現代架空日本、不運な裏仕事人が裏社会人間満載の高速鉄道から降りられなくなるクライム・アクション・スリラー。
伊坂幸太郎の小説『マリアビートル』をハリウッドで実写化。
伏線が伏線を呼ぶ、祭りになった糸がほどけていく、やや群像劇。
『スナッチ』を思い出す。伊坂幸太郎の小説は、90年代のQ・タランティーノやガイ・リッチーの作風を取り入れている。ただ、両作家の中期の暴走気味になってからの『キル・ビル』、『シャーロック・ホームズ』などの作風に近い。ブラッド・ピットは、『スナッチ』で重要キャラを演じ、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』、『イングロリアス・バスターズ』で主役を演じている。この2.5枚目なのにカッコよくブラッド・ピットのアイコンぶりが映画を牽引する。
5人近い主演級が登場して、画面を縦横無尽に賑やかす。
豪華共演。アーロン・テイラー=ジョンソン、真田広之、ジョーイ・キング、マイケル・シャノン、ザジー・ビーツ、サンドラ・ブロック.などなど、みながノリまくっている。キャラがよくもわるくも立ちまくりです。
福島かれんとマシ・オカも出てます。
監督は、『アトミック・ブロンド』、『デッドプール2』のデヴィッド・リーチ。生身アクションは抑え目でスタント的なアクションを狭い場所ならでは、列車ならではの面白みで勝負。武器のバラエティに日本的語りを感じたり。
ネオンカラーとコミックなトンデモ世界観でフィクショナルな語りで、能天気な楽しみを味わえます。残暑な現実逃避にうってつけ。そこそこ血塗れで残酷ではありありますけど。近い作品に、『ハンテッド』(1995)なんてのもありまたね。
ヘンテコ日本は、日本人だからこそ、その違いを楽しめるってもんです。新幹線風の高速列車は<ゆかり>号ですしね。音楽でもけっこうリスペクトしてたり。漢字カタカナを入れたキャラ紹介とか。モモもんというゆるキャラの使い方はハリウッドが今までやれなかった要素。
美術もきちんと豪華で、ばかばかしさに実在感を与えてくれています。
軸は、運とはなにか。
母のない子のように上を向いて走る毒作。
おまけ。
原題は、『BULLET TRAIN』。
漢字題は、『弾丸列車』。
『弾丸列車』。
2022年の作品。
製作国:アメリカ
上映時間:126分
映倫:R15+
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
ヘンテコニッポンは、すでに映画の一つのジャンルなんですよ。マカロニ(スパゲティ)ウエスタンみたいなものなんです。
でも、このジャンルは日本でもつくられていたジャンルでもあって、昔は無国籍ものと呼ばれてました。
鈴木清順など日本の巨匠も手がけてきた名品もいくつもあります。
お気に入りは『殺人狂時代』、『探偵事務所23』、『危いことなら銭になる』、『ろくでなし稼業』、『殺しの烙印』など。
これがアメリカや香港で再生産され、『キル•ビル』で復活しました。
すでにジャンル化してるので、時代劇はリアルじゃないと言うようなものなのです。
戦前から、もっと言えば、『東方見聞録』からヘンテコ日本は始まっていますが。
ネタバレ。
カーバー役は、ライアン・レイノルズ。
『デッドプール2』でブラッド・ピットにカメオ出演を頼んだ縁だそう。
伊坂幸太郎は『マリアビートル』は日本で実写化のオファーがあったがことあり続けていたそう。このシリーズは日本では無理だろうという思いがあったよう。
一応、シリーズ前作『グラスホッパー』は2015年に日本で映画化されているが、残念な出来であった。
デビッド・リーチはもっさりしたテンポでアクションをがしっと見せがちだったのが、かなり快活に進められるようになったんですけどね。