で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1071回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『ペット 檻の中の乙女』
動物保護センターで働くセスは、学校の後輩ホリーに声を掛けるが覚えてもらっていないものの何か特別なものを感じ、彼女のことを調べ始め、アプローチを開始する。しかし、にべもなく扱われたセスはホリーを拉致する、『ロード・オブ・ザ・リング』、『LOST』のドミニク・モナハン主演による、ジャンル映画の虎の穴であるシッチェス映画祭で、脚本賞を受賞したサスペンス・スリラー。
監禁⇒復讐⇒衝撃のラストに騒然とする、予測不可能な衝撃的ラストにダマされる快感MAXのマインド・ファック・エンターテイメント。
監督は、『[アパートメント:143]』などで注目の新鋭カルレス・トレンス。
物語。
動物保護センターで掃除夫として働く青年セス。
帰宅のバスで偶然、学校の後輩ホリーを発見し、声をかけるが彼女はセスを全く覚えておらず、邪険にされてしまう。
しかし、どこか特別なものを感じたセスは、ネットやSNSで彼女のことを調べ上げる。
彼女のバイト先を訪ね、夕食に誘うが失敗。行きつけのバーで偶然を装って近づくが、元カレに殴られる始末。
しかし、セスは執拗にホリーを追い続ける。
ついに、禁断の計画に手を出す。
彼は仕事場の使われなくった旧処置棟の地下室を改造し、監禁部屋を作りあげる。
セスはホリーの家に侵入し、彼女を拉致する。
ホリーが目を覚ますとそこは地下室。下着一枚で大型動物用の檻に入れられていた。
脚本は、ジェレミー・スレイター。
丁寧に、今まで合ったような要素をいろいろと組み替えて、新しい対決図式を描き出している。
出演。
ドミニク・モナハンが、掃除夫のセス。
クセニア・ソロが、後輩のホリー。
この二人がこの映画を目をくぎ付けにします。
ジェネット・マッカーディが、同居人のクレア。
彼女がちょっと惜しい。
それは、見せ場という点でも。
ダヴォーン・マクドナルドが、警備員のネイト。
彼の存在感はもっとうまく使えた気もするなぁ。
スタッフ。
撮影は、ティモシー・A・バートン。
狭い室内を印象的に撮影しています。
動物保護センターで働く男が後輩の女をペットのように監禁、というスリラー。
シッチェス映画祭で脚本賞を受賞しただけあって、このジャンルをうまくかけて割ってひねってなかなかに楽しませる。一歩間違えれば文学作品になりそう。エロスを適度に回避しているしね。
キャストも味と腕で説得力を与えている。
狂気×狂気=正気な内鍵の檻作。
おまけ。
原題は、『PET』。
まんま、ペットですね。
ペットボトルも出てきますが、そっちではないでしょう。
上映時間は、94分。
製作国は、アメリカ/スペイン。
ややネタバレ。
副題の乙女は、あえて、そうつけたんだろうね。
『ブラック・スネーク・モーン』(2006)の影響は受けていそう。
ネタバレ。
セスが自分で麻痺薬を試すなどのシーンの丁寧さがいいのよね。
あの生真面目さが逆に彼を追いつめるのだから。
でも、あのヤバいノートを落とすところは、少しご都合よね。
人を殺しまくってるホリーがただストーカーされたくらいであんなうろたえるとか。
エリックに気にかけてもらうための手だったとしても、あのノートはエリックに見られたらかなりマズいものだし。
分析すると、クレアの幻想もレキシーも観客をミスリードしたり、説明するためにしか使われていないのよね。
そこがもったいない。
レキシーとセスの関係の見せ方、クレアの使い方次第でもっと面白くなったと思う。