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菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

ゾンビもの、または生ける死人ものの設定についての考察その③

2014年10月16日 00時02分26秒 | 映画のあれこれ

今回で終わります。



創作における生ける死人もののその主な設定を10項目。

 ① 死から蘇るか蘇らないか。(『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を原点とするかしないか)
 ② その発生原因を明かすか明かさないか。(感染方法)
 ③ 何を目的とするか。(食欲の有無)
 ④ 意識があるかないか。(発語の有無、コミュニケーション能力の有無、成長の有無)
 ⑤ 動きは機敏か鈍重か。(歩くか走るか)
 ⑥ 身体的特徴をどう描くか。(見た目の描写、腐るか腐らないか、体の欠損の有無)
 ⑦ 死ぬか死なないか。(退治の仕方)
 ⑧ 集団か少数か。
 ⑨ 状況への対応。(システム描写の有無、サバイバルの有無、呼び方)
 ⑩ 社会(倫理や文明)的問題の扱いが濃いか薄いか。




いよいよ最終回。
前回は⑦まで行きましたので、⑧から⑩までいきます。







⑧ 集団か少数か。

これは、⑩の社会的問題を描くかにも関係しています。

ロメロはベトナム戦争や公民権運動のメタファーとして、生ける死人をつくりました。
社会的弱者と民主主義のメタファーでもあったので、集団であることが重要だったのです。

なので、ゾンビものにおいて集団であることはかなり重要な要素になります。
しかし、予算や設定によってはその集団性が描かれないことも。
漫画『ライフ・イズ・デッド』は社会的弱者を描くために、集団性を排除されています。
映画『ライフ・イズ・デッド』は予算もありましたけど、その部分を強く打ち出しています。
集団化できない弱者としてのゾンビを描きました。

既に沈静化を迎えている『就職難! ゾンビ取りガール』でも集団では出てこない設定になっています。

ブードゥー・ゾンビは作る工程が必要なので、あまり数が出ません。
『フジミ姫』も黒魔術なのでそうです。
科学的につくるタイプはこうなりますね。


ある程度、数が決まっている『ゴースト・オブ・マーズ』もあります。


まだ始まったばかりなのであまり多くない『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』。
この設定はけっこう使われています。
『スリー・デイズ』なんかもそうですね。



画面には、あまり数が出ないけれども、実は集団というのはゾンビの基本でもあります。


最多は『ワールドウォーZ』ですね。
最速、最多の二冠です。
この作品は制作費も最大で、現時点では世界一の大作ゾンビ映画ということになってます。


予算もあるので、なんとか1シーンだけ集団でというのも多く、『サンゲリア』がその方式をとっています。
『ザ・ホード』も近いです。
『ライフ・イズ・デッド』も1シーンだけやりました。









⑨ 状況への対応。(システム描写の有無、サバイバルの有無、呼び方)

ゾンビがいるという状況に社会がどう対応しているかを描くというアレンジもあります。
これはそのまま⑩社会(倫理や文明)的問題の扱いが濃いか薄いか、につながります。

その当時の現実社会の状況、舞台になった時代設定の社会システム、ひいては人間の仕組みが描かれます。

それは舞台となる国によっても違います。

ロメロの原点では、黙示録的世界が基本ですから、社会システムは崩壊するのが基本で、その上で人間はどういう社会を築くかが描かれます。
数雨名の共同体『ゾンビ』に始まり、軍人と博士の特殊なコミュニティを描く『死霊のえじき』、柵で囲って隔離社会を築き上げる『ランド・オブ・ザ・デッド』、離島で昔の暮らしに戻る『サイバイバル・オブ・ザ・デッド』などです。

労働力にするブードゥー・ゾンビを生ける死体に応用した『ゾンビーノ』。
ゾンビが村社会に馴染んでいる『ゾンゲリア』。

ゾンビが自分たちのコミュニティをつくろうとする『AAAH!ゾンビーズ』。
ゾンビ社会が発生している『ウォーム・ボディーズ』。
ゾンビが人間牧場をつくっている『HUNGER Z』。



日常を継続するのは日本に多く、『就職難! ゾンビ取りガール』、『ライフ・イズ・デッド』、『サンカレア』、『玉川区役所オブ・ザ・デッド』など。

『ショーン・オブ・ザ・デッド』は社会崩壊に長い間、気づかない上、元に戻ることを信じています。






サバイバルかバトルかが需要で、崩壊した社会での生活を描く脱出を描くかが生まれます。
脱出は『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』、崩壊した社会の生活は『ゾンビ』、『死霊のえじき』ですね。
崩壊後に社会を築く『ランド・オブ・ザ・デッド』ではゾンビの社会も発生します。

物語の場所を狭くするか広くするか、というてな気もあります。


狭いバージョンでは、脱出というか立てこもり場所のアレンジがあります。
農家から逃げる『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』。
ショッピングモールから逃げる『ゾンビ』。
ヨットで戦う『サンゲリア』は中盤からは小島が舞台になります。
(リメイク版『ドーン・オブ・ザ・デッド』はオリジナルと『サンゲリア』が融合されているわけですね)
ゾンビに変わっていくギャングのアジトのビルから逃げる刑事を描く『ザ・ホード』の緊張感は刑事VSギャングVSゾンビという緊迫感。
軍人が地下施設から脱出する『死霊のえじき』。
パブが舞台の『ショーン・オブ・ザ・デッド』。
洋館と軍事企業の地下施設、巨大船、びる、バーチャル空間の『バイオハザード』。
町の『クレイジーズ』。
学校の『スクール・オブ・ザ・デッド』、『セーラーゾンビ』。
空港と洞窟の『ウォーム・ボディーズ』。
アパ^ートメントの『REC』。
結婚式場の『REC3』。
空港の『REC:レック/ザ・クアランティン2 ターミナルの惨劇』。
タンカーの『REC4』。
海辺の町の『ゾンゲリア』。
病院(研究室)、刑務所の『死霊のしたたり』シリーズ。
トンネルと軍基地、洋館の『28日後・・・』。
山小屋、森の奥『死霊のはらわた』シリーズ。
工場と老人ホームの『ロンドン・ゾンビ紀行』。
ラジオ局の『レディオ・オブ・ザ・デッド』、『脳内感染』
研究所、軍事基地、イスラエルの『ワールドウォーZ』。
自宅の『ライフ・イズ・デッド』。
備蓄倉庫の『Z』。
雪山の『デッド・スノー』。
リゾート地の『デッド・アイランド』。
ホテルの『ホテル・ゾンビ』。
闘技場の『東京ゾンビ』。
サッカースタジアムの『ゴール・オブ・ザ・デッド』。
などなど。




広いバージョンは、ロードムービーになるものが多いです。
『ダイアリー・オブ・・ザ・デッド』はロードムービーで、POVものでもある。
『コリン』はゾンビが街を徘徊するロードムービー。
『ウォーキング・デッド』は連続ドラマですので、旅しまくりです。
ロンドンを逃げる『28日後・・・』はまさにロードムービーなのですが、『アイ・アム・レジェンド』的な誰もいない街の描写が素晴らしいです。
故郷を目指す『ゾンビヘッズ』。
敵を求めて進む『お姉チャンバラ』。
世界中を調査する映画『ワールドウォーZ』は、原作小説ではゾンビ大戦後の世界の聞き取り取材の旅。
ゾンビと子供が家出する『ゾンビーノ』。
などなど。



映画『フジミ姫』は盗まれた秘石を求めて殺人旅行をしますが、原作小説『あるゾンビ少女の災難』では大学からの脱出を描いています。
主流のネタを入れ替えた感じにんしております。




ほかにも、仕置人をやる『ゾンビ処刑人』は街全体が舞台です。
仕事でそれぞれの任務地にへと赴く『就職難! ゾンビ取りガール』、『玉川区役所オブ・ザ・デッド』。
これらの元ネタは吸血鬼の日常ものか、『ゴーストバスターズ』か、一連のキョンシーものってことになるのかも。



もちろん、それ以外にもいろいろあります。
家から出ないのやら、生活範囲内などね。









その映画ならではの生ける死人の呼び名、というのも状況の描写につながります。
それゆえ、多くの呼称が生まれたのですが。

最近では『ウォーキングデッド』のウォーカーや、『アイ・アム・ア・ヒーロー』のZQN(ズキュン)があります。
これは、ネット用語のDQN(ドキュン)のもじりですね。


ロメロのゾンビ問題に合わせて、「ゾンビと呼ぶな」というネタも。
『ショーン・オブ・ザ・デッド』でもやっていますね。
『ライフ・イズ・デッド』ではゾンビは差別用語として取り締まられ、UDV(アンデッドウイルス)保持者、UDV患者などと呼ぶようにしています。
『玉川区役所オブ・ザ・デッド』ではトクホや死なないご遺体などと呼称します。

ゾンビを意味するZというのもゾンビだけどゾンビじゃないという意味だったり、コードネームだったりと色な使われ方をしています。


面白いのは、デッド。
これには、動いているけど死人なんだ、とする人間側の意識の反映があります。
これは屍人という訳し方もあります。
死体のことを屍(しかばね)とも書くからですね。


ちなみに、ゾンビはZOMBIEと書きます。
映画『ライフ・イズ・デッド』では、あえてローマ字書きのZONBIにしています。
実は最初は間違いだったのですが、その感じこそ日本的な表記だな、と思い、そのままにしました。











⑩ 社会(倫理や文明)的問題の扱いが濃いか薄いか。

前述したように、ベトナム戦争や公民権運動のメタファーとして、社会的s弱者のメタファーとしてのモンスターであるリビングデッドを生み出したことがロメロの偉業なのです。

実はこれはリチャード・マシスンの小説『アイ・アム・レジェンド』がやっていたことではありますが、この物語に出てくるダークシーカーは強いというところが最大の違いなのです。

社会的弱者の裏に秘めた強さ。
集団化や強者の油断や内部崩壊・・・。
宗教的なバチの物語にもなっているところが素晴らしい発明だった。

初めてロボットが出てきたカレル・チャペックの戯曲『RUR』でも描かれてはいますが、人間そのものを変容させたリビングデッドの発明は怪物史上でも稀に見る発明だったのです。

なので、この部分をどう描くかどうかがロメロ・ゾンビを原典としているかどうかの真の区別だと私は考えています。

なので、『アイ・アム・レジェンド』の映画版は3つあるのですが、それぞれに当時の社会状況を反映したものにはなっています。





労働者と使役者の関係を描く『ゾンビーノ』。
革命についての『ゾンビ革命 フアン・オブ・ザ・デッド』。
社会と一般人への無関心を描く『ショーン・オブ・ザ・デッド』。
メディア社会を批判する『レディオ・オブ・ザ・デッド』。
病気と差別についての『ライフ・イズ・デッド』。
などなど。




ゾンビは社会的弱者のメタファーでしたが、思考停止しているという意味では、社会的強者にもすいう傾向はあります。
差別主義者などは、ある意味でゾンビだともえ言えるかもしれません。
白人至上主義のKKKもある意味での思考停止行為もあったわけで、彼らも社会的強者ではありますが、ゾンビ的といえるのではないでしょうか。
そう意味では、古典の映画『國民の創生』もまたゾンビ映画の始祖だと言ったら、言いすぎですかね。








明確でなくても世界の崩壊したときに、どういう行動を政府やコミュニティが取るかは社会的問題を描く格好の題材なのです。

他にも、社会ではなく哲学的テーマを描く『脳内感染』や人間のあり方を描くものもありますけどね。

最近では、科学(医学)のあり方、倫理についての題材が増えてきているようです。



そして、人間はどこまで人間なのかという問題も内包しています。
それは小説『アイ・アム・レジェンド』で、すでに示されているのですが。
『玉川区役所オブ・ザ・デッド』はそこに切り込んでいくようです。
研究ものでも、時折描かれてきました。

それを思うとき、ゲーム『女神転生』の中の名セリフ「悪魔を殺して平気なの?」を思い出します。
そして、『寄生獣』の「我々は弱い。あまりいじめるな」も。




さぁ、3回に渡って考察してきましたが、これにてお別れです。


これらの項目を選んでいくだけで、自分好みのゾンビもの、生ける死人ものをつくれるかもしれませんね。






今や世はかつてないほどのゾンビもの、生ける死人ものブーム。

ある種の様式だけでなく、市民権も獲得しました。

飽和状態であるとも言われています。
あらゆるモンスターのなかでも最も作品数が多いモンスターと断言できます。
それは、見たことないにしろ、実際にいる、近いものに触れたことがあるという強みかも。
触れる機会が多い、最も現実味があるモンスターなのです。



かつて、ミイラが『ハムナプトラ』で生まれ変わったように、『アンダーワールド』、『トワイライト』は吸血鬼のイメージを変えました。
人狼は『おおかみこどもと雨と雪』でイメージを変えました。
幽霊ものもJホラーで生まれ変わった歴史があります。
今年は、化物としてのキョンシーも復活を遂げそうです。
モンスターは時代を映す鏡であり、時代どとに新しい設定を身につけて、蘇る。
そういう意味でも、永遠の命をもつものだと言えそうです。


はたして、その中でどのようなアレンジや新しい視点、語り口が出てくるか。
私は楽しみで仕方ないのです。

基本構造ができているからこそ、遊べえたり自由度を獲得できたりしますので。
そのいい例が、ゲーム『デッド・アイランド』のショートフィルム風のCMです。
巻き戻されていく映像がゾンビもののイメージを新たにしました。



もちろん、自分自身もいずれ、これぞというゾンビもの、生ける死人もの、できればオリジナルのものを生み出す野望を抱いているのですけど。



そうそう、もし、他にこういうのもありましたよ、と面白い設定があれば、ぜひコメント欄で教えてくださいな。

では、この考察もゾンビのようにまた蘇ることを願って。




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