で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2236回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『ハロウィン THE END』
ローリーと孫娘とある青年がマイケル・マイヤーズの影響に立ち向かうホラー・ドラマ。
ジョン・カーペンターらが生み出した『ハロウィン』シリーズを継いだ『ハロウィン』新続編三部作の完結編。
主演は、ジェイミー・リー・カーティス、ローハン・キャンベル、アンディ・マティチャック。
共演は、ウィル・パットン、カイル・リチャーズ、ジェームズ・ジュード・コートニー。
監督は、デヴィッド・ゴードン・グリーン。
物語。
再びの惨劇から4年が経ち、ハドンフィールドの人々も、マイケル・マイヤーズの恐怖から少しずつ立ち直りつつあったが、その恐怖と負の感情が熾火のように、くすぶり続けていた。
ある出来事で街での居場所を失い、深いトラウマを抱えた青年コーリーをローリーと孫娘アリソンもニュースで知っていた。
ローリー・ストロードはアリソンと暮らしながら、マイケルとの40年以上にわたる因縁を綴った回顧録の執筆に取り組んでいた。
ハドンフィールドの人々は、火花を彼女らに向ける。
キャラクター創造:ジョン・カーペンター、デブラ・ヒル
脚本:ポール・ブラッド・ローガン、クリス・ベルニエ、ダニー・マクブライド、デヴィッド・ゴードン・グリーン
出演。
ジェイミー・リー・カーティス (ローリー・ストロード)
ローハン・キャンベル (コーリー・カニンガム)
アンディ・マティチャック (アリソン)
ジェームズ・ジュード・コートニー (マイケル・マイヤーズ/ブギーマン/ザ・シェイプ)
マイケル・バルビエリ (テリー)
デスティニー・モーン (ステイシー)
ジョーイ・ハリス (マーゴ)
マーティーン (ビリー)
ジョアン・バロン (ジョーン・カニンガム)
リック・モース (ロナルド)
ウィル・パットン (フランク・ホーキンス)
ミカエル・ドーソン (デヴ/看護師)
マイケル・オライリー (マティス医師)
カイル・リチャーズ (リンゼイ)
ジャクソン・ゴールドバーグ (ジェレミー/子供)
キャンディス・ローズ (アレン夫人/母)
カルーン・ハリス (ウィリー・ザ・キッド/ラジオDJ)
スタッフ。
製作:マレク・アッカド、ジェイソン・ブラム、ビル・ブロック
製作総指揮:ジョン・カーペンター、ジェイミー・リー・カーティス、ダニー・マクブライド、デヴィッド・ゴードン・グリーン、ライアン・フライマン、ライアン・テュレック、アンドリュー・ゴロヴ、トム・ザドラ、クリストファー・H・ワーナー
撮影:マイケル・シモンズ
プロダクションデザイン:リチャード・A・ライト
衣装デザイン:エミリー・ガンショー
編集:ティモシー・アルヴァーソン
音楽:ジョン・カーペンター、コディ・カーペンター、ダニエル・A・デイヴィーズ
『ハロウィン THE END』を鑑賞。
現代アメリカ、ローリーと孫娘とある青年がマイケル・マイヤーズの影響に立ち向かうホラー・ドラマ。
ジョン・カーペンターらが生み出した人気ホラー・シリーズを、『ハロウィン』(1978)から別ルートを描き出した『ハロウィン』新続編3部作(つまり4部作となる)、『ハロウィン』(2018)、『ハロウィン KILLS』(2021)に続く完結編。
最初のシリーズは『ハロウィン』(1978)、『ブギーマン』(1981)でいったん終わっている。『ハロウィンⅢ』はマイケル・マイヤーズさえ出ない別ものであり、今作はそのことも少し引き継いでいる。(OPクレジットはこの『ハロウィンⅢ』にオマージュを捧げていることからも分かる)
いわゆるスラッシャー映画の生みの親でもある『ハロウィン』シリーズが与えてきたものをも組み込もうとして、内容も70年代テイストにし、高い批評性を入れたことで、なんとも歪になった。賛否真っ二つ分かれるのも頷けるが、おいらは嫌いじゃない。だけども、それなら、こうしてもよかったのではというアイディアは浮かんでしまった。ちなみに、『ハロウィンⅢ』はマイケルが出ないこと(でも実はテレビ画面に出ている)で悪名高い続編だが、おいらはけっこう好きなんですよね。(エドガー・ライトも『ワールズエンド』でオマージュを捧げている)
主人公は3人になっている。ローリー役ジェイミー・リー・カーティス、青年コーリー役ローハン・キャンベル、孫娘役アンディ・マティチャック。
ローリーがもうね、ジョン・カーペンターの西部劇愛を映していて、カッコヨイのよ。
このコーリー役は『クリスティーン』からの引用で服装なども似せている。演じる俳優はキャンベルだがブルース・キャンベルの関係者ではないみたい(けど、顔は似ている)。
『ハロウィン』が与えた影響を組み込むために、まずはジョン・カーペンター作品の引用(『遊星からの物体X』の映像が流れる)と、他の『ハロウィン』シリーズの引用(『ハロウィンH20』に似ているシーン)、他のスラッシャー映画の引用がいくつもある。二つだけ紹介すると、コーギーの苗字カニンガムは『13日の金曜日』の監督ショーン・S・カニンガムから(ジョン・カーペンターより先に血塗れホラーを撮っていたことのリスペクトもあるのかな)だろう(『クリスティーン』の主人公の名前でもある)し、途中に出てくるシーンは『スクリーム』に似ている。(ホラーの巨匠ウェス・クレイブンの方も感じる)
そして、マイケルマイヤーズからブギーマンにしてきたシリーズは、今作でザ・シェイプにたどり着き、このシリーズを神話に変える。
というか、前作『ハロウィンKILLS』ですでに神話化していていたので、神話後というホラー映画がなかなかやれない事件の影響についての話をさらに進めた。これについては『スクリーム』が先達ではある。
70年代的なじっくりドラマをノスタルジーとして見ていければ、味わい深いです。40年続く、シリーズの終わりですしね。いや、終わるのか? 終われない気もするなぁ……。
というか、『ハロウィンⅢ』のリメイクとかしてくれないかな。近頃流行りの児童向けホラーにちょうどいいと思うのよね。
そういや、スティーブン・キング原作の『ブギーマン』も実写映画化されて好評で、日本でも公開されるそうですから。
伝説を引き継ぐ映画、仮面映画としても、『シン・仮面ライダー』とも通じます。
人を超えるモノと向き合うときに人が現れてくる刃作。
おまけ。
原題は、『HALLOWEEN ENDS』。
『ハロウィン終結』。
2022年の作品。
製作国:アメリカ
上映時間:111分
映倫:R15+
配給:パルコ ユニバーサル映画
ややネタバレ。
プロデューサーのジェイソン・ブラムは、「これがブラムハウスの下での最後の『ハロウィン』となる。だから、シリーズの終わりではない」
映画の権利はプロデューサーのマレク・アッカドに戻っている。
アカッドは、半ば冗談めかして、彼の父ムスタファ・アッカドの言葉を引用して応えている。
「22まではやる」
ネタバレ。
それなら、こうしてもよかったのでは、というアイディアは、ローリーの回想録を途中途中に挿入し、マイケルの在りし日の姿を入れることで、その恐怖を今シリーズの人物のよる同窓会から映像による同窓会にしてもよかったのではないか。
実際に後半にフラッシュ気味に入れているのだから。
しかも、それをマイケルマイヤーズの回想にも見えかねない状態にすることで、二人の繋がりも見えてくることで、最終決戦を盛り上げられる。
しかも、他のシリーズで生まれた裏設定もマイヤーズの妄想、精神病院で勝手に作った虚構のように出来た(やや『ジョーカー』的な語りにはなるが、実際の歴史の一部を使うことで違う意味も持つであろう)のではないか。
映画の冒頭で、コーリーとジェレミーが見ている映画はジョン・カーペンターの『遊星からの物体X』。
ローリーとトミーがオリジナルの『遊星よりの物体X』を見ていたからであろう。
コーリーは、『クリスティーン』(1983) のアーニー・カニンガムにオマージュを捧げている。
似たようなヘアカット、同じ青いボタンアップシャツ、黒い眼鏡をしている。
マティス博士は、シーズン・オブ・ザ・ウィッチの主人公であるチャリス博士と非常によく似ている。
高校生4人組は黒いコンバーチブルに乗っているが、これはたぶん『ハロウィーン5』へのオマージュ。
ローリーが書いている回想録のタイトルは『Stalkers, Saviors, and Samhain』。
Samhainは、サウィン祭のことで、ハロウィンの元になったアイルランドのお祭り。
ホラーあいこんいおけるマスクの意味にも批評性をつけたことで、ヒーローとの関係性が生まれた。
ヒーローは多くマスクをするが、ホラーアイコンたちもマスクをすることが多い。
そこには、匿名性と記号性が生まれ、表情が読めないことで力が現れる
見えないものを存在させる。
抽象的なもの、正義や怒り、恐怖、ある種の階級など。
傷や顔の異形、化粧でもマスクと同様の意味を持つ。