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菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

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てなわけで、デデデデで。 『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』

2024年04月09日 00時00分40秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2334回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

 

『デッドデッド
 デーモンズ
 デデデデ
 デストラクション

 前章』

 

 

 

地球外巨大宇宙船が空に居続けるギリギリの日常で女子校生二人が青春を謳歌するSFコメディ・サスペンス・青春ドラマ。

浅野いにおの同名漫画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』をアニメーション映画化。
前後編の前編。

 

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章 | あらすじ・内容・スタッフ・キャスト・作品・上映情報 - 映画ナタリー

 

製作年:2024
製作国:日本
上映時間:120分

配給:ギャガ

 

 

物語。

ほぼ現代日本。
あの日、8月31日、巨大な宇宙船が突如として東京に襲来し、世界は終わりを迎えるかに見えた。
だが、3年が経ち、絶望的な状況は次第に日常に溶け込み、東京は上空に巨大宇宙船が鎮座し、時折、小型中型艇が出てくる、異様な光景が当たり前となっていた。
日本政府も新たな兵器を開発し、その対応を強化してはいても、多くはアメリカの統制下にあった。

そんな中、女子高生となった「カドデ」こと小山門出と「おんたん」こと中川凰蘭は、担任教師の渡良瀬や仲の良い友人たちとともに何気ない学生生活を送っていた。
そきおに、ある小型艇が墜落、乗っていたものが地上で逃げていた。

 

主演は、音楽ユニット<YOASOBI>のボーカルのikuraとしても活動するシンガーソングライターの幾田りら、歌手やタレントとして人気を集める あの。

『ぼくらのよあけ』の黒川智之がアニメーションディレクター、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』シリーズの吉田玲子がシリーズ構成・脚本を手がけ、『地球外少年少女』のProduction +h.がアニメーション制作を担当した。

 

 

 

スタッフ。

アニメーションディレクター:黒川智之
アニメーション制作:Production +h.
製作:依田巽、川崎由紀夫、沢辺伸政、村松俊亮、稲葉貢一
企画・プロデュース:新井修平
プロデューサー:紅谷佳和、岡本順哉、毛谷村伸也、大東歩
原作:浅野いにお 『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』(小学館「ビッグスピリッツコミックス」刊)
シリーズ構成:吉田玲子
脚本:吉田玲子
世界設定:鈴木貴昭
キャラクターデザイン:伊東伸高
総作画監督:伊東伸高
CGディレクター:稲見叡
撮影監督:師岡拓磨
美術監督:西村美香
色彩設計:竹澤聡

編集:黒沢雅之
音響監督:高寺たけし
音楽:梅林太郎
主題歌:ano feat.幾田りら  『絶絶絶絶対聖域』

 


声の出演。

小山門出  (幾田りら)
中川凰蘭/おんたん  (あの)

栗原キホ  (種崎敦美)
出元亜衣  (島袋美由利)
平間凛  (大木咲絵子)
竹本ふたば  (和氣あず未)
田井沼マコト  (白石涼子)
大葉圭太  (入野自由)
小比類巻  (内山昂輝)
渡良瀬  (坂泰斗)
中川ひろし  (諏訪部順一)
小山ノブオ  (津田健次郎)
議長  (竹中直人)
イソベやん  (杉田智和)
デベ子  (TARAKO)
尾城先輩  (沢城千春)
須丸光  (大西沙織)
宝田  (松田健一郎)
三浦太郎  (河西健吾)
荻野  (こばたけまさふみ)

 

 

 

『デッドデッドデーモンデデデデデストラクション 前章』を観賞。
ほぼ現代日本、地球外巨大宇宙船が空に居続けるギリギリの日常で女子校生二人が青春を謳歌するSFコメディ・サスペンス・青春ドラマ。
浅野いにおの漫画原作を、前後編でアニメ映画化。
(タイトルが長いので『デデデデ』と略す)
『デデデデ』は日常系アニメと日常系アニメの劇場版の発想と青春ものをミックスした内容になっている。
これにより、ある緊張感が物語を支配する。
それは、変化への恐怖。
さて、『デデデデ』で描かれる恐怖は2つある。
それは絶対的な変化(=経年と成長)と突発的な変化。
後者は後程。
まずは、日常アニメ(成長しない、戦闘や目的がない)について、説明させていただく。
日本には四大日常系アニメ(漫画)がある。
『サザエさん』、『ちびまる子ちゃん』、『クレヨンしんちゃん』、そして、『ドラえもん』。
これ、基本、家族と小学生以下の世界。
高校生どころか中学生ものさえ少ない。『サザエさん』は大人の社会も描かれはするが、記号的な時代の流れであり、ファンタジー的な風合いさえ漂い始めている。(多少新しさも入れたりはするが、ネットやスマホは出てこない)、つまり、現代性がないともいえる。(未来を描く『ドラえもん』でさえ)
ただし、『ドラえもん』は少し特殊で、『ドラえもん』には目的があり、のび太の結婚相手を変え、ある程度普通の大人にする、という目的があったが、連載事情により、いくつもの第一話がある『ドラえもん』は何度か設定が変更されており、現在はドジなのび太を守るためにお手伝いロボットとして子孫セワシに送られたものとなっている。パラレルワールド化しているともいえ、なぜセワシだけがこれを許されているかなどは、ギャグ漫画という設定なしでは無理やりな設定ともいえる(そして、それによるいろいろな話が生まれた)。
そして、例外は1つある。
『うる星やつら』。
これらは、日常ではあるが、あまりにも非日常が降りかかるので、もはや『アンパンマン』に近く、戦闘ともいえる状況にある。あと、大きな元に戻る、結婚する、という目的がある。
(『名探偵コナン』もあるがこれも同じで、組織の謎や自分が基に戻るという大目的がある)
ただし、『うる星やつら』は変化への恐れがベースにあり、『デデデデ』と近い部分がある。
ただし、それは変化しても守られるため、安心な日常は続く。
これは変化が保留されることで、成長が停止しているといえる。(『クレヨンしんちゃん』は妹ひまわりの誕生とある程度までの成長があったが、その成長は立場に留まり、大きな変化とはならない)
(ちなみに、どちらも男の子が主人公であることにより、冒険という劇場版をするが、)
日常系なのかでも実は異色な『ドラえもん』はSFであり、ファンタジードが高い。
そして、日常をぶっ壊して元に戻って日常が続くということにより、欲望と教訓度が高い内容となっている。
そして、後に続く、<俺のドラえもん>が多く生まれた。(藤子不二雄自身も<次のドラえもん>をつくりつづけることになるが、実際は『ドラえもん』は<次のオバQ>である)
長く説明したのは、『デデデデ』が劇中で『イソベやん』というキコノ妖精による女の子版の『ドラえもん』を出し、それが物語の中で顕在化していく、<俺のドラえもん>=浅野いにお版でもあるから。
浅野いにおは漫画的なものに現実味をぶちこむのがその作風の一つ。
内と外の関係を語るともいえる。
今作でも、外部の存在がやってくるが、これは劇場版『ドラえもん』(または大長編)の世界観である。
そして、『デデデデ』では、この日常(内)という本編の世界に、劇場版(外)の世界がやってきて、融合する物語ともいえる。
『うる星やつら』も近いと書いたが、それは、『うる星やつら』はドラえもんの劇場版が連なるような話で、宇宙人が結婚相手を探しにくる外圧で世界が変わってしまう。
つまり、『デデデデ』は<俺のうる星やつら>でもある。
外からやってきたもので、日常が壊されるが、それを基にした平和な日常が続くまでは同じだが、『デデデデ』はもう一つの要素が加わわる。さらに外のもの。
それは実際の日本の現実。
絶対的変化の中にある現在という現実の比喩が加わる。
そして、そこには、現在の戦争の臭いがある。
その冷たい火薬の匂いは世界がずっと抱え続けているものでもあるが、今の当たり前にミサイルが飛んでくるが、日常が変わらない日本の姿でもある。世界では戦争が当たり前に続いていて、その余は有っても、大きな変化はない。
突発的変化とは、戦争や災害、事故、死による喪失など。
このき続けるけど、意思である程度は続けられる絶対的変化とそれでは続けられない突発的変化の恐怖を現実は抱え続けている。
そして、絶対的変化の真っただ中にあるのが青春だと言える。
それを二人の主人公に分けて描いたのことこそ、浅野いにおの<俺のドラえもん>アレンジ。
主人公のカドデとオンタンは、リアルなドラえもんとリアルなのび太をとして分け合っている。
ドラえもんというタイトルだが、のび太も主人公で、劇場版では『のび太の~』となる)
(しかも、『うる星やつら』は元々はアタルがのび太として主人公で次々と外圧と絡むはずだったが、最初のラムが人気により主人公化し、二人が主人公となって、ドラえもん化した)
漫画から劇場版アニメとなったことで、その構造がさらに浮き彫りになった、と言える。
そのために、主人公二人には、声優ではない歌手とアーティスト(元アイドル)が起用されているのも面白い。
アニメではよくあるが、今作だと、そこに現実味が加わる。歌手もアイドルも絶対的変化と抗う存在だから。
声だけの声優はこの絶対的変化から切り離される存在でもある。(80歳を超えて、タラちゃん役の貴家堂子、サザエ役の加藤みどりさんなど)
しかも、この二人の今の時間がまさに作品と溶け合うようで、見事なものになっている。
突発的変化はここにも当然訪れる。まる子役のTARAKOさんが劇中アニメの『イソベヤン』でのび太に当たるデベ子役をやっているのだが、この後で急逝されている。(『かぐやの姫の物語』で地井武男さんが翁役だったが、途中でお亡くなりになったため三宅裕司が同役の声を一部担当したということもある)
アニメは、声を変えてもつづくということで絶対的変化に抗うことができる象徴ともいえる。(漫画も作者の死後も引き継がれることもあるがマレ。ただし、アメコミはキャラだけで作家が変わるスタイルが通常)
そういう意味でも、アニメ化自体が、原作漫画が持っている要素を拡大する内容ともいえる。
アニメは絶対的変化に抗い続ける。
青春と同じように。
リアルな東京の風景を入れ、漫画的なキャラやアニメ的な動きが組み込まれていく、ミックスが、ダイレクトに物語に寄与していく。
まさに、見ること自体が表現を浴びる稀有な作品となっている。
しかも、前後編となることで、続くという部分も組み込んだのも素晴らしい。
送り手はかなり意識的なのが伝わる。
そのそのクオリティと意思は、身を委ねられる安心感がある。
それ自体、日常の一部であり、非日常的なことでもある。
だって、映画は、非日常で日常の一部なのだから。
後章が待ち遠しい。
大きなスクリーンで覆われて欲しい一本。





デデデデ」原作者・浅野いにお描き下ろし!門出、おんたん、イソベやんが購入者特典に♪ ムビチケ発売決定 | アニメ!アニメ!

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章 | あらすじ・内容・スタッフ・キャスト・作品情報 - 映画ナタリー

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』アニメ公式 on X:

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ネタバレ。

ベタなキャラ分けのようではあるが、カドデとオンタンは、ショートとロング、眼鏡と裸眼、徒歩と自転車、ひとりっ子と兄有りなど、対比する設定にしてある。

 

 

 

 

 

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