菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

それでも、愛はある、ということ。 『ぼくの名前はズッキーニ』

2018年03月16日 00時00分35秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1259回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

『ぼくの名前はズッキーニ』

 

 

 

 

 

 

9歳にして天涯孤独の身となり、孤児院で生活することになった少年ズッキーニが、ワケありの子どもたちと繰り広げる涙あり笑いありの成長を描くクレイアニメ。

アカデミー賞長編アニメーション部門ノミネートをはじめ数々の映画祭や映画賞で話題を集めたスイス・フランス合作。

 

監督は、本作が長編デビューとなるスイスのアニメーション作家クロード・バラス。

 

 

 

 

 

 

物語。 

少し前のスイス。
9歳の少年イカールは、母親と2人暮らし。
ある日、酒に酔った母とイカールは離れ離れに。
イカールは事故を担当した警官レイモンに「自分の名前は“ズッキーニ”」と呼ぶように訴える。そう母は彼を呼んでいたから。
レイモンに連れられ、ズッキーニは孤児院“フォンテーヌ園”へ。
しかし、ズッキーニは入所早々、ガキ大将のシモンに目をつけられてしまう。

 

原作は、ジル・パリスの児童小説『ぼくの名前はズッキーニ』(DU BOOKS刊)
脚本は、セリーヌ・シアマ。
共同脚本は、ジェルマノ・ズーロ、クロード・バラス、モルガン・ナヴァロ。

 

 

 

 

声の出演。

ガスパール・シュラッター ズッキーニ


シクスティーヌ・ミューラ カミーユ
ポラン・ジャクー シモン
ミシェル・ヴュイエルモーズ レイモン

 



 

 

スタッフ。

アニメーション監督は、キム・クークレール。
製作は、マックス・カルリ、ポリーヌ・ジギャクス、アルメル・グロレネク、エリック・ジャクー、マルク・ボニー。

撮影は、ダヴィド・トゥトヴォワ。

素晴らしい光の表現にやられます。

人形制作は、グレゴリー・ボサール。

 


編集は、ヴァランタン・ロテッリ。

音楽は、ゾフィ・フンガー。

 

 

 


自分をズッキーニと呼ばせる少年の孤児院での生活を描くスイスのクレイアニメ。
独特の色合いと造型、情緒に寄り過ぎない温かい語り口で愛と現実を描き出す。丁寧な造形で滑らかな動き、明かりが心地よい。
この重しに小さな羽を生やした内容はアニメだからこそ飲み込めたのかも。子供へ向けて放たれ、突き抜けて大人に刺さる。もうすべて起こったのだからあとはもう何も起こらないでいいと願う。
なにげないダンスシーンのひと時だけ痛みを忘れる幸福感。
「大丈夫、それでも愛はあるんだよ」とつぶやかせる芋作。

 
 
 
 
 

おまけ。

原題は、『MA VIE DE COURGETTE』。
『クルジェットとしての人生』。

国際題は、『MY LIFE AS A ZUCCHINI』。
『ズッキーニとしての人生』。 

 

2016年の作品。

 

劇中での使われているCourgette(クルジェット)はフランス語などでのズッキーニのこと。
「ズッキーニ」は欧州では安価で簡単になる野菜で低く見られている。日本で言う「もやしっこ」「ドテカボチャ」「イモ」のような侮蔑的な言い方になるらしい。そこらへんは『レミーのおいしいレストラン』でもちょっと出てきますね。
でも、性的な隠語では「恋愛関係ではないが親密で友情より深い関係を持つ相手」を示すことも。

だけど、劇中でズッキーニ少年のことをシモンは芋ともいうのよね。

 

 

 


上映時間は、66分。
製作国は、スイス/フランス。
映倫は、G。

 

キャッチコピーは、「この世界で、ぼくはひとりぼっちじゃなかった。」。

 

 

 

受賞歴。
2016年のヨーロッパ映画賞にて、長編アニメ賞をクロード・バラが、受賞。
2016年のセザール賞にて、アニメーション賞(長編)、脚色賞(セリーヌ・シアマ)を、受賞。

 

 

 

 

 

声の出演(日本語吹替版)。

峯田和伸が、ズッキーニ。

麻生久美子が、カミーユ。
浪川大輔が、シモン。
リリー・フランキーが、レイモン

 

 

 

おいらは、字幕版で鑑賞。

予告など見ると日本語吹替も悪くない感じですが、オリジナルと比べるとやや硬いし、顔が浮かんでしまう。年齢をやはり感じてしまう。別に大人が子どもをやるのは問題ないのですが、オリジナルが子供の声であり、内容によると思う。
とはいえ、子供が見る分にはよさそう。
でも、やっぱり、おいらはオリジナルの方を推します。

この地味な作品を有名キャストで見る機会を増やすのもしょうがないことだよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

ややネタバレ。

ネットで、テスト版としてつくった、『大人は判ってくれない』の時のオーディション映像を参考にしたオーディション映像が発表されています。これがまたよいのです。

こちらの記事よりどうぞ。

【「大人は判ってくれない」をイメージ「ぼくの名前はズッキーニ」パイロットフィルム公開】

@eigacomさんから 
http://eiga.com/l/GdWwP

 

こちらがその元ネタのジャン=ピエール・レオーのテスト映像

Jean-Pierre Léaud's Audition for The 400 Blows
https://www.youtube.com/watch?v=ULovABBn2ds

 

 

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