で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1460回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『映画ドラえもん のび太の月面探査記』
月の裏側に隠された真実をめぐってドラえもんとのび太たちが大冒険を繰り広げるSFアドベンチャー。
藤子・F・不二雄原作の『ドラえもん』の劇場版通算39作目、2005年に始まった映画版シリーズとしては14作目。
直木賞作家の辻村深月が脚本を担当している。
監督は、『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』の八鍬新之介。
物語。
月にはウサギが住んでいると言い放って皆から笑われてしまったのび太は、ドラえもんのひみつ道具“異説クラブメンバーズバッジ”を使って月の裏側にウサギ王国を作ることに。
ある日、謎めいた少年ルカが学校に転校してくる。
原作は、藤子・F・不二雄。
脚本は、辻村深月。
声の出演。
水田わさびが、ドラえもん。
大原めぐみが、のび太。
かかずゆみが、しずか。
木村昂が、ジャイアン。
関智一が、スネ夫。
皆川純子が、ルカ。
広瀬アリスが、ルナ。
中岡創一が、キャンサー。
高橋茂雄が、クラブ。
柳楽優弥が、ゴダート。
吉田鋼太郎が、ディアボロ。
スタッフ。
演出は、岡野慎吾、山口晋。
キャラクターデザインは、丸山宏一。
音楽は、服部隆之。
主題歌は、平井大『THE GIFT』。
地球と月、月の兎を信じるのび太に出した未来道具が起こす騒動を描くSFアドベンチャー。
脚本に辻村深月を迎えた新シリーズ14作目。
月を舞台に初期シリーズの趣から始まるものの展開ごとにネタが増え、少々とっちらかる。全体のまとまりはなかなかでパロディ精神が迸るものの古臭い。藤子哲学は少しだけ古くだったはず。とはいえ、このノスタルジーには、藤子リスペクトとしては自家薬籠中感もある。
ゲストキャストもいい感じ。
冒険に出る前の描写がよい。
SFとしては矛盾を感じるところもなくはないが、そこは結果オーライ目をつぶる。
『月世界旅行』や昔話モチーフのタイトルバックが楽しい。
月世界の楽しみがもう少し欲しかった月作。
おまけ。
上映時間は、111分。
製作国は、日本。
ややネタバレ。
連載『ドラえもん』にも【異説クラブメンバーズバッジ】は出てきている道具。このアイディアから『竜の騎士』、『雲の王国』などが生まれたと言える。
藤子・F・不二雄大全集別巻には『藤子・F・不二雄の異説クラブ』というのも発刊されてるくらいだし。
ネタバレ。
月の意味がほとんどないのよね。導入としてはいいのだけど、月のウサギ文明の成長速度もいい加減だし、異世界で道具を使って作ったものは定説の世界では見えないって。なら、地球が平らな世界であの船はどうなるのか?
それに、定説バッジをつけたら彼ら、消滅するよね・・・。
入れ子がうまく行ってないのよね。
あと、実際の月の恐怖ばかりが描かれ、六分の一の重力やガラス粉のようなレゴリスやら、日本の月面探査機"はごろも"や"かぐや"、"おきな"、"おうな"あたりとか出すとかね。
現実世界とのリンクこそ藤子イズムですよ。
同じ藤子ファンが作ったのはすごくよくわかるだけに、モヤっとする。
1000年前の事件は『モジャ公』の鵺の話のアレンジ。
ムービットは『宇宙開拓史』のチャミーまんまなのはどうかな。
他のSF作品への目くばせも多数。
荒野の探索部隊は『スターウォーズ』、生き残りが11人なのは『11人いる!』かな。
ゴダートの名前は、「ロケットの父」ロバート・ゴダード (ロバート・ハッチングズ・ゴダード)からかしら。