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菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

直線で弧を描きて振り下ろす。 『神が描くは曲線で』

2023年12月29日 00時00分31秒 | 俺は好きなんだよ!

【俺は好きなんだよ】第1810回

 

『神が描くは曲線で』(2022)

 

原題は、『Los renglones torcidos de Dios』。
英題は、『God's Crooked Lines』。
『神の曲がった線』。

 

製作国:スペイン
上映時間:155分

 

配信:Netflix

 

 

スタッフ。

監督:オリオル・パウロ
原作:トルクアト・ルカ・デ・テナ
脚本:オリオル・パウロ、ギリェム・クルア
追記脚本:ララ・センディム
撮影:バーナット・ボッシュ
編集:ジェローム・マルテ
プロダクション・デザインシルヴィア・ステインブレッハ
音楽:フェルナンド・ベラスケス

 

 


出演。

バルバラ・レニー (アリス/アリシア・グールド)
エドゥアルド・フェルナンデス (サミュエル・アルバ院長)
ロレート・マウレオン (ドラ/モンセラ・カステル)
ハビエル・ベルトラン (セザール・アレジャノ医師)
パブロ・デルキ (イグナシオ・ウルキエタ)
フェデリコ・アグアド (テオドロ・ルイペレス医師)
アデルファ・カルボ (ドラ)
フランシスコ・ハビエル (エレファントマン)
サミュエル・ソレール (ロムロ / レモ)
ルイス・ソレル 
ジョアン・クロサス  (ガルシア・デルオルモ)
デヴィッド・セルヴァス (ヘリオドロ)
ルイス・サクリスタン (ノーム)

 

 

物語。

1979年、スペイン、ロブレゴルド郊外にある”泉の聖母精神病院”にアリス・グールドがやってくる。
裕福で聡明な人妻だが、夫を毒殺しようとしたかどで、その夫の手により任意入院となったのだ。
実は、彼女は精神病ではなく、この病院で一年前に起きた刺殺事件の真相を暴くために患者を装って潜入した私立探偵だった。
彼女は主治医のドナディオと精神病院の院長アルバの協力によって潜入したはずなのだが、アルバ院長はアリスの言うことはすべてウソで彼女は本当のパラノイアだと伝える。
これは夫の陰謀なのか、それとも彼女はパラノイアなのか。

 

ある精神科病院で患者が謎の死を遂げた事件の真相を探り出すために、私立探偵の女性がパラノイア(妄想症)として入院するサイコスリラー・ミステリー。

 

原作は、トルクアート・ルカ・デ・テナによる1979年の同名小説。

 

監督・共同脚本は、スペインのサスペンスの天才『嵐の中で』『ロスト・ボディ』のオリオル・パウロ。

スペインで大ヒットかつ高い評価を得た。
まぁ、オリオル・パウロはいつもですけどね。

 

映画的に結構新しい映像トリックが入ってます。
これは語り草になります。
そういう意味で、まだどんでん返しのネタはあるはず。
長いので名前と顔を覚えるのが少々大変。とはいえ、かなり覚えやすい名前と見た目にしてます。
キャラ立ちもしてますしね。
なにより、美術と映像がいい、これ大事。
いつも通り脚本が素晴らしく、複線も拐取するし、ちゃんと映像で見せて語り、ヒントもあるので、ある程度までは観客も謎が解けますし、理屈が通ってます。もちろん、ちゃんと騙されますけどね。

オリオル・パウロにしては、珍しく原作付き。
見た後で、調べたら、原作は70年代のミステリーで、けっこう脚色して映画的なアイディアを投入してます。
ネタバレに書きますが、原作は原作でけっこう面白そう。
映画版は、テーマをガッツリ最後にぶつけてくるので、そこにどんでん返しに飲み込まれてない。
『シャッター・アイランド』に設定は似てますが、あれとはけっこう違いもあるので、あれが好きなら、こっちもどうぞ。

あなたの脳に挑んでくる一本。

 

 

Netflixで2022年12月9日から配信。

 

 

 

 

 

 

ネタバレ。

追加クレジット。
ルイス・ソレル (男/偽デル・オルモ / ドナディオ博士)

 

アルバ院長は最後まで、まともで真実を言い続けていたってことです。

 

映像トリックは、編集トリックでもあり、フラッシュバックだと思わせてフラッシュフォワードであったというところ。
しかも、これは、彼女のパラノイアの妄想にも結びついている。

 

原作は、トルクアト・ルカ・デ・テナによる1979年の小説『Los renglones torcidos de Dios』。
原作小説とはラストが違い、こっちはこっちで面白そう。
読みたい方はこっから先を読まないで、(日本版が出てるか不明だけど)

原作のラスト解説(ネットより引用)
アリシアを退院させるかどうかを審議が開かれる。
アリシアの銀行口座がすべて引き落としになっていれば、夫の企みの証拠だろうと、これを確認する。
口座はすべて引き出されており、夫は海外に出国していた。
これで審議者全員がアリシアを開放することに賛同した。
そのまま、ドナディオ医師が姿を現すことはなく、刑事が徹底的に彼女を捜査する。
その結果、アリスはパラノイアの精神病患者だった。
アリスはヘリオドロと結婚した裕福な女性だったが、しばらくして、夫が自分を愛していないことに気付く。
ヘリオドロの目的は彼女の財産だったのだ。
ヘリオドロはその金で遊びまくり、アリスはそれにより精神に変調をきたした。
そして、壊れたアリスは夫を毒殺しようとした。
それを逃れたヘリオドロは、ドナディオ医師に救いを求めた。
ドナディオ医師はアリスをパラノイアだと診断を下し、精神病院へ送られてしまうことに。
アリスは自分がパラノイアであるという事実を拒み、物語で逃げる。
自分は私立探偵の資格を持っており、依頼により捜査のために精神病院へ潜入するのだと。
刑事から真実を知らされた医師たちは、再び医療審査会を開く。
結果、優秀な彼女なら、己を制御できるだろうと大丈夫であろうという結論になり、退院となる。
夫はすでに金をすべて持ち、高跳びしていた。
財産はなくなったが、彼女を壊した原因もなくなった。
多インし、病院を出ていくアリスは、自分の物語がつくりごとだと気づき、パニックに陥る。
ついにアリスは自分が精神病であることを認めえることができた。
アリスは振り返り、病院へと引き返す。
自分で自分を信じられないし、ここにしか自分の居場所はないのだと。

 

 

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