15年ぐらい前の春、友人たちと3人で、
友人の家の近くの桜を自転車で廻ったことがあります。
そのあたりは大きな家の多い住宅街で、
大きな公園もあり、
たくさんの桜のを見て感激したわたしは、
「桜の花に囲まれて死にたい」
と言うと、
「それって西行の歌にもあるんだよね」
と友人。
西行の歌のことなど知らなかった無教養のわたしは、
昔の人の心と現代人の自分の心に、
同じような思いがあることに、また感激しました。
Kちゃんは地元のランニングクラブに所属しています。
その仲間♂がステージ4の癌になって4年目になるそうです。
今年の3月に開催された東京マラソンに参加しましたが、
走るのが辛くて5㎞歩いてリタイヤ。
おととい彼はランニング仲間と、近くの公園にお花見をしました。
声が出ず、顔がむくみ、足がしびれ、腰の痛みが酷かった・・・。
そんな状態なのに、仲間たちとお花見をする彼の気持ちは、
西行の歌の思いと通じるような気がします。
そしてきのう、近郊でマラソン大会がありました。
そのマラソン大会は、桜並木と菜の花が美しいコースの大会です。
参加するランニングクラブの仲間を応援するために、
その彼もクラブの貸し切りのバスで一緒に出かけたそうです。
走ることが好きでずっと走ってきた、
自分が走れなくても仲間を応援したい、
来年のこの大会には来られないかもしれない、
桜の美しいこの大会に・・・。
そう彼は思っていたのでしょうか。
わたしならどうするか。
自分が死ぬときはどんなだろうと考えることがあります。
だから、Kちゃんから聞いたその仲間のことを、
まるで自分のことのように感じました。
あした雨が上がっていたら、桜並木の散歩コースを歩いて、
今年の桜を心に焼き付けておこうと思います。