行政書士・社会保険労務士 大原事務所

人生も多分半ばを過ぎて始めた士業。ボチボチ、そのくせドタバタ毎日が過ぎていく。

判子帰る!

2015-01-23 12:37:10 | 日記・エッセイ・コラム
 私の娘が判子という名前で、ぐれて家出したが、暫くして帰ってきたという話ではない。

 実印や銀行印ではない認印。以前にあるきっかけで実印を作った時に一緒に作った三本セットの一本。無くしてしまった。非常に困ると言うほどでもないが、仕事でもたまに使うので少しは困る。第一そんなに安いものでもない。思い出もある。
 何時無くしたのかも分からない。仕事用のカバンに入れて持ち歩いていた。正月明けにカバンの中の整理をした時にはあった。カバンの中の小さなポケットに入れた。7日に使ったのは覚えている。ところが、19日に仕事先で書類に判子を押そうと思ったら無い。確かにカバンに入れていたのが、そのポケットにない。そんなはずはないと思ってさんざん探した。カバンの中に手を突っ込んで底の方から探ったが、見つからない。とりあえず書類は家へ帰って他の判子を押して郵送することにして仕事先を辞した。
 さて、帰宅してカバンの中の書類だの手帳だの名刺だの本だのを全部出して、あらゆる隙間とポケットに手を突っ込んで探すが無い。逆さにして振ってみても埃しか落ちてこない。落とす事はまず考えられないのだが・・・・。
 年齢のせいか、最近呆けてきたようだ。落としたと思ったものが思わぬ所からでてきたことが一度ならずある。何気なくポンと置いてそのまま忘れてしまう。或いは掃除の時小物を整理して置き場所をかえて忘れてしまう。
 今度もそれかもしれない。とりあえず書斎を掃除しながら探してみることにした。

 半日かけて書斎は綺麗になった。でも判子は見つからない。やはりどこかに落としたのか。そういえば、一つだけその判子を使った銀行口座があった。小額の口座だが(もっとも大金の口座などない)事故でもあると嫌だ、念の為、早速銀行へ行って確認。不正に引き出された様子はない。ついでにほぼ全額おろして別の口座に入れてきた。
 これで万が一にもトラブルになる恐れはない。ゆっくり考えてみることにした。
 二日が経過。夜ベッドに入ってから寝るまでの間、お風呂やトイレの時間を費やして考えてみた。今月は暇だったので行ったお客さんは限られている。後は役所が二カ所。いずれもカバンのポケットから判子が落ちるようなカバンの開けかたはしていない。
 はたと気が付いた。図書館かもしれない。役所の近くで図書館へ寄った。調べ物のついでに書類を一枚書いた。その時、机の上にカバンを置いて、中をかなりごそごそいじった記憶がある。判子がカバンから転げ出たとしたらその時以外にない。
 駄目元で翌日朝一番で図書館へ。
「10日程前なのですが、判子の落し物はなかったですか」
すると、係の人は帳面をめくって暫く調べてくれて、
「9日にあったようです。でもこれ彫ってあった名前も特徴も書いてないので、貴方の判子かどうかは分かりませんが・・・・・・とりあえず警察に届けてありますので、警察へ行ってみてください」
 その足で警察へ。
 落し物は多いようだ。ボリュームのある落し物整理簿のような物を見て、判子を特定。如何にも疑ってますと言う感じで、質問の嵐。
 何処で、何時落としたんですか? どんな判子? ケースに入ってました? ケースの色は? 素材は?
 それらの質問にすべて答えたと思ったら、ほぼ同じこと書類に書く。
 書類を書いて提出して、身分証明書がわりの運転免許証を見せて、
 「えーと、拾った方は御礼は辞退すると言ってるようですので、これでお渡しできます」やっと判子が手元にかえってきた。
 判子帰る である。
「それでは此処に判子を押してください」と、さっきの整理簿の様なものを示される。
 私はかえってきたばかりの判子を出して、そこに押した。

 元あったカバンのポケットに仕舞おうとして、一瞬躊躇した。上着の内ポケットに入れた。

 判子は今書斎の引き出しに大事に仕舞ってある。外には持ち出さない事にした。カバンの中には安い、落としても良いような三文判を入れた。

 まさかこんなにうまくかえってくるとは思わなかった。殆ど諦めかけていた。
 判子を拾ってくれた方、それを警察に届けてくださった図書館の方、警察のみなさん、お騒がせしました。有難うございました。

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