家を出た道角には、小さい花壇がある。一年中、シーズンの花が咲いている。
だれが植え替えしているだろうと、いつも不思議に思うが、その季節ごとに咲く、色とりどりな花を実に楽しんでいる。
今日も、いつものように、花を眺めながら花壇を通っていた。と、花壇の花ではなく、花壇の壁に目が引かれた。
朝顔だ。花壇の中にないのに、壁に一本だけ、生き生きとした一輪の朝顔が咲いている。
きっと、花壇の管理人がもってきた種から、落ちていたのではないか?
運命は、この朝顔のように、いつ、偶然を迎えるかを、誰もが予測できないなぁと、この小さいな命を眺めながら、夏の涼しい早朝に、ふいに思った。