現在、主に八尾市のT社での物件購入を続けていますが、やはり1社だけに依存してしまうのは、リスク分散や物件供給の点からも避けるべきかと最近思い始めていました。
そんな中で不動産物件のポータルサイトである楽街でちょっといい物件が見つかり、その物件の販売元であるG社(大阪府大阪市)のWebサイトを見たところ、G社は戸建リノベーション物件を中心に物件の販売・リーシング・管理サービスを一気通貫で行っている不動産会社であることがわかりました。
そこで、このG社にいい物件を探していただき、先日、松原市の築古戸建て物件を購入することができました。利回りはかなり固く見ても12%は越える見込みです。
このG社および物件の詳細はリノベーション完了後にまた報告したいと思いますが、今回は、このときの所有権移転登記の手続きについて記載します。
これまで自分自身で登記を行った時の状況としては、仲介業者がおらず、売主である不動産業者から直接購入するというパターンでした。
しかし、今回の所有権移転登記は売主(個人)⇒買主(私)であるとと同時に、売買契約としては不動産業者を介する、というものでした。
以下では、A:売主、B:不動産業者、C:買主 とします。
これは、所有権移転登記についても、A ⇒ B、B ⇒ C とすると、BからCへの所有権移転登記の時だけでなく、AからBへの場合にも登録免許税や不動産取得税などが発生してしまいます。このようなコストを減らすために、直接、A から C に所有権を移転する、ということです。
これを「第三者のためにする契約」または「新・中間省略登記」と言ったりするようです。
この時に必要な書類は以下の通りです。
通常と異なるのは所有権移転先指定書、所有権移転意思表示通知書が必要であること、また登記原因証明情報の内容も売買契約において、不動産業者を介することを記載することが必要になります。
A(売主):
・登記識別情報
・印鑑証明書(A)★
・委任状(A⇒司法書士、A実印)★
・委任状(司法書士⇒C、司法書士捺印)★
・所有権移転先指定書(A宛 B 捺印)
・所有権移転意思表示通知書(A宛 C 捺印)
・登記原因証明情報(A, B, C 捺印)★
B(不動産業者):
・売買契約書
・固定資産税公課証明書 ★
C(買主):
・住民票(あるいは住民票コード)★
今回、Aには司法書士が売主の代理として対応されていたため、委任状としては売主⇒司法書士および司法書士⇒買主の2通が必要でした。
今回も登記ネットで申請しましたが、その時の添付書類および法務局への郵送書類は ★ を付けた書類になります。
所有権移転先指定書や所有権移転意思表示通知書は法務局への提出は不要です。また、今回は売主側に司法書士がいたので、委任状や所有権移転先指定書や所有権移転意思表示通知書、登記原因証明情報などすべて作成していただきました。(大変恐縮です。)一応、こちらでも書類は用意していたのですが、やはり先生が作っていただいたものを使ったほうがいいだろうということで、すべて使わせていただきました。
登記原因証明情報については、「第三者のためにする契約」に沿った内容とすることが必要です。
また、登記原因証明情報の捺印としてはBだけがあれば契約上は問題ないようですが、司法書士からはこの場合3者(A, B, C) で捺印をすることが推奨されている、ということでした。
その一方で、登記申請書については、AからCへの所有権移転となるため、これまでと変わりありませんでした。
登記原因証明情報では、当事者として、A(義務者)、C(権利者)のほか、B(A・B間の売買契約の買主)も記載することが必要ですが、登記申請書では、あくまでもAからCへの直接の所有権移転なので、そのような情報は不要とのことです。
添付情報として、代理権限証明情報(送付)があり、今回、委任状が2通あるため、例えば 代理権限証明情報(義務者から司法書士XXXへの委任)(送付)、代理権限証明情報(司法書士XXXから権利者への委任)(送付)などと書くのかと思ったのですが、司法書士に聞いたところ、委任状が2通であってもこれまで通り単に代理権限証明情報(送付)だけでよい、とのことでした。
今回、初めてのパターンだったのでちょっと心配でしたが、何とか対応できました。
最後に、参考までに登記原因証明情報と所有権移転先指定書、所有権移転意思表示通知書のサンプルをつけておきます。
以下では、A⇒Bへの売買契約日は3月X日としています。
また、3月Y日に B⇒Cへの売買契約、A・B間およびB・C間の同時決済を実施しています。
さらに、同日3月Y日に、所有権移転先の指定および所有権移転を受ける旨の意思表示もしています。
登記原因証明情報
1 登記申請情報の要項
(1)登記の目的 所有権移転
(2)登記の原因 令和4年3月Y日売買
(3)当事者 権利者(丙) Cの住所 Cの氏名
義務者(甲) Aの住所 Aの氏名
2(1)の売買契約の買主(乙)Bの住所 Bの氏名
(4)不動産の表示
(土地の表示)
(建物の表示)
2 登記の原因となる事実又は法律行為
- 甲と乙は、令和4年3月Ⅹ日、上記不動産(以下「本件不動産」という。)につき、甲を売主、乙を買主とする売買契約を締結した。
- (1)の売買契約には、「乙は、売買代金全額の支払いまでに本件不動産の所有権の移転先となる者(以下「丙」という。なお、乙が乙自身を指定する場合も含む。)を指定するものとし、甲は、乙の指定及び売買代金全額の支払いを条件として、本件不動産の所有権を丙に対し直接移転する」旨の所有権の移転先及び移転時期に関する特約が付されている。
- 乙と丙は、令和4年3月Y日、甲所有にかかる本件不動産につき、乙を売主、丙を買主とする売買契約を締結した。
- (3)の契約には、「乙は、丙の乙に対する売買代金全額の支払い及び乙の甲に対する売買代金全額の支払い、且つ丙の甲に対する本件不動産の所有権の移転を受ける旨の意思表示を条件として、甲から丙に直接所有権を移転させる」旨の特約がある。
- 所有権の移転先の指定
乙は、甲に対し、令和4年3月Y日、(1)の契約に基づき本件不動産の所有権の移転先として丙を指定した旨の通知をした。 - 受益の意思表示
丙は、乙に対し、令和4年3月Y日、(3)の契約に基づき売買代金全額を支払い、甲に対し本件不動産の所有権の移転を受ける旨の意思表示をした。 - 乙は、甲に対し、令和4年3月Y日、(1)の売買代金全額を支払い、甲はこれを受領した。
- よって、本件不動産の所有権は、同日、甲から丙に移転した。
令和4年3月Y日 XXX法務局 XXX支局 御中
上記の登記原因のとおり相違ありません。
(甲)Aの住所 Aの氏名 印
(乙)Bの住所 Bの氏名 印
(丙)Cの住所 Cの氏名 印
令和4年3月Y日
Aの住所
Aの氏名 殿
Bの住所
Bの氏名 印
所有権移転先指定書
当社は、貴殿と締結した令和4年3月X日付売買契約書に基づき、所有権移転先として、下記の者を指定したことを通知いたします。
記
- 所有権移転先
Cの住所 Cの氏名
- 指定した日
令和4年3月Y日
- 不動産の表示
(土地の表示)
(建物の表示)
令和4年3月Y日
Aの住所
Aの氏名 殿
Cの住所
Cの氏名 印
所有権移転意思表示通知書
私は、Bより、令和4年3月Y日付の所有権移転先指定書をもって、AとBとの間で提携された令和4年3月X日付売買契約書に基づく所有権移転先に指名されましたので、これを承諾いたします。
記
- 不動産の表示
(土地の表示)
(建物の表示)