サイエンス好きな男の日記

気が向いたときに、個人的なメモの感覚で書いているブログです。

3.0%円建て債券~米ドル償還特約付~はお得?

2007-07-07 11:17:25 | 資産運用

最近マネックス証券の口座を開設しました。最近特に円安が続いているため、今後は国内債券もしくは高金利の外国債券を購入しようかと思ったのがきっかけです。

マネックス証券では、マネックス世界債いちばで毎月外国債券が売り出されていたり、米ドル建てゼロクーポン債、さらに最近はマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社の社債1.0%円建債券3ヶ月ものなども売り出され、今後の円での運用は、このような社債を中心にしようかと考えていました。

そんななか、さらに目を引いたのは3.0%円建て債券~米ドル償還特約付~というものです。他の銀行でもこのような特約付はよくありますが、大体複雑な仕組みで消費者を惑わし、結局は銀行が得をするような仕組みであると思ってあまり見向きもしないのですが、マネックスがこのような商品を販売するのは、もしかしたらそれなりにお得な商品かもしれない・・・とちょっと考え込んでしまいました。

これは、期間中に販売当初の為替レートよりも一度でも9円円高になれば利率3.0%と償還金(米ドル)、そうでなければ利率3.0%と償還金(円)での支払いというものです。したがって、円安によるメリットはほぼ享受できないのに円高によるリスクを負わなければならない可能性が高い商品です。利用者にとってもっとも都合のよい状況は、販売時の為替レートよりも円高になるものの、9円もの円高とはならないような状況です。(この段落の表現は厳密には正しくない部分もありますが、傾向としては正しいです。)

そこで、本当にどれほど得なのか、現在主流の利率5%の米ドル建て債券の場合と比較することにしました。

仮定:
・販売当初の為替レートは122円とする。したがって、ノックインレベルは113円である。
・米ドル建て債券の利率は5%とする。
・米ドル償還特約付円建て債券の利率は3%とする。
・ノックインレベルに1度でも達する確率pは、満期時の為替レート r の関数とする。つまり、p = p(r) とする。

上記仮定より、米ドル償還特約付円建て債券の償還後の受取額をA、米ドル建て債券の償還後の受取額をB、両者の比(A/B)をZとすると、
A(r)=1.03(1-p)+(0.03+r/122)p
B(r)=1.05*r/122
よって、
Z(r)={p+(1.03-p)*122/r}/1.05
となる。
また、仮定として
p(r)=1 (r<113), 0 (r>124)
とし、113<r<124の場合には r が大きくなるにしたがって階段状にpが減少するとした。(詳細は図を参照)

 

横軸は償還時の為替レート r、指標とあるのは Z(r)、ノックインレベル到達確率はp(r)を示す。

見てわかるとおり、指標Z(r)が1をわずかに超えるのは為替レートが118円前後の場合のみであり、それ以外は1以下である。あとは、償還時の為替レートの分布関数φ(r)を予想して、Σr Z(r)φ(r)を算出することでどちらが得かが判明する。

しかし、φ(r)が r=118付近に鋭いピークを持つことは想像しがたいため、米ドル償還特約付円建て債券3.0%よりも米ドル建て債券5.0%のほうが得と思われる。

結局、マネックス証券でも複雑な商品よりもシンプルな商品のほうが得である、というのが私の結論です。
 

 

 

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