サイエンス好きな男の日記

気が向いたときに、個人的なメモの感覚で書いているブログです。

安愚楽牧場の資金繰り悪化

2011-08-02 12:35:15 | 匿名組合
投資家から資金を集め、子牛を売却することで得られる利益金を分配する「和牛オーナー制度」を運営していた安愚楽牧場が資金繰りの悪化だそうです。


---- asahi.com からの引用 ---------

出資者から繁殖用の黒毛和牛の飼育の委託を受け、生まれた子牛を買い取る「和牛オーナー制度」を運営する安愚楽(あぐら)牧場(本社・栃木県)が経営悪化を理由に、全国約3万人のオーナーやえさの仕入れ先などへの支払いを止めていることがわかった。東京電力福島第一原発の事故の影響で、牛肉の消費や価格が急落したことが原因としている。

 同社は、東京都内の弁護士事務所に資産・負債状況の調査を依頼した。債権者にあてた弁護士事務所の1日付の通知書によると、1カ月以内に調査を終え、対応を決める方針。東京商工リサーチによると、3月時点の負債額は619億円。

 通知書によると、同社は宮崎県で昨年に発生した口蹄疫(こうていえき)を皮切りに、福島原発の事故に伴う牛の放牧制限や牛肉の放射性セシウム汚染で打撃を受けた。さらに牛肉の消費の落ち込みで経営状況が一気に悪化したという。

同社の役員は1日、朝日新聞の取材に「原発事故後にオーナー契約の解除が急増した。和牛の価格下落が著しく、子牛の販売額も半値以下になった」と説明。「東電への損害賠償請求についても弁護士と相談中」と話した。

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まだ公開されているホームページを見ると、
新まきば2011Aコース 50万円 3年契約 1.7万円/年 ⇒ 3.4%
新まきば2011Bコース 100万円 4年契約 3.8万円/年 ⇒ 3.8%
という利回りでした。

以前の平成電電ほどの高利ではないですし、数字だけをみると安心してしまいますよね。やはり、リスクの大きさは利回りだけでは判断してはいけないと実感しました。

途中解約は 10% の手数料とのことですから、途中解約で3年という時間を無駄にしてしまうため躊躇もしてしまいますね。

また、Webには
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「子牛予定売却利益金」ならびに「売買・飼養委託契約金」は制度上あらかじめ保証をされたものではありません。ただし当社におきましては、30年以上にわたる本制度の運用実績において、これらの支払いを減額あるいは遅滞した過去の事例はありません。
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ともありました。

一度、減額すると顧客の不安をあおり信用を落とすため、他の資金からの投入で減額・遅滞を防いでいたのでしょう。減額・遅滞したときにはすでに破たんなので、結局このように過去の実績はリスクの大小を判断する材料にならない、ということですね。

以前に一度投資を検討しましたが、財務諸表が公開されていない、このビジネスが成り立つロジックが理解できないことから、結局あきらめたことを思い出しました。


もうひとつ興味深かったのは、オーナー契約の解除が原発事故後に急増した、ということ。
契約解除時期が原発事故直後なのか、牛肉の放射性セシウム汚染問題が顕在化し始めた7月上旬なのかはわかりませんが、一部のオーナーが契約の解除をしたというのは、こういったファンドの場合にはすぐに逃げられる心づもりというか、どういった場合にどういった行動をするか、という事前の避難訓練のようなものが必要なのだと感じました。

長期にわたって安定して収益が得られるとは限らないと常に意識することが必要なのでしょう。(実際には難しいことかもしれませんが・・・)

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maneoにおけるレンダーの戦略

2010-12-12 02:42:05 | 匿名組合

メモ代わりで久しぶりに記事を書くことにしました。

2年ほど前からソーシャルレンディングに興味を持っていて、maneo のアカウントも取得していましたが、実際に貸し手になったことはなかったのですが、ちょっと小金が溜まってきたため、真剣に検討してみることにしました。


Google 等で maeno で検索すると、デフォルト(貸し倒れ)の記事がよくでてきます。
また、手数料が高い等、あまり評判は良くないようですね。

maneo には、ローンのタイプがいくつか定義されていますが、私は私なりのくくりとして次の3タイプの借り手にわけて考えています。個人向けローン、企業向けローン(保証なし)、企業向けローン(保証付き)

それらの実際のデフォルト率は maneo のアカウントがあれば[マーケット情報]で確認できるのですが、それは内部情報であるためここでそれらについては触れませんが、容易に想像できるように一番デフォルトしない(もしくは、その可能性が低い)のは企業向けローン(保証付き)です。

それらの金利は、通常5-10%ぐらいの幅です。

以下では、どのような条件であれば、この企業向けローン(保証付き)に貸し手として参加することにうまみがあるかを考えます。

投資額に対する収益率:p''
貸出金利:p
手数料(税込):p0=1.575%
実質金利:p' ← 手数料や税金を考慮した金利。手数料および税金のどちらもなければ p と同じ。税金のみなら、p' = (1-税率)*p となる。
税率:tax=20%
借入期間(か月): n
元本返済据置回数:n1

とした場合、途中の式を省略すると・・・

p' = p*(1-tax)*(1-p0) - 24*p0/(n+n1+1) 訂正:4/22/2011
p'' = p'/24*(n+n1+1)*(1-p0) 訂正:4/22/2011

上式を得るうえで一つだけ補足すると、n1回目までは元本の返済は全く行わず利子だけを支払い、n1+1回目以降は元本を分割して返済していきます。したがって、n1回目までの利子は元本*貸出金利ですが、n1+1 回目以降は元本の残額に対する利子の返済となることに注意が必要です。

この式に、maneno のホームページに紹介されているローンを当てはめてみると面白いです。

ローンA:貸出金利 9.5%、借入期間:12ヵ月、元本返済据置回数:0回 手数料なし ⇒ 実質金利:7.6% 収益率:4.1%
ローンB:貸出金利 8.5%、借入期間:36ヵ月、元本返済据置回数:6回 ⇒ 実質金利:5.8% 収益率:10.4%
ローンC: 貸出金利 6.5%、借入期間:24ヵ月、元本返済据置回数:6回 ⇒ 実質金利:3.9% 収益率:5.0%

このように実質金利に大きな開きがあります。
(返済された元本は再度投資が可能ですし、期間がながければ収益率は増えます。したがって、収益率はさして重要な要素ではありません。今固定化されている融資が実質的にどれだけの金利で増えているのかを示す実質金利が重要です。)

したがって、maneo のリスク(maneo のページ参照)やデフォルトのリスクを考慮すると、レンダーの投資先としては企業向けローン(保証付き)であり、かつ実質金利が 6% 以上の物件に絞ったほうがよいと判断できます。
上記の場合には、ローンAがその基準を満たしていますが、保証している企業に対して若干不安があったため、それは見送ることとし、ローンB(厳密には0.2%基準に満たないが)のみに投資するのがよいと判断できます。ちなみに、このローンBの保証企業は成長路線にあり大きな問題はないと判断しました。

一方、6%を下回るローンは、仮に保証付であったとしても魅力に欠け、maneo以外の別の投資先に投資したほうがよいと考えます。
個人向けローンや保証のない企業については、保証付よりもさらにデフォルトのリスクが高いため、一切投資をしない。

このような戦略で続けるのであれば、maneoがつぶれない限りはうまくいくと考えます。



--- 追記 ---

計算式を参考までに記載しておきます。

p'' = Σ(i=1,n1)p/12*(1-tax)*(1-p0) + Σ(i=1,n-n1)(1-(i-1)/(n-n1))*p/12*(1-tax)*(1-p0) - p0
= p*(1-tax)*(1-p0)*(n+n1+1)/24-p0
= p'*(1-p0)*(n+n1+1)/24
--------------

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