久しぶりに太陽光発電に対する記事です。
昨年7月末ごろに売買契約・決済をした山梨の太陽光発電システムですが、その後問題が発見され、1年あまりかかって最近ようやくクローズしたため、これまでの経緯を報告します。
長くなりそうなので、先に概要だけを述べます。
【概要】
7月末売買契約・決済後、実はその数日前に落雷が原因でパワコンが故障していることがのちに判明。ただ、故障したのは、幸いにも通信回路部分だけであり、売電そのものには影響がなく、遠隔監視システムのサニックスアイでの発電監視が使えない、という状況。
決済前の落雷が原因であるため、それを直す義務がこちらに発生。そこで、1年かけて調査し、故障したパワコンは9台中4台であることがわかった。
4台のうち2台はパワコン修理、2台は中古パワコンと交換。調査・交換費用は合計50万円ほどかかったが保険にて対応することで、実質的な支払額は20万円だった(免責20万円のため)。
- なぜパワコン修理あるいは交換なのか。保険を使って、新品のパワコンには交換できなかったのか。
- なぜ調査に1年もかかったのか。
等は以下の詳細な経緯を参照ください。
なお、この太陽光発電システムの現所有者は売却先の法人ではなく、別の第三者となっているため、一部はややあいまいな記載となっていることについてはご容赦ください。
【詳細な経緯】
売却後すぐに発電量がおかしい、という連絡が売却先(法人Z社)より連絡がありました。
今回、2基(それぞれ50kW規模)を売却したのですが、一方の太陽光発電の発電量がもう一方のものよりもある日時を境に急に減少している、ということで気づいたようです。
【問題のない太陽光発電システム】
【問題となった太陽光発電システム】
27日からは発電量に差異があることが明らかです。決済日はその2日後の29日でした。
しかしさらに調査をしてもらったところ、太陽光発電そのものは特段問題はなくできているということで、単に遠隔監視システムの表示がおかしいだけであることがわかりました。
また、どうも27日には太陽光発電システムの近くで落雷などが起こっていたこともわかり、落雷により異常電流が流れて発電量監視システムであるサニックスアイが故障したのではないか、という可能性が高いと想像されました。
太陽光発電システムの売買契約書では、遠隔監視システム(サニックスアイ)については特に記載がなく、口頭レベルで、売却後もサニックスアイの継続利用をしてもよい、と私から伝えていました。
そのため、今回のサニックスアイの故障については、太陽光発電システムでは問題なく発電ができているため、あえてこちらでサニックスアイを修理して使えるようにするといった義務は発生しないのではないか、と考えました。ただ、それを先方に伝えると、それはそれで話がこじれそうな気もします。
そうこうしているうちに、「サニックスアイの故障」はあくまでも状況証拠からの推測のため、きちんと調査して原因を特定することになりました。
8月初旬:まずは、詳細な原因調査を依頼
9月初旬:調査した結果、サニックスアイは問題なく、パワコンの通信回路部分が故障。そのため、サニックスアイに正しい情報が送信されなかったと判明。通信回路が故障した原因として考えられるのは、誘電雷による異常入力の侵入によるもの、とのこと。
パワコンの代理店を通してメーカーに確認したところ、すでに加入しているパワコンの10年製品保証では、このような自然災害での故障は対象外(保証外修理8万円)となってしまう、とのことでした。一方で、別途企業総合保険に加入していたため、対応を確認したところ、自然災害や電気的・機械的事故については保険対象(ただし免責金額20万円)とのことでした。
修理費用8万円なので、結局、企業総合保険も意味がありません。
あらためて確認したところ、保険料は5年間で免責金額20万円なら144,230円、免責金額5万円なら168,430円。こんなことになるなら、ケチらずに免責金額5万円にしておけばよかった。
あきらめて、自費でパワコンを修理しました。(ただ、最終的にはこれも保険の支払い対象となりました。)
ところが・・・
パワコンを修理しても、遠隔監視システムの表示は正常に戻りません。
さらに詳しく調査したところ、この遠隔監視システムに接続されているパワコン9台に対して、修理した1台を含めて3台については現在問題はないが、残り6台については売電には問題がないが、遠隔監視システムに必要なデータ送信が停止となった可能性が高い、ということがわかりました。ただ、6台すべてが異常なのか、そのうちの一部だけが異常でありそれにひきづられて他のパワコンもすべて停止となったのか等はさらに詳細な調査が必要とのことでした。
修理した1台の故障の原因は落雷だと結論付けられましたが、それ以外に異常となったパワコンも同じ原因かどうかは最終的には1台1台を調査しなくてはならず、原因を断定できません。
整理するとパワコン9台に対して
・パワコン1台・・・修理済み(通信回路の故障)
・パワコン2台・・・正常
・パワコン6台・・・一部は正常、一部は異常(6台すべて異常の可能性あり)
2月下旬:
そこで、調査対象のパワコン6台のうち、まずは2台をセンドバックしてパワコンメーカーに調査していただくことになりました。その間、GreenT(太陽光発電システム販売・管理)にて、同じ型番の中古パワコンを代替品としてお借りし、太陽光発電には影響がないようにしていただきました。
3月下旬:
メーカーでの詳細調査の結果、パワコン2台のうち1台は問題なし。もう1台は昨年9月に調査した最初のパワコンと同様に通信回路部分が故障。故障の原因は、落雷と思われるとのこと。このパワコンについては修理にて対応していただきました。
この時点での状況は以下の通り。
・パワコン1台・・・修理済み(通信回路の故障)
・パワコン2台・・・正常
・パワコン6台・・・1台は正常、1台は修理済み(通信回路の故障)。残る4台のうち、一部は正常、一部は異常(4台すべて異常の可能性あり)
6月:
残り4台について、2台ずつメーカーにセンドバックして調査してもらうとさらに時間がかかりそうであったため、その後は現地でGreenT保有の中古のパワコンと故障可能性のあるパワコンを1台ずつ交換して、どのパワコンが故障しているかを特定。その結果、残り4台のうち2台が故障していることが判明。
7月初旬:
GreenTにて特定された故障のパワコン2台をメーカーに送付し、詳細な原因調査を依頼。
8月初旬:
2台とも、これまでのパワコンと同様に通信回路部分が故障。故障の原因は、落雷と思われるとのこと。
まとめると、パワコン9台は以下のような状況となりました。
・パワコン1台・・・修理済み(通信回路の故障)
・パワコン2台・・・正常
・パワコン6台・・・3台は正常、1台は修理済み(通信回路の故障)、2台は通信回路故障
これで、故障したパワコンはすべて通信回路部分の故障であることが判明しました。いずれも落雷が原因との判断です。
ここまででおよそ1年もかかってしまったことになります。
GreenTの調査で判明した、故障したパワコン2台についてもこれまでと同様に修理をパワコンメーカーに依頼したのですが、この2台については修理対応ができず新品を購入してほしいと回答がありました。「天災(落雷)は長期保証対象外であるため、オンサイト対応対象外となる。オンサイト対応対象外なので修理ができない。」という回答でした。今でもこの意味がよくわからないのですが、仕方ありません。すでに修理したパワコンについては特別対応であったようです。
したがって、選択肢としては、故障した2台については新品交換か、中古品交換のいずれかになります。保険会社に確認したところ、どちらの場合でも保険適用が可能であるとのこと。
新品でも保険適用可能であれば2台は新品に置き換えることを考えたのですが、今設置されているパワコンはすでに廃版となってしまっているので、新しいパワコンに置き換えた場合、サニックスアイが正常に機能するかどうかはわからないとの回答がサニックスからありました。
たまたま、今のパワコンと同じ型番のパワコンをGreenTが保有しているため、それを購入して置き換える場合、中古なので製品保証はありません。
新品だがサニックスアイが使えない、中古だが製品保証がない。このどちらが良いか買主にて判断していただくしかない、との結論に達しました。
製品保証がないため、予備のパワコンも1台か2台つけることを条件にすれば、中古パワコンへの置き換えで納得してもらえるのではないか、と思ったのですが、意外にも、「すでに1年もこの問題が長引いている状況で早く収拾させたいため中古での置き換えでよい」との回答を買主からいただくことができました。
そして、10月に保険会社から保険金を受け取りすべてクローズすることができました。
一連のトラブルにおいてかかった費用を以下にまとめます。
◆メーカー代理店
- パワコン故障原因調査費用(5台):124,300
- パワコン修理費用(2台):176,000
- オンサイト対応費(2台):11,000
◆GreenT
- パワコン異常有無調査費用(6台):66,000
- パワコン撤去費(2台):66,000
- パワコン輸送費(2台):11,000
- パワコン設置費(2台):66,000
合計 520,300
免責20万円なので実際の支払額は20万円のみ。
GreenTのパワコン撤去・輸送・設置費は、検査の結果故障が判明したパワコンを撤去し、メーカーへ輸送し原因特定。そして中古のパワコンを設置する費用です。中古パワコンそのものの価格はここに記載が無いですが、どうも撤去費・設置費にその価格が含まれているようで、あえて請求されませんでした。
また、最終的に異常となったパワコンの直接的な原因が落雷となったため、正常なパワコンに対する調査も含め、正常か異常かを調査する費用もすべて保険適用となりました。
今回、パワコン2台修理、2台は中古への交換となりました。原因はすべて落雷と結論付けられたので実質的な支払いは20万円で済みましたが、もしパワコンによって故障原因が違ったりするとかなり厄介なことになっていたでしょうから、その点は不幸中の幸いといったところです。
1年余りかかりましたがクローズできてよかったです。