mitakeつれづれなる抄

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水蒸気爆発はなかなか予兆が掴みにくい

2018年01月26日 | 気象・自然など
 1月23日の午前10時台、隣室の緊急警報受信兼防犯用のつけっ放しNHKラジオで、速報がありました。群馬県の草津白根山で噴火があった模様。まだはっきりと噴火とは言わず、噴火のようだという不確定な内容。
 白根山は活火山で、噴火したのだな、と思っていたら、歴史上噴火した記録が無い、ということで、あれれ?
 聞けば、噴火した山は、草津白根山のうちの本白根山なのだそうで、正直申しますと、白根山は、草津白根山を構成する峰の一つに過ぎないのだそうで、同様に草津白根山を構成する峰の一つが、本白根山。
国土地理院地形図より。


 白根山は活火山で有毒な酸性の鉱物が溶けた地下水が流れ出るので、下流に中和工場を造り、河川を中和させていることをどこかで覚えました。
 そのような白根山なので、白根山の方には火山として観測機器を多数設置し、火山警戒レベルの設定対象の山ではありましたが、本白根山の方は、完全にノーマーク。下殿草津町長さんの言葉を借りると、「0.2%も考えていなかった」。
 つまり本白根山は、火山としては完全にノーマークで、「噴火するかもしれない」という警戒意識が皆無であったということです。
 一部のマスコミでは、これを批判しており、白根山の観測体制があれば、本白根山の噴火兆候が掴めたのでは、という論調もありましたが、それは無理ってものです。

 1979年(昭和54年)10月28日の早朝、御嶽(御岳山)は、有史以来の噴火を始めました。これは私のみならず、誰もが驚きました。
 「有史以来噴火」ということで。しかしこの「有史以来」というものがクセモノで、人間の有史なんてたかだか1000年程度。
 地学の点では1000年程度はほんの一瞬です。
 この1979年当時、御嶽は「死火山」とされていました。
 しかしながら南東斜面の通称「地獄谷」と呼ばれる谷には噴気孔があり、多少はあるものの噴気を上げておりました。

 そうした中の1979年10月28日の早朝。四合目の旅館の当時の息子が言ったそうです。「山が煙を出しているよ」と。
 「そんなバカな」で、山の方を見るとたしかに噴煙らしき、しかし雲だろうと、事実暫くして雲に覆われてしまいましたが、これが有史以来の御嶽の噴火の瞬間だったわけです。
 その時は、旅館の人の話では、変な地震が数回続いた、というようなことを言っておりましたが、いかんせん当時の御嶽は、火山観測としては完全にノーマーク。先日の本白根山のような感じです。

 水蒸気爆発というものは、地球のマグマの熱が伝わり、地下水が熱せられて圧力が高まり、この圧力に岩石が耐えられなくなると、風船が破裂するが如くの爆発を起こします。
 これが水蒸気爆発で、地球規模ではなく、表面のごくわずかな変化。マグマ噴火と違いその前兆はなかなか現れにくいものです。
 ただ水蒸気爆発でも爆発(噴火)の直前には僅かに膨らむであろうと考えられますので、精密に測定していれば、水蒸気爆発も予兆は掴めますが、それはあくまで観測機器が設置されていれば、です。

 1月23日の本白根山の噴火は、自然の営みの過程の中での出来事。
 ただ、草津白根山全体としては活火山なので、それを忘れずにいたいものです。

 

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