mitakeつれづれなる抄

普段いろいろ見聞き感じ考え、そして出かけた先で気になることを書き綴ったブログです。

京都市街地にある夷川ダムと夷川発電所

2011年01月24日 | まち歩き

 川の水を堰き止めるダムとか水力発電所とかは通常は山の中にありますね。実は京都市の町の中にこのダムと水力発電所があったりします。その名も「夷川ダム」と「夷川発電所」。

 これ、明治の大プロジェクト琵琶湖疏水の一部で、琵琶湖から導いた水を、蹴上(けあげ)の落差を利用して発電させ、その先を鴨東運河(おうとううんが)として西へ流れて、鴨川の手前に船溜りを設け、ここに僅かな落差を利用して水力発電を行っています。

 琵琶湖疏水については、私が大変関心ある事柄でしてブログで書きたいと思っていましたが、いかんせんビッグプロジェクト、私の文章能力では追っつかない。でもパンドラの箱ではないですが重い私の腰を上げて少しずつ書いてみることとします。

 さてそんな余計な前置き(言い訳)はさておき、左京区聖護院に位置する夷川ダムと夷川発電所です。

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 琵琶湖疏水は今でこそ京都市の上水道源となっていますが、建設当時は水運も目的の一つでした。南禅寺船溜りからはこの鴨東運河を経てここ夷川ダムまで流れます。

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 上の画像は東大路通の一本西の通りに架かる橋の上から写したもので、その通り(名称不明)の橋の欄干には、下を流れる川の名は単に「疏水」。

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 この西は、船溜りの広い水面になります。

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 上の画像の左にダムがありに、中央奥に今では水道施設に繋がっています。ここがこんなに広いのは船溜りの施設、今でいう操車場の様なものです。

 この広い水面は、昔は格好の水泳場だったそうです。それを知ったのは昨年のABCラジオで。「桑原征平粋も甘いも」の中で、少年だった桑原さん、西院の自宅から兄と自転車でここのそばにある京都踏水会までやってきて、この広い水面で泳いだというお話を何回かなされ、そこで改めて訪れてみたという次第です。

 今は泳ぐ人はいないどころか周囲は柵で囲まれ、泳いでいるのはカモだけ鴨。

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 画像傾いていてすいません。桜の枝を写したもので。赤レンガの建物が発電所施設。建物は古いですが、中の機器は平成に入って一度更新されています。

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 発電所の水利権票。現在は関西電力の発電施設です。

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 夷川発電所の案内板。

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 ダムの下流、放水側。左の赤い建物が発電所。

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 夷川発電所は1890年(明治23年)の竣工当時は存在せず、1912年の第二疏水竣工で流量が増えたことを受けて、ダムと発電設備が設けられたもので、1914年(大正3年)に発電開始しております。

 このダムの落差は僅か4m弱だそうで、今は冬で渇水期、さらに高低差が縮まっています。ちなみに画像白くチラチラしているのは雪。降ってきて暫く収まるのを待ったのですが。

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 そして流れる先は鴨川、ではなく、鴨川の東に並行して掘られた鴨川運河に繋がります。

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 少し戻って、ダムの脇、冷泉通(れいぜいどおり)沿いには、このダムの見学用なのか小公園になって、既に使われなくなった設備の一部を展示したりしています。

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 おそらく、建設当時はなにかの場所だったのでしょうね。レンガ敷が豪華です。

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 ガス灯に似せた照明。これ多分電球かな。後方の山で植林が無い部分は、五山送り火の「大文字」です。

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 水路のお向かい、疏水事務所前に建つ、北垣國道(きたがき くにみち・1836年9月17日(天保7年8月7日) ~ 1916年(T5)1月16日)元京都府知事像。維新後の京都の勧業策として琵琶湖疏水を実行に移した人物です。

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 ダムの脇の解説板。

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 上の解説、一見平面に書かれているようですけど、実は波型になっています。なんでそんなかたちに加工したのだろうか。

 というわけで、夷川ダムと夷川発電所の初見学でした。蹴上のインクラインや南禅寺の疏水閣などは過去に行きましたけど、ここはなぜか今まで訪れたことはありませんでした。今度は桜咲く頃に訪れたいです。鴨東運河から続く水路沿いは、桜の名所でもありますからね。

 場所はこちら。京都市街地の中です。


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2011年1月10日撮影


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2 コメント

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こんばんは。 (パレット・ブルー)
2011-01-28 18:31:40
こんばんは。
「京都ネタ」と言うことで、お約束どおり釣られてみました。(無期限で、釣られますね。 笑 )

ダムが、町の中にあり、ダムと言うイメージが、変わってしまいそうです。
また、レンガがおしゃれっぽく印象を際立たせていますね。
流石、京都のダム・・・。
見た感じだけで、語ってしまいました。
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コメント、有難う御座います。 (kisomitake)
2011-01-28 23:22:52
コメント、有難う御座います。
無期限で釣ります。

町中を流れる河川で堰があるのは京都だけではありませんが、この夷川発電所は、その造形美に明治から大正期の時代性が感じられます。
機能だけではない、なにかしらの美があるのですよね。

この琵琶湖疏水による発電所は、ここから少し東の蹴上(けあげ)に規模の大きなものがあります。
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