負けてらんにぇ ! みんなでなんとかすっぺ !!

南相馬市から新潟県三条市へ集団避難→同市内の雇用促進宅に→2015.2~同市内の戸建に転居 妻と二人暮らし。

致命傷 ・・・ 何でも知ってるバカ

2013-10-06 20:30:15 | 原発震災避難者


散歩



月光の深雪(みゆき)の創(きず)のかくれなし

                         川端 茅舎



下が溝 ( みぞ ) にあたるところと思われる。

深々とつもった雪に 一すじくぼんだところがあって

それが寒月にてらされると黒く際 ( きわ ) だって

・・・ 真っ白な雪の肌に切りつけられた創のようにみえる。


ちょっと不気味な光景です。

かくそうにもかくしきれず 月光にありありと露出している創。

何とも 象徴的な感じさえするではありませんか。



娑婆 ( しゃば ) とか 穢土 ( えど ) とかいわれるのは

人間のもっている自我 エゴイズム ・・・

それが個人のであれ 集団のであれ

・・・ 互いに衝突し しのぎをけずる場所のことでしょう。


現代はことに国内にも国外にも その激突が展開され

・・・ はてしもなく くり返されています。

・・・ しかも もっともらしい理論で化粧して。


理論で事態は救われません。

・・・ 理論もまた 人間の知恵だから。

・・・ 人間の知恵は結局 穢土の塗りかえにすぎないから。



人間自身の 私たちすべての愚かさを

ひとりひとりが気づく以外に ・・・ 救いはありません。


エリートだの 知識人だのといっても ・・・ うのぼれではないか。

そこにもう 愚かさが暴露されているのではないか。

愚かさこそ ・・・ 人間の深い創であって

むしろ それをカムフラージュしようとしての学歴や勲章ではないか。


学識経験を軽侮するのではありません。

人間の愚かさを知りぬくほかには

・・・ この世に救いがないことを言いたいのです。



学識経験をどんなに積んでも

人間は のがれがたい愚かさを 本来もっているらしい。

すなおに愚かさを承認するところに

・・・ むしろ 平和はひらけてくるようです。



藤村いろは歌留多に

「 何も知らないバカ、何でも知っているバカ 」

・・・ というのがありました。


何でも知ってるバカが ・・・ 世界に充満したようです。







ストリップ

2013-10-06 18:31:44 | 原発震災避難者


散歩



樹木

               高見 順

枯れて

生きる

生きて

枯れる

立派に枯れる為に

壮 ( さか ) んに生きる



葉がすっかり落ちつくしたからといって あの樹は枯れたんじゃない。

冬が過ぎて水が温 ( ぬる ) む頃になってみたまえ。

枯れたような枝から みずみずしい新芽が吹き出してくるから。


芽出しの時はいいものだ。 ちょうど赤ん坊が生まれたときみたいで。



葉の落ちつくした姿はさびしい。 人間の晩年に似て。


しかし あの枯れ木は 一面からいえば

夾雑物を全部落としてしまって

樹の骨格というか ギリギリの場所へ帰ったんじゃないか。


私たちもあの樹に倣 ( なら ) って

娑婆で拾い集めたすべてのものを

一度 さっぱりおとしてみる必要があるんじゃないか。



はたして ・・・ 後に何が残るか。

その時残るものこそ ・・・ 本当の私なんだろう。