時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

自民党、懲りずに消費税増税を主張

2016-06-04 00:16:28 | アベノミクス批判
3日、自民党は参議院選挙の公約を明らかにした。
それによれば「2019年10月に消費税率を10パーセントに引き上げ
その間、赤字国債に頼ることなく安定財源を確保して可能な限り社会保障の充実を行う」としている。

赤字国債に頼らず、どのように社会保障政策の財源を捻出するかについては、明記されていない。

http://jp.sputniknews.com/opinion/20160603/2246059.htmlより)





こんな公約掲げられても自民党に票を入れる奴らって一体・・・


舛添知事にせよ猪瀬元知事にせよ
「野党は信用できない(キリッ)」「他に選ぶべき人間がいない(キラッ)」とかっこつけておいて
ことごとく、権力と癒着している連中ばっかり選ぶというのは、ある意味才能だと思えてならない。


先の衆院選の折も、消費税増税により経済状況が思いっきり悪化した時だったのだが、
それにも関わらず、結果を見れば、与党の圧勝だった。


もちろん、死票が多すぎて得票率自体は低いのに議席を奪取できてしまうという点もあるが、
明らかに自らの首を絞めてくる輩に喜んで票を入れる連中がそれなりにいるのも事実である。


それはさておき、今回の増税見送りはアベノミクスの成功の可否と関連付けて語られている。

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「新しい判断」で失笑の安倍首相が「アベノミクスのエンジンふかす」と…
実態は“空ぶかし”で排ガスまき散らすアベノミクス


よくもまあこれだけウソばかり並べ立てることができるものだ。
昨日、安倍首相が消費増税を2019年10月まで2年半先送りにすることを正式に発表した会見のことだ。


これまで一貫して「増税延期はない」と強調してきたが、
参院選を見込み、消費税率引き上げ先送りを打ち出す必要に迫られていた安倍首相は、
G7を利用するかたちで“世界経済はリーマンショック級の危機”なる珍説を世界に披露。


これが海外で失笑を買うと、
今度は「私がリーマンショック前の状況に似ているとの認識を示したとの報道があるが、
まったくの誤りである」と、誰にでもわかる大ウソをつきはじめた。


そして、昨日の会見では「私たちが現在直面しているリスクは
リーマンショックのような金融不安とはまったく異なります」としながらも、
「しかしリスクには備えなければならない」と言って消費増税の先送りの理由としたのだ。


いや、どんなときだってリスクの可能性はある。

そういう言い訳が通用するなら、増税は未来永劫行うべきではないはずだが、
増税の必要性を訴えてきたのは当の安倍首相であり、
“アベノミクスで消費税を引き上げる環境が整っていく”と述べては
「増税先送りはない」と断言した先の総選挙の明確な公約違反だ。

しかも、言うに事を欠いて、安倍首相ははっきりこう述べた。

「今回、再延期するという私の判断は、これまでのお約束とは異なる、新しい判断であります」

俺の決断は約束とは違っても“新しい判断”だから公約違反じゃない! 
……って、そんなバカな話があるだろうか。


そんなことを言い出したら、“俺が決めた新しい判断だから”と言えば、
どんな選挙公約も覆せるではないか。有権者を愚弄するのも甚だしい。

~中略~


繰り返し指摘されつづけているように、アベノミクスがすでに破綻しているのは明白な事実だ。

アベノミクスにとって最大のキモは、まず富裕層を優遇して儲けさせ、
その富の一部がやがて低所得者層にまで“したたり落ちてくる”トリクルダウン理論にあった。

だが、これはトマ・ピケティ氏が
「過去を見回してもそうならなかったし、未来でもうまくいく保証はない」(東大講義講義)
と一蹴したように、アベノミクスによって格差が広がっているのが現状だ。


また、安倍首相は昨日の会見で、
アベノミクスの成果だとして、賃金と有効求人倍率の高水準化を挙げ、
「(増税のタイミングを誤れば)また20年間続いたデフレに戻る。
『どんなに頑張ったって仕事がない』という状況に戻ってしまう。
『どんなに頑張ったって給料があがらない』という状況に戻ってしまう」と、
国民の不安を煽ったが、これはとんだペテンでしかない。


求人倍率は求職者数が減っているため倍率が上がるのは当然で、問題は非正規雇用が増えたこと。
いまは労働者派遣法改正によって、非正規雇用をさらに増やしかねない状態だ。

さらに、正規雇用と非正規雇用の賃金格差は広がるばかりで、現に実質賃金はずっと下落している。
これでは消費が伸びないのは当たり前だ。

http://lite-ra.com/2016/06/post-2299_3.html
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上のリテラ編集部の記事で述べているように、雇用が伸びたというのはペテンでしかない。

実質賃金は向上の余地がなく、各企業が人件費を削減したがるため、
一つの企業をフルタイムで働くのではなく、パートタイムを掛け持ちする人間も増えているぐらいだ。
(主にシングル・マザーが多い。女性の雇用は未だ改善されているとは呼べないだろう)

こういう働き方を知ってか知らずかアベノミクスを礼賛し続けている(あるいは過去に支持した)
経済学者は今すぐ辞表を出して、原発労働者として再スタートを切ったほうが良いと本気で思う。


(結局、支持するような学者はそれなりに良い待遇を得て生活に困っていないから言えるのである)



筑摩選書 これからのマルクス経済学入門

搾取と貧困が深刻化する今、「階級」「疎外」「労働価値説」「唯物史観」といった、
マルクス経済学の基礎概念を再検討し、現代的な意義を明らかにする、画期的な書!





・・・らしい(笑)


何度か指摘しているが、著者の松尾匡氏はアベノミクスの熱心な信者であり、
少なくとも2015年夏まではアベノミクスによって経済が良くなるのだとほざいていた男である。


そういう人間が入門書を書くというのは、まさに池上彰的だと思わざるを得ない。
つまり、学者向けの専門書を書く実力がないので素人相手に金を巻き上げようとしている。
(まぁ、池上と違って一応、最近の阻害論の動向を整理しているだけマシかもしれないが)


松尾氏をはじめとした専門家が「雇用が増えたんだぞ!」「失業よりはましだろ!」
と安倍晋三のセリフを丸パクリしながら(それでもプロか)政府を擁護している一方で、
中国メディアの人民網は逆にアベノミクスについてかなり詳しく、その実態について論じている。


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日本政府がよりどころとする「アベノミクス」が登場してから3年以上が経ったが、
徐々に効果が薄れているだけでなく、企業界から上がる不評の声はますます大きくなり、
世論の肯定感は低下こそすれ上昇することはない。

復興の不振ぶりをみても、たびたび先送りされるインフレ目標の達成時期をみても、
政策上の矛盾に満ちたアベノミクスが日本経済の「病状」に対してほとんど治療効果をもたないだけでなく、
効果が予想と大きく隔たっていることがありありとうかがえる。新華社が伝えた。



▽矛盾1:企業の分化とアンバランスが加速

アベノミクスの核心の1つは、金融緩和政策によって円高を引き起こし、
ひいては輸出を促進し株式市場を振興させ、最終的には企業業績を改善し、
経済全体を引き上げて成長させるという目的を達成することにある。


だが現実はそうはいかず、
こうした考え方は理想に過ぎ、幻想だとさえ言える。


年初以来の円高の加速、東京証券取引所の暴落といった「思いがけない出来事」の衝撃は言うまでもない。
2012年から15年の期間でみたとしても、アベノミクスの恩恵は日本の多くの企業には行き渡っておらず、
かえって中小企業に大きな苦しみを与えている

円安や株価上昇で大きな恩恵を受けた大手輸出企業に比べ、
日本経済の根幹を支える中小企業は円安により輸入する原材料コストが高騰し、苦しみにあえいでいる。

日本の帝国データバンクがまとめたデータによれば、
昨年12月末現在、卸売産業の原材料コストが前年同期比52.9%増加し、
衣類・繊維製造業のコストはさらに増加して同71.4%の増加となった。

このような非常に苦しい経営環境の中にあって、
中小企業の倒産件数が産業全体に占める割合が上昇を続けている。
15年は全倒産件数8517件のうち、円安による倒産が352件に上り、2年続けて増加したという。


16年3月に日本の企業界がアベノミクスに与えた評価は、ギリギリ合格の60.3点で、前年同期より3.9点低かった。


▽矛盾2:企業の投資の伸びに力無し

アベノミクスでは、金融緩和政策を通じて企業の利益を増加させ、
企業の投資拡大を喚起し、ひいては経済の好循環を実現するという構想を描く。


だが構想は現実によって「砂上の楼閣」に過ぎないことが証明された。


13年にアベノミクスが登場すると、日本銀行(中央銀行)は市場から
驚きの声をもって迎えられた金融政策とマネタリーベース拡大措置を次々に打ち出した。
これを土台として、今年はマイナス金利政策をうち出し、預金金利をマイナス0.1%に引き下げた。

こうした措置を打ち出した主な狙いは、企業向けに良好な金融政策環境を創出し、
貸出の規模を拡大し、生産設備や向上などの固定資産への投資を増やし、
企業の経営範囲を一層拡大し、より多くの利益を達成することにあった。


だが実際には、15年第4四半期(10-12月)に日本の大手企業の投資は限りなくゼロ成長に近づいた。
それだけでなく、同期の大企業の短期貸出は同2.5%減少し、長期貸出はわずか同3.6%増加にとどまった。
これと対照的に、同期の大手企業の手元にある現金は同3.7%増加し、有価証券も同4%増加した。


次のようなデータもある。
10年前に比べ、15年度(15年4月~16年3月)に日本の大手企業の手元の現金は
前年度比32.4%増加したが、固定資産投資額は同16.3%増加で、
アベノミクス実施前の12年度に比べて4.3%の増加にとどまった。

これはつまり、日本の大手企業の利益はアベノミクスという護送船団に守られて増加したが、
企業は現金を使いたがらず、投資にうかつに手を出さなくなった、ということを意味する




▽矛盾3:経済復興の実感が低下

日本の街頭で取材したところ、中産階級の女性が日本経済に対する悲観的な見方を語ってくれた。
その女性によると、日本社会は少子高齢化がますます深刻になり、年金を納める人が減り、
将来、年金がもらえるかどうかわからなくなっている。
退職後の老後の暮らしが心配で、できるだけ貯金してお金を使わないようにしているという。


ニッセイ基礎研究所社会研究部の土堤内昭雄主任研究員は、
「現在の日本社会の構造をみると、アベノミクスは中産階級にとって脅威になる。
こうした状態を炭坑地域にたとえてみると、前方には常にリスクが横たわり、
思いがけない出来事が発生すれば、あっという間に無一物になるような状態だといえる」と話す。

日本社会の構造的な問題だけではない。アベノミクスの企業業績の向上をよりどころとして、
賃金を増やし、国内消費を拡大させるという夢は徐々に泡と消えようとしている。

今年の春季労使交渉(春闘)で、日本企業はさかんに賃金上昇を口にする日本政府に一撃を食らわせた。

自動車メーカーのトヨタは基本給を月額1500円(約90元)引き上げることに同意しただけだった。
自動車産業だけでなく、電子メーカーも誠意ある回答を行わず、
パナソニックも基本給の1500円引き上げに同意するにとどまった。

業績不振のシャープなどは定期的な賃金引き上げを行うと決定しただけだった。

共同通信社が3月に行った調査では、
回答者の81.4%が「アベノミクスが経済復興を促進しているという実感がない」と答え、
64.6%が「日本政府が17年4月に消費税率を再び10%に引き上げるのに明確に反対する」とした。


それだけではない。日本国民は
さきにヤフージャパンのニュースサイトが行った世論調査で、
「アベノミクスは有名無実」との評価を下している。

中小企業と中産階級の犠牲を代償として支払うアベノミクスには数々の破綻がある。
重要なエンジンは期待したような効果を上げず、マイナス影響ばかりが次々現れる。



今年の金融環境と外部環境の不振の中、日本の大手企業は業績予想を次々に引き下げ、
日本経済の前途をさらに暗澹とさせている。(編集KS)

「人民網日本語版」2016年5月31日
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上の記事は2015年度のみの分析を行ったが、
実のところ、2013年度からアベノミクスの批判者はそれほど金融緩和の効果がないこと、
加えて実質賃金の下降と非正規社員の拡大があったことを当時から非難し続けていた。


彼らの言葉を鼻で笑っていた連中は今どうしているのだろうか?

アメリカの言語学者にして社会活動家、ノーム・チョムスキー氏の主張、
教養のある人間が政府の言い分を支持した時、民衆がそれを否定するのは非常に困難である
を強く思い出してしまう。


まぁ浜田宏氏や高橋洋一氏のような完全な御用学者がアベノミクスを支持するのは
ある意味、自然で必然的な行為ではあるが、今頃になってしれっとした顔で
アベノミクスを批判し始めたアホもそれなりにいるわけで、私としては彼らのほうが悪質だと思う。


そういう奴らは大抵、
「アベノミクスは正しかったが増税のせいでダメになった」か
「アベノミクスは正しかったが中国経済の悪化のせいでダメになったか」のどちらかを語る。

要するに自分の判断はその時点で間違っていなかったと言いたいわけである。

こういう奴らに学者やエコノミストの名を語らせてはいけないと真剣に感じる次第だが、
思えば中国経済崩壊論を名乗る輩が跋扈している今日この頃、これもまた自然な現象なのかもしれない。