時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

ねこねこブログと小池ゆり子、そして知事選

2016-07-30 23:53:32 | 反共左翼
24時間後の今頃にはもう都知事が決まっているのだろうが、
下馬評では小池ゆり子に決まりそうだとか・・・石原に猪瀬に舛添、そして小池。

結局、都民はこの17年間、常に極右政治家を支持してきたし、今後もそうするということなのだろう。

もちろん、先の参院選で東京から共産党党員が小選挙区で勝利していることも踏まえれば、
何も都民全員が自民党の支持者というわけではないのだが、都民の総意としては、そういうことになる。


というよりも、今回の都知事選で目につくのは自民党に対して反感を抱いている人間が
よりによって自民党よりも右向きの人間に票を入れてしまうという現象である。


今の自民党に不満を抱いている人間が
対抗軸としてもっとおかしな人間を選んでしまう。



これについてリテラが興味深い記事を書いていた。

--------------------------------------------------------------------
政治家である以上、権力の中枢を目指すのはある意味当然であろうし、
時どきの情勢によって誰とでも手を組み、「政界渡り鳥」と揶揄される振る舞いも、
それだけでただちに非難されるべきことではないのかもしれない。

ただ、これほど権力志向が強く、マッチョな思想の持ち主が、
今回はなぜ、「女性だから」「自民党と戦っているから」という理由だけで、
「リベラルでソフトな改革派」のイメージを獲得できるのか。
その点は少し考えた方がよさそうだ。



昨年末までの8年間、大阪を席巻した「橋下現象」を観察してきた私としては、
両者に共通する構図があるような気がする。


守旧派のドンが支配する議会。それと結託して既得権益を固守する役所、さらには労働組合。
そういうズブズブのドロドロが固着した既存の体制をぶっ壊し、一掃してほしい。

大阪の場合なら「役人天国」と呼ばれた公務員の腐敗を懲らしめてほしい、
東京なら前任の猪瀬氏や舛添氏のような、いわゆる「政治とカネ」問題を二度と許すまい。


橋下徹氏も、小池氏も、そういう不正への怒りと改革志向に押し上げられた。


政策の中身よりも政治家としての資質。
過去の言動や実際の思想よりも、旧体制に立ち向かう姿勢や語り口。


彼らが歯切れよく訴える「カイカク」の中身がなんであれ、
その響きはとりあえず、マスメディアや無党派層にウケがいい。

偽装であったとしても、そのポジションを首尾よく獲得し、イメージをうまく作ったほうが勝つのだ。

橋下氏は政治家になる以前のタレント時代に
テレビでは何を語るかよりも、どう語るかだ」と持論を述べ、
大阪府知事時代には「府民は視聴者だと考えていた。だから府民にどう映るかだけを重視した」と語った。

大阪市長になり、都構想の効果額が議論されていた時には「数字は見せ方次第だ」と職員にハッパをかけ、
中身が市民に理解されていないと指摘を受けると、「車を買う時に設計図まで見る人がいますか?」と開き直った。



政策の中身など誰も見ない、それよりイメージが大事なのだ
ということを繰り返し述べてきたわけだ。
で、それは結果的に「ほぼ正しかった」ことを、
8年間を通じて高止まりし続けた支持率と選挙の強さによって証明してみせた。


「ほぼ」と言ったのは、大一番の都構想住民投票では敗れたからだ。
だが、あの結果とて、都構想の瑕疵や危うさが理解されたからだと断言することはできない。

都構想反対派が掲げた「大阪市なくしたらアカン」「We Say No!」などのキャッチフレーズが、
賛成派の「CHANGE OSAKA!」「二重行政の解消」にかろうじて勝った、
つまり、橋下氏がたった一度だけ「イメージの闘い」に敗れた結果ではなかったかと私は見ている。

http://lite-ra.com/2016/07/post-2458_2.html
http://lite-ra.com/2016/07/post-2458_3.html
--------------------------------------------------------------------

テレビでは何を語るかよりも、どう語るかだ
政策の中身など誰も見ない、それよりイメージが大事なのだ


昭和を代表する政治学者である丸山眞男は「実感信仰の問題」を挙げていた。

それは日本語が感覚的なニュアンスを表現する言葉が豊富である一方で、
論理的な普遍概念をあらわす表現がきわめて乏しいこと、
感情や立ち居振る舞いを微細に表現する伝統があること、日本のリアリズム文学が
勧善懲悪のアンチテーゼとしてしか機能せず合理精神や科学的思考を持たなかったこと、
まぁ、要するに日本人には理屈よりも情念に動かされる傾向があることを指摘したわけである。


「なんとなく」や「イメージ」や「語り口」に簡単に流される一方で、
このような知識や論理でなくイメージで生まれた信仰は容易には崩せない。


きっかけさえあれば簡単に立場を翻すが、なければ理屈にあわなくても固執し続ける。
こういうことを戦前と戦後の日本の思想状況の有り様に照らし合わせながら丸山は危惧したが、
半世紀を経ても全く状況は変わらないばかりか、以前よりも感情中心の政治へとなりつつあるように思える。


今回の都知事選に対しても「反自民だから」「政治と金がないから」「女性だから」という
非常に安直な理由で小池氏を支持する「リベラル」がそれなりにいる。


--------------------------------------------------------------
都知事選の期日前投票で小池ゆりこさんに一票を投じてきました。
今回の都知事選で当選の可能性があるのは、鳥越俊太郎氏、小池ゆりこ氏、増田寛也氏の三人で、
岩手県知事時代に岩手の財政を極度に悪化(公共事業推進で岩手県の借入金残高が二倍になった)
させた増田さんは論外として、鳥越さんと小池さんのどちらに票を投ずるか迷っていたんですが…。


昨日テレビで放映された、鳥越俊太郎さんが小池ゆりこさんに対して、
「病み上がり」という言葉を使ったことで「差別だ!」として責め立てている映像が酷すぎた…。

もう絶対に何があろうと鳥越俊太郎だけはありえないと思いました。
昨日のアレ見て、表現規制問題に関わったり関心がある人々、筒井康隆さんの「断筆宣言」で
筒井さん側に立った人々、そういった人々の大半は「鳥越俊太郎だけは絶対ありえない!!」
と強烈に感じたと思いますよ。私もその一人です。

~中略~

今日の朝の番組で都知事候補三人に政策を聞いていて、
「若者と高齢者、どちらに重点的に政策を行いますか」って質問に、
鳥越さんと増田さんがグダグダっとぼやかしていたのに比べ、小池さんだけがはっきりと
「高齢者を蔑ろにする訳ではないが、若者が伸びてゆける環境でこそ、
 東京全体が元気になっていく、若者を重点的に支援したい」ってはっきり言っていて、
好感が持てたというのもありますね。

http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1906978.html
--------------------------------------------------------------

冷静に考えてみれば、たとえ口下手でも正しい意見を持つ人間はいるのだが、
まさに「言葉狩りをした」とか「質問にハキハキ答えた」という
テレビの前のパフォーマンスだけを根拠に誰に投票するのかが決定されている。


沈黙が銀になり、雄弁が金になってしまっている。


実のところ、上のサイト(ねこねこブログ)の人物は以前、こういう文章を書いていたのである。

初音ミク達ボーカロイドが好きです。
新自由主義に反対です。日本共産党を支持しています。全部真剣です。



「全部真剣です」と書いてから10年もしないうちに鞍替えするこの心変わりの速さ驚愕である。
 この人物、生活保護を受けており、その都度、Amazonギフト券を読者に催促していたのであるが、
 それはともかくとして生活保護者の立場から論じた彼の日本社会論はそれなりに説得力があった。


そんな彼が、小泉政権下で新自由主義の旗手として邁進していた小池氏に簡単に投票してしまう。
ちなみに彼女は超タカ派。改憲派であり在特会やネオナチとも関わりがある典型的な差別主義者だ。


そんな彼女を自称反新自由主義者で共産党支持者の人間が簡単に票を投じてしまう。
これは一体、なんなのだろうか・・・あまりにもシュールで笑えないコメディである。


まぁ、Sealdsの「戦争はんたーい」運動があれだけ持ち上げられたことを思えば、
右翼も左翼ももはや理屈ではなくイメージで戦っているのかもしれない。

「なんとなく」既存の権力と戦っていそうな人物をフィーリングで選ぶ。
 これが大半の人間の民主主義なのかもしれない。


最近、河出書房から出版された奥田愛基氏のプロマイド写真が表紙になった
ものすごく気持ちの悪いゴミなんかはその辺をよく表現していると思う。
(そういう意味ではあの本は芸術品か・・・)



-------------------------------------------------------------
都知事選挙に小池さんが自民党を割って自民党と対決する
ドン・キホーテとして出てきたのは、良いことと感じましたね。

女性が政治や仕事で活躍することを一番嫌っているのは、
男性優位な戦前の守旧的社会を目指している今の与党なわけで、
東京都知事が女性になったらそれは痛快だなと思いましたね。

http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1906323.html
-------------------------------------------------------------

私は以前、ヒラリー・クリントンについて
「女性」という自分が持つ属性を最大限に利用して悪意を隠す狡猾な老婆と評したような気がするが、
まさに小池は日本版ヒラリーと言える人物だ。


騙されるな! 小池百合子は“女性の敵”だ!
待機児童を狭い部屋に詰め込み、女性だけに育児押しつけ、性差別丸出しの少子化論も…
(http://lite-ra.com/2016/07/post-2436.html)

小池百合子の選挙狙い「コミケを応援します」にオタクは騙されるな!
マンガやアニメの規制を主張した過去が
(http://lite-ra.com/2016/07/post-2443.html)

そういう意味では、まだ増田や鳥越のほうがまだマシだと思えるのだが、
ねこねこブログ管理人氏は、小池を女性の味方、言葉狩りの被害者であるかのように認識している。


もはや事実と判断が逆転しており、事実をもとに判断を下すのではなく、
判断を下すために事実を歪めているような、ネトウヨと大差ないレベルに陥っている。

どうしてこうなったのかと考えてみたところ、思い当たる節があった。


-----------------------------------------------------------
日本経済新聞「トランプ氏 在日米軍撤退も」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS04H1C_U6A500C1PE8000/


共和党のドナルド・トランプ氏は4月、外交政策に関して演説し「米国第一」の原則を掲げた。
米国の利益にならない海外の米軍を縮小。
中国、ロシアとの関係改善を唱え、米外交を大胆に転換しようとしている。

対日政策は強硬だ。日米安保条約は「不公平だ」として、
在日米軍の駐留経費で日本の負担を大幅に増やさなければ撤収すると表明した。


日米安保なくなるかもしれませんね…。
いまだに、「アメリカが日本を守ってくれる」などと考えるのは
ミュンヘン会談において「英仏がチェコを守ってくれる」という考えなみにありえないかと…。



まさに、
「すべては終わった。見捨てられ打ちのめされた日本は
 沈黙と悲しみと包まれて闇の中に退場する」という感じですね…。

結局のところ、アメリカの石油確保戦略として、中東・日本を繋ぐシーレーンが必要だっただけで、
シェールオイルで全部まかなう戦略においては、アメリカ単独にとってみれば
このラインはいらなくなる、ゆえにモンロー主義的に振舞うなら、
日本を捨てて東アジアを中国に任せても問題ないという判断なのかなと思いますね…。

小松左京の「アメリカの壁」ですね…。


日米安保がなくなった場合、中国がダイレクトに日本の本州に攻めてくる可能性は低いと思いますが
(中国が日本を武力制圧しようとする場合、先に韓国を制圧しないと日本を武力制圧するのは難しい)、
尖閣諸島のような島嶼部は武力によって占領されるかも知れませんね…。

あと、日本はシーレーンを中国に封じ込められたら戦わずして終わりなので
(憲法九条の縛りで日本から打って出ることはできないため、海洋封じ込めされた場合、何も行動できない)、
日本政府は米軍撤退後は中国に完全に服従するという選択をとる可能性が高いと思います…。


かんべむさしのSF「サイコロ特攻隊」は日本が海洋封鎖されただけで壊滅する話ですが、
実際にそうなると思いますね…。

~中略~

日本が中国の支配下に入った場合、日本の一般的な生活水準が大幅に低下する上に、
様々な自由(民主主義的な権利)が束縛されることは間違いなく、
日本に生きる全ての人々の未来がなくな
るわけで、
しかし日本の国内政治的・国際地政学的現状においてどうしようもなく(手のうちようがない)、
本当に悲しむべき残念なことです…。

http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1900596.html
-----------------------------------------------------------

典型的な中国脅威論。


私は思想の基軸が「反共」であるために簡単に右翼と手を組む左翼を反共左翼と呼んでいる。


彼ら反共左翼の何がすごいかというと
中国や北朝鮮をヘイトするあまり、右翼と大差ないレベルの主張を取っていることだ。


例えば軍事問題一つを考えてみても、そこには「日本」の防衛が念頭にあり、
米軍に脅かされている現地の女性のことなどは全く眼中にない


そのくせ都合の良い時にはいかにも女性の地位向上を願っているかのように演じて見せる。
そういう薄っぺらいフェミニズムは、反フェミニズムに対する何より心強い応援である。


普段は「戦争はんたーい」と言っておきながら、
いざ現実的な中国との外交に関すると途端にタカ派と大差ない意見を取ってしまう。

そのため、きっかけさえあれば簡単に右翼を支持する。

ちなみに軍事に対する小池の姿勢は以下の通り。

酷すぎる安倍政権の沖縄いじめ…
米軍属事件対策の防衛省パトロール隊が基地反対派を監視! 小池百合子も沖縄ヘイト



まさに「中国が攻めてくるから米軍は残るべきだ!」という意見は安倍政権と全く同じものである。
こういう思想的な脆さを抱えながら反グローバル(笑)を掲げていれば、まぁ結果は推して知るべしだ。


今回の都知事選、小池に票を入れるのは右翼だけではない。
場合によっては、去年の夏に「戦争はんたーい」と叫んでいた人間もまた
フィーリングでなんとなく抱いた「女性の味方」というイメージに則って投票するかもしれない。


そういう輩は私たちの予想以上に多い気がする。


最新の画像もっと見る