時事解説「ディストピア」

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北朝鮮における牧畜業

2016-07-28 00:20:19 | 北朝鮮
朝鮮新報からの記事。

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朝鮮では近年、江原道の洗浦郡、平康郡、利川郡にまたがる広大な土地を開墾し、
大規模な畜産拠点(洗浦地区畜産基地)を建設する事業が国家的に推し進められてきた。


域内には「愛国牛牧場」という名の生産拠点もあり、牧畜がすでに行われている。


江原道・元山市中心部から車で約2時間、
洗浦地区畜産基地の中の洗浦郡部分に位置する場所に、「愛国牛牧場」がある。
牧草地面積は800ヘクタール、そのうち人口草地が約520ヘクタールで自然草地が約280ヘクタールだ。


「愛国牛」(애국소、朝鮮語でエーグッソ)とは、
かつて在日同胞が祖国を支援する目的で日本から贈った牛で、品種は日本の東北北部原産の日本短角種にあたる。

商工人たちを中心とした総聯岩手県本部傘下の同胞たちはこれまで、
金日成主席生誕70周年(1982年)と80周年(1992年)の2度にわたって、合計182頭の牛を祖国に贈った。
金日成主席はこれを、在日同胞の真心こもった牛ということで、「愛国牛」と名づけたという。

岩手の同胞たちは当時、トラクターなどの農業機械をはじめ、さまざまな支援物資も一緒に贈った。


~中略~

農業と同じく、畜産においても優れた品種を確保することはとても重要な問題だ。


畜産業の発展に関心を払う金正恩委員長が2015年1月に発表した労作
「洗浦地区畜産基地の建設を推進し、畜産業の発展に新たな転換をもたらそう」でも、
「品種問題を解決することは畜産業発展の前提条件」であるとの指摘があり、
飼料消費量が少なく短期間で育成できる品種を確保することが強調されている。

愛国牛はこれまで交雑を行わず、ずっと純粋種として飼育されてきた。


洗浦地区畜産基地の建設事業は金正恩委員長の発起によって2012年12月に始まった。

これまでの約3年間、江原道の3つの郡にまたがる土地に広大な牧草地をつくり、
牛、羊、ヤギ、豚、ウサギ、アヒルなどを育てて食肉を生産する畜産拠点が建設されてきた。


朝鮮でこのように数万ヘクタールにも及ぶ牧草地を造成して
大規模な畜産拠点を建設するのは今回が初めて。

そのため、当初は想定できなかったさまざまな問題に直面することも多かったが、
現在は完工に向けて順調に作業が進んでいるという。


「3年前までこの一帯は、ごつごつした岩がむき出しになった荒れ地だった。
 今こうして草原が広がっている光景は、当時は考えられなかった」。

洗浦郡出身のパク支配人は、自分が生まれ育った地が
短期間で見違えるように変わったことが本当に感慨深いと話していた。

「洗浦郡一帯は自然条件が厳しく、来たことのある人間なら誰しもが『人の住める場所ではない』と言う。
 解放後、この地帯に対する開発は何度か行われてきたが、
 今回のように大規模に国家的な投資が行われ、かつての姿が見受けられないほど変わったことはなかった。
 金正恩委員長の構想通り、立派な畜産拠点が必ず完成されるという確信を持っている」(パク支配人)

新しく造成された牧草地で、愛国牛が群れをなして歩く姿を見ながらパク支配人は、
「あのとき牛を寄贈してくれた同胞に、今こうして元気に育つ牛をぜひ見にきてもらいたい。
 これからもわれわれは牛を一生懸命育てて生産を拡大し、同胞たちの気持ちに応えていきたい」
と話した。

(金里映)

http://chosonsinbo.com/jp/2016/07/26riyo-jjj01/
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北朝鮮の食糧事情において最も欠けているのが上のように、
北朝鮮政府が金正恩政権に代わって以降、農業の発展に力を入れるようになったことだろう。


当たり前の話だが、北朝鮮だって優秀な人材を育てるために誰もが最低限の生活を送れるように努力している。
それが成功しているのか失敗しているのかというと、今のところ「まずまず」といった調子だが、
だからこそ、今後も継続して食糧自給率を完璧にするために、この分野に投資し続けている。


この点を無視して実際は通常兵器より比較的安価で開発できる核開発への移行に対して
「核を開発するには~円の費用がかかる。
 これだけの資金があれば北朝鮮の民に十分な食料が配れるのに云々」
といった無知にあふれた発言がよくされているような気がする。気のせいだろうか?


現在の北朝鮮は「並進路線」といって、
核開発によって浮いた軍事費を経済発展に費やすという方針を取っている。

合わせて、アメリカが韓国との合同軍事演習を中断すれば自国も核開発を中断すること、
ならびに平和条約を締結し、双方の安全を保障することを長年にわたって主張してきた。


北朝鮮が国民が飢えるのを気にもせず軍拡に専念しているというのは虚像でしかない。
むしろ、食糧自給率の低下など気にもせず、国内の農業に打撃を与える危険があり、
それゆえに農協や漁協が猛反対しているにも関わらずTPPへと駒を進める某国家のほうが考えなしだろう。


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