時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

ウクライナ問題の偏向報道を糺す

2014-07-21 20:57:47 | リビア・ウクライナ・南米・中東
共産党のウクライナ問題に対する姿勢がかなり偏っていることを指摘したばかりだが、
今日の赤旗の記事は、輪をかけて殺戮者に都合がよい内容になっていた。


改めて述べるが、この事故については正式な調査すら始っておらず、
どちらが撃墜したのかは、いまだ謎のままである。それがいつのまにか
ロシアの仕業にされて既に経済制裁が検討されてさえいる。


他方で、連日のように繰り返されるウクライナ軍の自国民への爆撃は
一切、報道されず、同軍への批判すら、ろくに行われていない。


これまで、まるでウクライナで内戦など存在しないかのように、
徹底して惨状を無視していたメディアは新聞・TV・保守・革新
関係なく、ここぞとばかりに今回の事故に飛びついてきた。

ネオナチが要職に就くキエフ政府に有利な報道。
自発的な独裁国家への支持。彼らに平和を語る資格はない。


私は、共産党のシンパというほどではないが、それでも
国内の左翼の中では最も優れているグループだと考えているし、
赤旗は国内の新聞では、最も内容が充実している媒体だとも思う。

だからこそ、今回の報道姿勢は実に残念だ。ロシア嫌いの弊害と言ったところか。

本記事では、赤旗の記事に代表される日本側の報道とロシア側の報道とを
併記することで、日本のメディアは勇み足だということを主張したいと思う。


まず、赤旗の記事を見てみよう。


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マレーシア機撃墜 親ロ派が調査妨害
機体の一部・遺体搬出


ウクライナ東部でのマレーシア機撃墜に関し、
墜落現場の調査を続ける欧州安保協力機構(OSCE)は19日、
前日に引き続く親ロシア派武装勢力の妨害遺体搬出により、
今後の現場保存が困難になる可能性を示しました。



現場保存は撃墜状況の解明のカギになるとみられ、
欧米諸国や被害国は厳重な現場保存を求めています。


OSCEの報道官は同日、現場から
一部の機体や遺体が運び出されていることを確認したと発表。
「まだ遅くはないが、時間と共に、現場や遺体の保全の機会は失われていく」と述べました。


OSCEによると、19日の調査では前日よりも広範囲にわたる移動が
可能になった一方、親ロ派はこの日も警告射撃などにより一部残骸への接近を妨害。
監視団やメディアに対し明確な不満を示したといいます。


ウクライナのポロシェンコ大統領は、現場保存の不備と親ロ派の妨害は
「容認できない」と非難。同国政府は、親ロ派が38人の遺体を運び去ったとして
「テロリスト(=親ロ派)がロシアの助けにより、国際的犯罪の証拠隠滅を図っている」
と述べました。


193人が犠牲となったオランダのティメルマンス外相も、
現場保全への妨害に対し強い憤りを示しました。

現地調査は20日にも行われる予定です。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-07-21/2014072107_02_1.html
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次に、「ロシアの声」の記事を読んでみよう。



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欧州安保協力機構(OSCE)特別モニタリング使節団によれば、
使節団が東ウクライナ・ドネツク州のマレーシア航空機
ボーイング777型機墜落現場を視察した際、威嚇射撃がなされた。


19日、使節団スポークスマンは、インターファクス通信記者に対し
「上方から威嚇射撃された。なぜなら誰かが、許可されたラインを越えたからだ」と伝えた。


伝えられたところでは、ケガ人はない。
この出来事は、OSCE使節団が、すでに悲劇の現場を離れた後、
つまり現場を自分達の目で見た後、生じた


使節団の発表によれば19日、OSCEの専門家らは、遺体確認のため、
より広いエリアを歩き回る事を、全体として許可された。

スポークスマンは「使節団は、現地の住民に話を聞いた。
今日は、昨日のような厳しい取り扱いはなかった」と述べている。


20日、OSCE使節団は、墜落現場での状況モニタリング活動を続ける予定だ。

続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_07_20/274844809/




キエフ当局と義勇軍の代表者らは、
ウクライナ非常事態省の専門家が、
欧州安保協力機構(OSCE)モニタリング使節団と共同で、
マレーシア航空ボーイング777型機墜落のさい犠牲となった
人々の遺体鑑定のため、それらの搬出を開始する事で合意に達した



調査委員会の責任者を務める、ウクライナのグロイスマン副首相が伝えた。
副首相によれば、ウクライナ側には、遺体を運び出すのに必要なあらゆるものがあるが、
唯一の問題は、専門家らが旅客機が墜落した地区に安全に到達できるかどうか、
それが保障できるかどうか、という点だ。

続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_07_20/274852175/

20日、ドネツク州に墜落したマレーシア航空ボーイング777機に
乗っていた乗客・乗員の遺体を乗せた列車が、悲劇の現場に近い鉄道駅から出発した。


リア-ノーヴォスチ通信によれば、遺体を乗せた冷凍車は、
旅客機落下地点に近いトレス市からイロヴァイスクに向け出発した。
ロイター通信も、この情報を引用している。

その後リア-ノーヴォスチ通信は、列車はドネツクに向かっているとした。
一方ロイター通信は、列車は南西方向に進んでいるが、
最終目的地の名前は明かされていないと報じた。

なお所謂「ノヴォラシヤ」のTwitterには
「列車は、身元確認のためハリコフに向かっており、
そこから遺体はさらに、欧州へと送られる」と書き込まれている。

続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_07_20/274858775/

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つまり、テレビや新聞で報じられている「親ロシア派の妨害」とは、
何のことはない、許可されたラインを越えたから威嚇射撃されたのである。

もちろん、「許可された範囲が狭すぎる」という批判はあるだろうが、
新聞やテレビでは、あたかも調査自体を妨害したかのように報じられている。


加えて、遺体の搬出が両陣営との合意に基づいていることも
意図的に伏せられている。
恐らく、この決定に不満を持つ人間の
コメントを、あたかも全体を代表するかのように紹介しているのだろう。


赤旗の記事はここまでだが、夕方に見たニュース(テレビ朝日?)では
「証拠となるブラック・ボックスを親ロシア派が隠滅するため持ち去った」
と説明されていたので、その大ウソも暴露したい。


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ウクライナ東部で活動する義勇軍によれば、
墜落したマレーシア航空機ボーイング777のボイスレコーダーはドネツクに運ばれた。

所謂「ノヴォラシヤ」のTwitterには
「ブラックボックスはドネツクに運ばれた」と書き込まれている。


これに先立ち、自ら独立を宣言するドネツク人民共和国の
アレクサンドル・ボロダイ首相は、記者団に対し

「ボイスレコーダーが発見されれば、義勇軍はそれを国際的な鑑識に回すだろう。
それが見つかった場合には、国際機関の専門家に渡す」と明言している。
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_07_20/274855094/



ウクライナの救助隊は、マレーシア機の墜落現場で、
2つ目の「ブラックボックス」を発見した。ロイター通信が伝えた。

これより先、義勇軍が1つめの「ブラックボックス(フライトレコーダ)」を発見していた。

ドネツク人民共和国の指導部は、
墜落したマレーシア機のフライトレコーダを、
州際航空委員会のロシアの専門家に渡す
と約束した。


州際航空委員会はすでに、墜落状況の調査に参加する用意を表明した。
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_07_18/274784513/

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これまた、証拠提出のためにブラック・ボックスを回収したのを
「証拠隠滅のため持ち去った」と言いがかりをつけているのに過ぎない。


もはや合法詐欺と呼んでも過言ではない報道だ。


さて、一連の事件についてプーチン大統領はこのように述べている。



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ロシアのプーチン大統領は、TV「ロシア24」のインタビューに答えた中で

「何人も自らの狭い政治的目的達成のために、
ウクライナでのマレーシア航空
ボーイング777墜落を利用すべきではない」


と述べ、次のように指摘した

「ロシアは何度も、ウクライナで対立する全ての当事者に、
流血の戦いを即時停止し、交渉のテーブルに着くよう求めてきた。

もし6月28日に、ウクライナ東部での戦闘行動が再開されなければ、
今回のような悲劇は起こらなかったろう。


この地域の状況に責任を持つ人々は、自分達の国民、
そして一般市民が悲劇の犠牲となった国々の国民に対する責任感を高める必要がある。

一方ロシアは、ウクライナ東部での紛争が軍事的なものから、
交渉のテーブルに当事者すべてがつくような、平和的で専ら外交的手段に
よる問題解決へと移行するよう、自分達にできるあらゆる事をするだろう。

ロシアは、ドネツク州でのマレー機墜落のあらゆる状況の調査を
ICAOが組織し詳しく実施する事に関心を持っており、援助を続ける用意がある。」


なお、これに先立ちプーチン大統領は、
英国のキャメロン首相との電話会談の中で
国際的な調査が終わるまで、マレー機墜落の状況について、
急いで結論を出したり、政治的に利用した声明を
出したりするのを差し控える事が重要だ
」と強調している。

続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_07_21/274868984/


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リビア・アフガニスタンに軍隊を送り、現地の住民を蹂躙している
イギリスとアメリカに対して、ロシアの見解はどうしたことだろう。


ネットに限らず、一般的にはブッシュやキャメロンより
プーチンのほうが独裁的で恐ろしい人間だというイメージが強い。

だが、ロシアはアフガン・イラク戦争に反対し、
NATOのリビア空爆にも異議を唱え、
今のところ、21世紀の大々的な戦争に一度も参戦していない。


一方で、イギリスとアメリカは皆勤賞だ。

どちらが悪魔的かは見解が分かれるだろうが、少なくとも、
イギリスやアメリカがロシアより人道的というわけでもないことは確かだ。


日本のメディアはプーチン大統領が言うとおり、結果が出るまで待つべきで、
それが出来ないならば、双方の言い分を併記して、中立性を保つべきだ。


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