時事解説「ディストピア」

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東京オリンピック・エンブレム盗作疑惑の結末

2015-09-01 20:40:28 | マスコミ批判
結果的に、佐野研二郎氏の案は使用中止になった。
今後、彼はどうデザイナーとして食っていくのだろう?



リテラの記事によると、最初から佐野氏に描かせることを前提に
佐野氏と審査委員会が合作して現在の案をデザインしたらしい。

東京五輪エンブレム「原案」公開で新疑惑…
佐野研二郎が説明していたコンセプトは嘘だった! 出来レース説も再燃


それって審査する意味があるのか?
という話だが、実際、形だけのコンテストだったのだろう。


ただ、今回の事件、佐野氏があまりにもわかりやすいキャラだったので
同氏にのみ非難の矛先が向けられがちだが、実際、冷静に考えると、
これは審査者側に責任があるだろう。



新国立競技場の件にしても、森喜朗のごり押しがあったようだし、
とにかく、今回のオリンピック、金と権力が蔓延していてあまり綺麗なものではない。



そもそも、今回のオリンピックは開催が決定される前から
「別に税金を大量に投入してまで開く意味が無い」と思う人間が多くいた。



開催を切望していたのは、森に石原慎太郎、そして麻生に安倍と
まー見事に極右政治家ばかりで、開催決定後も彼らが中心となって運営を取り仕切っている。


「トーキョー!」→「ウワァアアアー!!!(狂喜乱舞する安倍一同)」の絵が
面白すぎたのか、いつのまにか国民全員の悲願のようにされている。

反対者の意見を無視して、ごり押しで物事が動くのは安保法案のそれとそっくりだ。


結局、森にしても佐野にしても、普段から自分たちがやっている談合が
オリンピックでも通用すると勘違いしたのだろうが、生憎、地方のハコモノなら
いざ知れず、世界も見守っている巨大プロジェクト。考えが甘かったとしか言いようが無い。


今回の事件、佐野氏に問題があることは言うまでもないが、
それでも彼はいわゆる駒にすぎない存在で、たまたま盗作をしたから
責められただけにすぎない。仮に、佐野氏が盗作をしなければ、
今回の談合は、見逃された可能性は大いにある
(というかほぼ完全にそう)


私としては、悪代官と越後屋、どちらが悪いかと言えば、明らかに前者だと思う。
越後屋が牢に送られても代官が現職を退かない以上、
代わりの越後屋が来るだけだろう。それは問題が解決したとは言えない。


小保方氏の件にも通じるが、いい加減、一人の悪者を成敗して
全て解決したかのような演出をすること、そのパフォーマンスにメディアや
個人のまとめサイトも自発的に協力する風潮は改善すべきではないだろうか?



実際、委員会の発言を読む限り、彼らに反省の色は見えない。


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佐野研二郎氏デザインのエンブレムの使用中止に関して、1日夜、
大会組織委員会専務理事・事務総長の武藤敏郎氏が会見を開いた。


取り下げの理由について武藤氏は、
「専門家ではないので、原案が模倣で無いということに対する判断をする立場にはないため、
(武藤氏らの説明を)諒としたが、
一方で一般の国民の理解は得られないのではないかとの懸念については共有できる」とし、

「リエージュの訴訟があったからと誤解されがちだが、
 国民の理解が得られないということに尽きる」
と明言した。

(中略)

佐野氏の説明を受けた永井審査委員長は
「デザイン界の理解としては、9分割されたデザインの基本からも、
(ヤン・チヒョルト展とは)全く違うものであると十分認識できる


佐野さんの言うとおり、オリジナルなものとして理解される」
「一方、佐野さんの説明は専門家の間では十分わかりあえるんだけれども、
残念ながら一般国民にはわかりにくでいすね
と感想を述べたという。

http://blogos.com/article/131457/
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つまり、盗作であるとは認めず、国民の理解を得られなかったから中止したということだ。
これは盗作だと認めれば、それを見抜けなかった自分たちの責任が問われるからだろう。


沖縄の米軍基地しかり、安保法案しかり、
この「国民の理解」という言葉ほど腹立たしいものはない。


国民は、これが盗作だと理解したからこそ非難しているのである。
自分たちは正しいのに、それが庶民にはわからんのだという上から目線の発言は
余計に自分たちの度量の狭さを見せるだけだと思うのだが……