時事解説「ディストピア」

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橋下徹の功績

2015-05-25 22:20:32 | 日本政治
そんなものはない!
・・・と一言で済ませられる問題ではないので、あれこれ書きたいと思う。


橋下大阪市長の功績というまとめ記事を偶然見つけた。

これを見ると、どうも信者はよくわかっていないんじゃないかと思えてならない。


結論から述べると、橋下徹は知事時代に
6兆4千億円という過去最大の輝かしい赤字をたたき出した功績がある。


借金を減らすどころか、1600億円も借金を増やした。これは本人も認めているところである。


しかも、この間、橋下は府民・市民の福祉サービスを縮小させた。
2011年時点で、教育・医療福祉を見るだけでも、これだけのことをしている。


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●1年期限の「定数内」講師を急増
 07年4206人(9・2%)→10年5780人(12・3%)

●私学経常費助成を大幅削減
 11年度は小学校50%、中学校35%と削減幅を拡大。
 高校は昨年同様10%を削減。小学校への1人当たりの助成額は、
 府は11万5千円で全国最低レベル(国標準30万円)に

●学校警備員補助を廃止
 09年度は交付金化(5億円)→11年度からゼロに。
 橋下知事「子どもの安全は府の仕事ではない。
 学校設置者の)市町村の仕事」(10年9月議会答弁)。
 府の補助廃止に伴い2011年度は9市町村が廃止

●さらなる府立高校統廃合を計画
 「3年続けて定員割れの学校は廃校」(教育基本条例案)

●街かどデイハウス補助金を削減
 09年度から基本補助の上限を600万→300万円
 補助金交付額は07年度4億6172万円→10年度1億4058万円
 街かどデイハウス数は07年度127→10年度110
 対象市町数は07年度28→10年度24

●高齢者住宅改造助成と見守り訪問を廃止
 住宅改造助成は09年から、見守り訪問は11年度から廃止。
04年度1173件(4億3900万円)。

●障害者・福祉団体への補助金を廃止
 団体運営費補助=07年度8団体1235万円→09年度以降0、
 施設運営補助=07年度3団体3283万円→11年度1団体794万円

●救命救急センターの補助金削減 千里救命救急センターは3億5千万円を0に

●公害患者死亡見舞金を廃止 09年度から廃止。
 認定患者数は約1万4千人(08年に288人、1440万円)

●障害者ガイドヘルパー派遣事業補助金を廃止 11年度からゼロに(07年度は5029万円)

●障害者福祉作業所、小規模通所授産施設への補助金を削減
「障がい者福祉作業所運営助成費」=新規分への補助は10年度限りで廃止、
 約2億3千万円(既補助決定分は継続)。

●「障がい福祉施設機能強化推進事業費(授産施設)」
 =府単独事業だったが10年で廃止。1億2247万2千円


●「小規模通所授産施設機能強化支援事業」=府1/2、
  市町村1/2だったが府は10年で廃止。4212万円81施設。

●府の補助金対象となっている障害者福祉作業所・小規模通所授産施は
 07年4月1日282施設→11年4月1日72施設

●軽費老人ホーム(ケアハウス含む)運営助成費を改悪


●老人福祉施設運営助成費を算定する際の「民間施設等職員給与改善費」
(職員の勤続年数に応じて設定)を段階的に廃止。
 11年度は11年度所要額の1/3減、12年度は11年所要額の2/3減、13年度で全廃。

●福祉医療(通院・入院とも1回500円)の改悪を計画
 重度障害者・児(1・2級、64歳までの精神障害者は対象外)、
 ひとり親家庭(18歳まで)、子ども(通所0~2才、入院0~6才)

http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-11089572990.html
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ノンフィクションライター・森功氏は、

「単年度で見ると黒字になっていますが、
 これは借金をして黒字に見せかけただけ。実際は赤字ですよ」

要するに、財源不足により、国からの地方交付税が十分でないため、
 その穴埋めに臨時財政対策債という地方債を発行して借金をしただけです。
 年間3000億円ぐらいずつ、合計1兆円は突破しています


「橋下氏がやったことは結局、コストカットであって、収入を増やしていません。
 企業で言えば収益を生む構造になっていないのです。
 税収をもたらす政策を立てるべきで、カットだけでは企業は成り立ちません。
 それをもって再建というのはおこがましいですよ」

と述べている(http://www.asagei.com/2421)

これに加えて、100億円以上をかけて欠陥ビルを購入し、
しかもそのビルに府庁を移転しようとし、見事に失敗した。金をドブに捨てたわけである。


コストカットで浮いた金でハコモノをやり、見事に赤字を増やした橋下。


ネットの信者を騙すのはわけないが、さすがに関係者を騙すことはできず、
橋下は、その後、大阪府知事から大阪市長へとランクダウンした。


その後も、校長を公募したら不祥事を起こされたり、
しかもその校長が元・橋下の番記者だった(つまりコネ採用)り、
尊敬していた石原と喧嘩別れしちゃったりと政治家としての信用は落としまくる一方で、
ますます、彼は、メディアを利用し聴衆を扇動するポピュリズムに依存するようになった。


大阪人権博物館への執拗な攻撃・経済封鎖や在特会の代表者との口論など、
メディアやネトウヨが喜びそうなネタを投入しては、主役を演じきった。


その最大のイベントが今回の大阪市住民投票だったと言っても過言ではない。
(ちなみに、まとめ記事ではこの茶番にかけた無駄金についてツッコミを入れていない)


逆を言えば、彼はそうすることでしか地位を維持することができなかったわけである。


既得権益って、なに?既得権益者って、だれ?(追記あり)

公務員叩きは結局市民生活に跳ね返ってくる一例


橋下の手法は、大阪府(大阪市)は腐敗している、公務員はその手先だ、
だから正義の俺が正してやるというストーリーをメディアに拡散させて、
選挙で投票数を稼ぐという強引なやり方だった。

これは短期的には強力なものだが、時間が経てば、
それほど大したことをしていないことが周囲にバレる弱点もある。


今回の住民投票で全住民の3分の2が反対・棄権をしたのは、それが原因だろう。


橋下はバレそうになるたびに、新たな話題を投入し、
ごまかし続けて8年間を過ごしてきたわけだが、もう限界だった。

自分より先輩議員の極右政治家、石原慎太郎と、既存の自民党を
敵に回してしまった以上、政治家としての後ろ盾を失ってしまった。
(特に前者との決裂はかなり手痛いものだった)


引退表明をしたのは何も酔狂でやったわけではなく、
本当に今後、政界で生きていくだけの力がないのである。


政治家には支持基盤というものが必要だが、橋下の場合は、それがテレビしかなかった。

彼が脱税をしようと不倫をしようと、問題発言をしようと、
主張が二転三転しようと、大したダメージもなく過ごしてきたのはそのためである。

とはいえ、同じテレビを使う政治家でも、橋下は安倍とは違う。
安倍には家系という強力な武器があり、自民党という強力な集票マシーンもある。

他方、橋下は支持者が変動的であり、その都度、過激な演出をしなければならない。
顔の見えない支持者しかいない。いつ崩れるかわからない砂上の楼閣だったのだ。


冒頭で紹介したまとめ記事(虚偽の情報が多分に含まれている)を見ても、
彼の信者が見事にネトウヨしかいないことがわかる。


結果として、彼の功績は、借金を増やし、福祉を縮小し、
大阪における差別を黙認・助長させ、極右を増やしたことが挙げられるだろう。

大した男である。本当に。